上 下
75 / 302
1-6 命がけの遠足!?

第75話 玉座が奪われる!?

しおりを挟む
「な、どうして?」

「モンスターでは、わたしを倒せない。それだけの開きがある」
 チサちゃんが、杖をスピンコックした。

「せっかくだから、全力を出す」
 例の如く、チサちゃんが火球を放出する。
 だが、その形は太陽を思わせる大きさで、熱量も計り知れない。


「ムダよムダ! アンタたちが倒したカブト兵より硬い装甲を持つわたくしが、炎如きにヒィッ!」


 それ以上、エンプーサは話すことができなかった。


『即墜ち二コマ』とはこのことか。


 チサちゃんの放った疑似太陽により、エンプーサは断末魔すら焼き尽くされる。

 エンプーサもしぶとい。黒焦げになりながらも、実体を保っている。姿は、人間サイズに縮んでいるが。


「ど、どうして? わたくしが負けるなんて! そ、そうか!」
 憎悪に満ちたエ・ロの視線が、ボクに向けられた。



「その玉座に、何か仕掛けがあるのね?」
 どこに動く体力があったのか。エンプーサが瞬間的に、ボクの正面に立っていた。
「この玉座は、回復タイプみたいね? 素晴らしいわぁ。マナが溢れ出ている」
 ボクに背を向けて、エンプーサはボクに座ろうとする。

 ヨロイに取り付けられた玉座は、チサちゃん専用だ。しかし、大きく作られているため、大人でも座れてしまう。

「く、この!」

 逃げようとするが、節足がボクの身体をガッチリフックして離れない。

「チサちゃん、どうしよう?」
「平気。ダイキは、じっとしていて」

 チサちゃんは言うが、自分以外の魔王を座らせても大丈夫なのか?





「どれどれ、座り心地の方は……ヒギィ!」
 ボクに腰を下ろした途端、エンプーサが艶っぽい声を上げた。




「何コレ何コレ! 信じられない! 膨大なマナが、流れ込んでくる! 頭の中にまでぇ!」
 ボクから腰を上げようとするが、腰が抜けてしまったらしい。立てないでいる。

「なに、どうなってるの、チサちゃん?」
「ダイキのマナに、下から突き上げられている。精神に直接ダメージを受けて、立てない状態」
「ボク、何もしてないよ?」



「エンプーサがマナを取り込もうとして、逆に汚染されている。つまり、自爆」



 ボクって、そんなに凄い力を持っているってコト?


「はひいん! んほお!」
 さっきから、エンプーサはだらしない声を上げている。


「それなら離れたらよくないです?」
「うううごけにゃい! 気持ちよすぎて、身体が離れてくれないんいいいい!」

 変な声を出し続けながら、エンプーサは立ったり座ったりの上下運動を繰り返す。

「ダイキの持つマナの量は、人間の想像を遥かに超えている。L.O程度の容量では取り込みきれない」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:584pt お気に入り:713

お兄ちゃんと内緒の時間!

BL / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:59

ひどくされても好きでした

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:26

【R18】囚われの姫巫女ですが、なぜか国王に寵愛されています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:1,216

進芸の巨人は逆境に勝ちます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:1

mの手記

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:447pt お気に入り:0

処理中です...