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第五章 新たな仲間、姫騎士
第59話 第一ドワーフと対面
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「さて、まだまだやるよコーキ」
敵は、大勢で海から攻めてきた。
「いくらでも、おみまいしてやる! アタックトーテム!」
そっちが強くなるほど、こっちだって強くなるんだ。
一気に蹴散らすことで、また一挙にレベルが上がっていった。
『コーキ様。ワタクシは、六時の方角にいるモンスターを迎撃します。マスターは正面を相手にしてください』
「OKだ! 頼むよピオナ!」
肩乗りサイズのアイアンゴーレム状になっていたピオナが、そこら中の岩を取り込む。ロックゴーレムとなって、戦闘に参加した。
続々と、海から魔物が押し寄せてくる。すべてが、イソギンチャクの魔物に寄生されていた。
「触手には触手だ! クコ、【ソーンバインド】!」
「うむ! やれい、コーキ!」
ゴーレムの肩の上から、クコがツタを展開する。
二人で魔物の群れを、ツタで縛り付けた。同時に、土魔法で地面を沈める。
海岸の方まで穴を開けたので、中に海水が入ってきた。
ボクたちを取り囲んでいた魔物たちすべてが、ボクの作った水浸しの穴に落ちる。
「からのぉ、お願いパロン!」
「任されたよ! 【チェイン・ライトニング】ッ!」
パロンが剣を地面に突き刺し、電撃魔法を放つ。
水に浸かった状態で雷攻撃を受けて、魔物すべてが感電死した。規制していたイソギンチャクもろとも、破壊する。
「すごいね、コーキは。ワタシ一人だったら、ここまで倒せなかったよ。彼らを救えたかどうかも怪しい」
息を整えて、パロンが剣をしまう。
「言ったじゃないか。パロンが作ってくれたから、ボクはここにいるんだ。感謝するのは、ボクの方だよ」
『ダンナ! ニンゲンがこっちに来まっせ!』
言葉を話すこともできるのか、ダルマが一斉に北を向く。あそこは、ヴェリシモさんを逃したところじゃないか。
「魔物は?」
やはり、姫騎士のヴェリシモさんだ。
「さっきすべて、やっつけました」
「そうか。感謝する。キミは何者だ? 神の使いか?」
「いえ。ただの冒険者ですよ」
「私はヴェリシモ・ダリエンツォ。北にある王都、ダリエンツォの第二王女だ。村を救ってくれて、礼を言う」
ヴェリシア王女殿下の後ろにいる人たちは、すべて直属の兵隊らしい。
「ボクはシャーマンで、コーキといいます。こっちはパロンと。ハーフエルフの錬金術師です」
「よろしくねー」
王女様と聞いたので、ボクはかしずいたんだけど、パロンは膝を折りもせずに手を振るだけ。
「あなたが翡翠の魔女こと、パロン・サント殿か。おウワサはかねがね聞き及んでいる。高名な錬金術の達人とか」
馬から降りたヴェリシモ王女が、あいさつをする。嫌味ではなく、ガチで尊敬の眼差しを向けていた。
「悪名ばかり、轟いているけどねー」
「とんでもない! 王都で翡翠の魔女と言えば、万能薬の開発者として一目置かれているのだぞ」
「そうなんだ。どこから、そんな話が?」
「彼からだ」
兵隊の一人が、兜を脱ぐ。
「スプルスじゃないか。久しいな」
「お久しぶりです。驚きましたよ。やけに強い魔法使いがいるかと思えば、パロン殿じゃねーですか」
ヒゲモジャの男性が、馬から降りてパロンにあいさつをした。
「ドワーフさんですか?」
背は低いが、男性はガチムチのマッチョである。レスラー体型というか。
「そうだ。オレっちの名はスプルス・ブレナディア。ヴェリシモ様の、親衛隊長をやっとる」
ボクが話しかけると、ドワーフのスプルスさんは気さくに答えてくれた。
「ブレナディア家は、母の出身国に仕えていてな。スプルスは、私の隊でリーダーをしてくれているのだ」
王女が、スプルスさんを紹介する。
「キミも、騎士になったんだねぇ。手が付けられない、不良だったのに」
「ダリエンツォ王家に拾われて、戦闘の職を得たんでさぁ。聖騎士として、近衛兵になったんです」
「大出世じゃないか。最後にあったときは、未婚無職の父親だったのに」
「それは、言わんでくださいな。パロン殿」
すごいファンキーな生い立ちなんだなぁ、スプルスさんって。
どうも二人は、友だち同士のようだ。
「パロン、ドワーフさんと知り合いなの?」
「彼の父親と、ね。昔、パーティを組んでいたんだ」
【美しき剣】という騎士の称号も、パロンとの冒険を経て手に入れたらしい。
「娘さんは、元気かい? 会ったときは、まだ赤ん坊だったけど」
「おかげさまで。今じゃ娘も一人前になって、ダリエンツォ王都で暮らしています。妻ともども、人間族に魔法を教えてますよ」
「ブレナディア老は?」
「親父は騎士として、お妃様の護衛をしていますよ」
「まだ、現役なんだ」
「もちろんっ。とはいえ、ヨボヨボになっちまいましたが」
「気にしていないよ。ワタシと知り合った頃から、彼は老いていたからね」
「今度、顔を見せにいらしてくださいな。もういつ会えるか、わからんので」
「あのジジイが、老衰でくたばるとは思えないけどね」
「へへっ。ちげえねえや」
二人が爆笑しながら、物騒な冗談を言い合う。
「ところで、そんなキミたちがどうしてここに?」
「実は少々、厄介な問題が発生しちまって。詳しくは姫から、お聞きください」
スプルスさんは、ヴェリシモさんと回答役を交代する。
「アプレンテスの領地が誰のものなのかと、少々揉めているのだ」
やっぱり、そうなっちゃったか。
敵は、大勢で海から攻めてきた。
「いくらでも、おみまいしてやる! アタックトーテム!」
そっちが強くなるほど、こっちだって強くなるんだ。
一気に蹴散らすことで、また一挙にレベルが上がっていった。
『コーキ様。ワタクシは、六時の方角にいるモンスターを迎撃します。マスターは正面を相手にしてください』
「OKだ! 頼むよピオナ!」
肩乗りサイズのアイアンゴーレム状になっていたピオナが、そこら中の岩を取り込む。ロックゴーレムとなって、戦闘に参加した。
続々と、海から魔物が押し寄せてくる。すべてが、イソギンチャクの魔物に寄生されていた。
「触手には触手だ! クコ、【ソーンバインド】!」
「うむ! やれい、コーキ!」
ゴーレムの肩の上から、クコがツタを展開する。
二人で魔物の群れを、ツタで縛り付けた。同時に、土魔法で地面を沈める。
海岸の方まで穴を開けたので、中に海水が入ってきた。
ボクたちを取り囲んでいた魔物たちすべてが、ボクの作った水浸しの穴に落ちる。
「からのぉ、お願いパロン!」
「任されたよ! 【チェイン・ライトニング】ッ!」
パロンが剣を地面に突き刺し、電撃魔法を放つ。
水に浸かった状態で雷攻撃を受けて、魔物すべてが感電死した。規制していたイソギンチャクもろとも、破壊する。
「すごいね、コーキは。ワタシ一人だったら、ここまで倒せなかったよ。彼らを救えたかどうかも怪しい」
息を整えて、パロンが剣をしまう。
「言ったじゃないか。パロンが作ってくれたから、ボクはここにいるんだ。感謝するのは、ボクの方だよ」
『ダンナ! ニンゲンがこっちに来まっせ!』
言葉を話すこともできるのか、ダルマが一斉に北を向く。あそこは、ヴェリシモさんを逃したところじゃないか。
「魔物は?」
やはり、姫騎士のヴェリシモさんだ。
「さっきすべて、やっつけました」
「そうか。感謝する。キミは何者だ? 神の使いか?」
「いえ。ただの冒険者ですよ」
「私はヴェリシモ・ダリエンツォ。北にある王都、ダリエンツォの第二王女だ。村を救ってくれて、礼を言う」
ヴェリシア王女殿下の後ろにいる人たちは、すべて直属の兵隊らしい。
「ボクはシャーマンで、コーキといいます。こっちはパロンと。ハーフエルフの錬金術師です」
「よろしくねー」
王女様と聞いたので、ボクはかしずいたんだけど、パロンは膝を折りもせずに手を振るだけ。
「あなたが翡翠の魔女こと、パロン・サント殿か。おウワサはかねがね聞き及んでいる。高名な錬金術の達人とか」
馬から降りたヴェリシモ王女が、あいさつをする。嫌味ではなく、ガチで尊敬の眼差しを向けていた。
「悪名ばかり、轟いているけどねー」
「とんでもない! 王都で翡翠の魔女と言えば、万能薬の開発者として一目置かれているのだぞ」
「そうなんだ。どこから、そんな話が?」
「彼からだ」
兵隊の一人が、兜を脱ぐ。
「スプルスじゃないか。久しいな」
「お久しぶりです。驚きましたよ。やけに強い魔法使いがいるかと思えば、パロン殿じゃねーですか」
ヒゲモジャの男性が、馬から降りてパロンにあいさつをした。
「ドワーフさんですか?」
背は低いが、男性はガチムチのマッチョである。レスラー体型というか。
「そうだ。オレっちの名はスプルス・ブレナディア。ヴェリシモ様の、親衛隊長をやっとる」
ボクが話しかけると、ドワーフのスプルスさんは気さくに答えてくれた。
「ブレナディア家は、母の出身国に仕えていてな。スプルスは、私の隊でリーダーをしてくれているのだ」
王女が、スプルスさんを紹介する。
「キミも、騎士になったんだねぇ。手が付けられない、不良だったのに」
「ダリエンツォ王家に拾われて、戦闘の職を得たんでさぁ。聖騎士として、近衛兵になったんです」
「大出世じゃないか。最後にあったときは、未婚無職の父親だったのに」
「それは、言わんでくださいな。パロン殿」
すごいファンキーな生い立ちなんだなぁ、スプルスさんって。
どうも二人は、友だち同士のようだ。
「パロン、ドワーフさんと知り合いなの?」
「彼の父親と、ね。昔、パーティを組んでいたんだ」
【美しき剣】という騎士の称号も、パロンとの冒険を経て手に入れたらしい。
「娘さんは、元気かい? 会ったときは、まだ赤ん坊だったけど」
「おかげさまで。今じゃ娘も一人前になって、ダリエンツォ王都で暮らしています。妻ともども、人間族に魔法を教えてますよ」
「ブレナディア老は?」
「親父は騎士として、お妃様の護衛をしていますよ」
「まだ、現役なんだ」
「もちろんっ。とはいえ、ヨボヨボになっちまいましたが」
「気にしていないよ。ワタシと知り合った頃から、彼は老いていたからね」
「今度、顔を見せにいらしてくださいな。もういつ会えるか、わからんので」
「あのジジイが、老衰でくたばるとは思えないけどね」
「へへっ。ちげえねえや」
二人が爆笑しながら、物騒な冗談を言い合う。
「ところで、そんなキミたちがどうしてここに?」
「実は少々、厄介な問題が発生しちまって。詳しくは姫から、お聞きください」
スプルスさんは、ヴェリシモさんと回答役を交代する。
「アプレンテスの領地が誰のものなのかと、少々揉めているのだ」
やっぱり、そうなっちゃったか。
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