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第六章 フリーター、地球人魔王と文化祭を満喫する

第44話 ダンス with 魔王

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 オレは魔王ドナと、キャンプファイアーを囲んでダンスをする。

 ヴィル女の寮生も、それぞれパートナーを連れて炎を囲んでいた。

「どうだった、カズヤ? ヴィル女の文化祭は」

「楽しかったぜ。学生時代は、こんなに楽しいなんて思わなかったな」

「お前はどんな学生だったんだ?」

「少なくとも、キャンプファイアーで女の子と踊る甲斐性なんて、持ち合わせていなかったな」

 あえて、友だちを作らなかったフシもある。色々とめんどくさくて。どちらかというと、せっかくの祝日なのにバイトに入れないのが痛かった。

「……まったく。昔から、現金な男だったんだな?」

「まあな」

「今日は最後まで、楽しんでくれ。ほら、次の相手が来たぞ」

 ドナが、オレから手を離す。

 続いて現れたのは、アンネローゼだ。

「カズヤさん。今日はおいでくださって、ありがとうございます」

「いやなに。お邪魔じゃなかったか?」

「とんでもございません。楽しく回らせていただきました。殿方とおデートなんて、魔王をしていればレアイベントですもの」

 アンネローゼは、本当に興味のあることにはド直球だ。行動力の化身とは、こいつのことを言うんだな。

「では、続きをお楽しみに」

 シルヴィアが、アンの次にオレの手を取る。

「カズヤさん、もっと話したかったけん」

「オレもだ。今日は楽しかった」

「結局、からあげに負けたんじゃ。今日は慰めてもらわんといかんね」

 文化祭のMVPは、生徒会のからあげだったという。

「あはは……」

「冗談じゃ。まあ、試合に負けて勝負には勝ったけん」

「どういう意味だ?」

「フフ。教えてやらんっ、と」

 ドロリィスの方へと、オレの背中を突き飛ばす。

 まだドロリィスは、ピーターパンコスチュームのままである。

「演劇、午後の部で見させてもらった。すげえな」

「ありがとう、カズヤ。ワタシも、晴れ姿を見てもらって、ありがたく思う」

 舞台に立つドロリィスは、様になっていた。まさか、セットの上で本当の格闘戦を行うなんて思わなかったから、驚いたが。

「悪いがユーニャ。フィーラを譲ってもらおうか」

「わかったわよ」

 ドロリィスがオレを、フィーラのもとまで魔法で飛ばした。

「フィーラ、よく自分で決断したな」

「はい。わたしにもできることがあると、カズヤさんが教えてくれたから」

「オレは、なにもしていないぜ」

 決断したもの、交渉したのも、フィーラだ。
 オレは、提案をしただけ。

「シノブちゃん、シメはお願いします」

「ういー」

 最後に、シノブと踊る。ギャルコスのまま、シノブはオレの手を取った。

「今日はありがと。フィーラのことも、あたしのことも」

「いいってことよ。また困ったことがあったら言えよ」

「うん。あのね、カズヤ」

 シノブがなにかいい終わる前に、空に花火が上がる。
 ダンスの時間は終わって、文化祭はお開きに。

「どうした?」

「ううん。なんでもない」





 翌日、シノブの要塞が完成した。
 オレを乗せて、スパウルブスに殴り込みに行くという。
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