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第五章 天空露天風呂を目指して 前編 精霊塔の打たせ湯
女騎士の、即墜ち二コマ
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第一階層を進みつつ、オルタの快進撃は続く。
「絶対に、魔物なんかに負けないッスからぁ!」
オルタの勢いは、留まるところを知らない。
◇ * ◇ * ◇ * ◇
「サーセンした」
数時間後、そこにはタワー内部の温泉でまったりするオルタの姿が。
現在、第一階層終盤まで進んだばかりだ。地上は、まだ見えている。
なのに、もう満身創痍だ。死者が出ていないだけマシである。
幸い、回復スポットが設置されていたのが救いか。
それも三〇人は入れそうな大浴場である。
すぐに、大浴場を取材、回復の泉として登録した。
ここを中継地点としなかった冒険者って、どれだけマゾいのか。
岩場の隠し部屋だったから、見つけられなかったのか?
人が多いので、先行していた我々が先に湯をいただいていた。
混浴のため、全員が水着に近い素材を着用している。
後続隊は、食事を取っているところだ。
風呂では傷や体力は回復しても、さすがに空腹までは満たされない。
オルタはヒモなしの赤いビキニを着用して、身体を癒やしている。
「まったくお前は。ペース配分を忘れて、前半でツッコみすぎ大技連発しすぎだ。おかげで、どれだけ足を引っ張ったと思う!」
「返す言葉もないッス」
温泉の中で、ガミガミと怒るオケアノスさんに、オルタがペコペコ謝り倒す。
「短期決戦で挑んだ方が、さっさと進めるかなーって」
「いや無理だろ絶対。全部で五階層まであるんだぞ? 何日かかると思ってるんだ? リソースがどれだけ大事か、お前にもわかるだろうが」
騎士独特の聖属性魔法を剣に付与して、オルタは魔物を切り飛ばした。
そのため、身体に負担が掛かりすぎたのである。
大型魔獣の討伐なら、これでいい。すぐ帰るから。しかし、この塔はまだ先が長い。
「お前ときたら、必殺技を立て続けにバカスカ撃ちやがって。シズクがいなかったらガス欠で死んでたぞ」
危うく、犠牲者が出そうな状態にまで陥ってしまう。
オルタのすぐ側に、ヒールスポットらしきポイントがあったからよかったものの。
そこは隠し部屋になっていた。
シズクちゃんが見つけてくれなかったら、ボクたちは死んでいただろう。
「ありがとうッス。シズクさん」
「いえいえ。無事で何よりですね」
功労者であるシズクちゃんの言葉には、若干のトゲがあった。
「ごめんなさいね、オルタ、オケアノスを狙っててね。いいところ見せようって張り切っちゃってんのよ」
いつものように杖にローブを干しながら、シャンパさんがフォローを入れる。
「全然気にしていませんよ。それより、シャンパさん。あの女性、オケアノスさんをずっとパイセンって」
「オケアノスは、元騎士隊長なの。腕は確かだったんだけど、根っからの自由人だからすぐ辞めたけど」
オケアノスさんの友人が、オルタの父親なんだとか。
脱退したあと、その友人もやめて、今はオルタが隊を仕切っている。
「パイセン、この人たちどんなプロ級なんスか? 一周回ってヤバいッス」
オルタが、手に湯をすくって肩に掛けた。
少女らしい、発育のいいスタイルである。
「こっちがスルーしそうなヒールスポットを、優先して探すじゃないッスか。宝箱やドロップアイテムもシカトするッス」
まだオルタは、ボクたちを変わり者としか思っていないらしい。
当初のオケアノスさんと同じ反応をしていることも、微笑ましかった。
「この二人は、温泉専門のハンターだ。女神公認のな。回復の泉を見つけることに命をかけている」
「えらいニッチな職業ッスね」
だから、余計に重宝されるのだろう。
「それだけ、無謀な冒険者が多いからな。オレからすれば考えられんチャレンジをしやがる。先は長いんだ。適度に休憩を挟まねば」
「休んでいる間に先越されちゃうじゃないッスか!」
オルタが飛び起きようとした。
裸に近いことを思い出し、すぐに湯へ沈んでいく。
「見くびっていたことは、反省するッス。でも、二人もそれでいいんスか?」
ボクに会う人がいつもしてくる質問を、オルタも問いかけてくる。
「別に構わないよ。温泉がボクのすべてだし、これでお金ももらっている」
「温泉以上のお宝だって、大量にあるッスよ」
「ボクは温泉を選ぶよ」
すっかり、オルタは絶句していた。
「特にウサギのシズクさん! あなためちゃ強いんですから、アイテムを拾いまくって方が大金持ちになるッスよ?」
シズクちゃんは首を振る。
「お金が入らないなら、困るでしょう。しかし、この仕事でもお給金はいただけるので、それで生活はできます。欲しいものは、レアな食材くらいでしょうか」
「欲がないッスねぇ。冒険者というより修験者ッスね」
ボクたちの行動理念は、やはり普通の冒険者には理解できないだろう。
「やっぱ所帯持ちの余裕ッスかね?」
「え、何を言っているの?」
「だって、ご夫婦で旅をなさってるんスよね?」
ボクが「またか」と思っていると、シズクちゃんが「違いますぅ!」と強調した。
「ああ? この二人は結婚してねえぞ」
「はあっ!? あり得ないッス!」
オルタがサバッと起き上がる。
ビキニのトップが、水圧でスリ落ちそうになった。
慌ててオルタは座り直す。
「絶対に、魔物なんかに負けないッスからぁ!」
オルタの勢いは、留まるところを知らない。
◇ * ◇ * ◇ * ◇
「サーセンした」
数時間後、そこにはタワー内部の温泉でまったりするオルタの姿が。
現在、第一階層終盤まで進んだばかりだ。地上は、まだ見えている。
なのに、もう満身創痍だ。死者が出ていないだけマシである。
幸い、回復スポットが設置されていたのが救いか。
それも三〇人は入れそうな大浴場である。
すぐに、大浴場を取材、回復の泉として登録した。
ここを中継地点としなかった冒険者って、どれだけマゾいのか。
岩場の隠し部屋だったから、見つけられなかったのか?
人が多いので、先行していた我々が先に湯をいただいていた。
混浴のため、全員が水着に近い素材を着用している。
後続隊は、食事を取っているところだ。
風呂では傷や体力は回復しても、さすがに空腹までは満たされない。
オルタはヒモなしの赤いビキニを着用して、身体を癒やしている。
「まったくお前は。ペース配分を忘れて、前半でツッコみすぎ大技連発しすぎだ。おかげで、どれだけ足を引っ張ったと思う!」
「返す言葉もないッス」
温泉の中で、ガミガミと怒るオケアノスさんに、オルタがペコペコ謝り倒す。
「短期決戦で挑んだ方が、さっさと進めるかなーって」
「いや無理だろ絶対。全部で五階層まであるんだぞ? 何日かかると思ってるんだ? リソースがどれだけ大事か、お前にもわかるだろうが」
騎士独特の聖属性魔法を剣に付与して、オルタは魔物を切り飛ばした。
そのため、身体に負担が掛かりすぎたのである。
大型魔獣の討伐なら、これでいい。すぐ帰るから。しかし、この塔はまだ先が長い。
「お前ときたら、必殺技を立て続けにバカスカ撃ちやがって。シズクがいなかったらガス欠で死んでたぞ」
危うく、犠牲者が出そうな状態にまで陥ってしまう。
オルタのすぐ側に、ヒールスポットらしきポイントがあったからよかったものの。
そこは隠し部屋になっていた。
シズクちゃんが見つけてくれなかったら、ボクたちは死んでいただろう。
「ありがとうッス。シズクさん」
「いえいえ。無事で何よりですね」
功労者であるシズクちゃんの言葉には、若干のトゲがあった。
「ごめんなさいね、オルタ、オケアノスを狙っててね。いいところ見せようって張り切っちゃってんのよ」
いつものように杖にローブを干しながら、シャンパさんがフォローを入れる。
「全然気にしていませんよ。それより、シャンパさん。あの女性、オケアノスさんをずっとパイセンって」
「オケアノスは、元騎士隊長なの。腕は確かだったんだけど、根っからの自由人だからすぐ辞めたけど」
オケアノスさんの友人が、オルタの父親なんだとか。
脱退したあと、その友人もやめて、今はオルタが隊を仕切っている。
「パイセン、この人たちどんなプロ級なんスか? 一周回ってヤバいッス」
オルタが、手に湯をすくって肩に掛けた。
少女らしい、発育のいいスタイルである。
「こっちがスルーしそうなヒールスポットを、優先して探すじゃないッスか。宝箱やドロップアイテムもシカトするッス」
まだオルタは、ボクたちを変わり者としか思っていないらしい。
当初のオケアノスさんと同じ反応をしていることも、微笑ましかった。
「この二人は、温泉専門のハンターだ。女神公認のな。回復の泉を見つけることに命をかけている」
「えらいニッチな職業ッスね」
だから、余計に重宝されるのだろう。
「それだけ、無謀な冒険者が多いからな。オレからすれば考えられんチャレンジをしやがる。先は長いんだ。適度に休憩を挟まねば」
「休んでいる間に先越されちゃうじゃないッスか!」
オルタが飛び起きようとした。
裸に近いことを思い出し、すぐに湯へ沈んでいく。
「見くびっていたことは、反省するッス。でも、二人もそれでいいんスか?」
ボクに会う人がいつもしてくる質問を、オルタも問いかけてくる。
「別に構わないよ。温泉がボクのすべてだし、これでお金ももらっている」
「温泉以上のお宝だって、大量にあるッスよ」
「ボクは温泉を選ぶよ」
すっかり、オルタは絶句していた。
「特にウサギのシズクさん! あなためちゃ強いんですから、アイテムを拾いまくって方が大金持ちになるッスよ?」
シズクちゃんは首を振る。
「お金が入らないなら、困るでしょう。しかし、この仕事でもお給金はいただけるので、それで生活はできます。欲しいものは、レアな食材くらいでしょうか」
「欲がないッスねぇ。冒険者というより修験者ッスね」
ボクたちの行動理念は、やはり普通の冒険者には理解できないだろう。
「やっぱ所帯持ちの余裕ッスかね?」
「え、何を言っているの?」
「だって、ご夫婦で旅をなさってるんスよね?」
ボクが「またか」と思っていると、シズクちゃんが「違いますぅ!」と強調した。
「ああ? この二人は結婚してねえぞ」
「はあっ!? あり得ないッス!」
オルタがサバッと起き上がる。
ビキニのトップが、水圧でスリ落ちそうになった。
慌ててオルタは座り直す。
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