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1-1 謎ジョブ「玉座」に再就職!?

第4話 幼女愛されすぎおじさん

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「もう一度、説明していただけます?」

「魔王チサ様の玉座という重要な任務が、あなたに与えられました。誰もマネのできないことであり、魔族の誉れであります。ウソだとお思いでしょうが、魔王様のお背中をお守りするのですから、立派な仕事なのですよ?」

  するとボクは、幼女の玉座が再就職先ってコト? マジかよ。

「ただですね、予算が不足しておりますので、日本人の平均年収の二倍しか提供できません」

「それだけもらえれば十分ですよ!」
 どんな金銭感覚してるんだ。

「いいえ。せっかく玉座になっていただくのですから、こちらも誠意を見せねば」
 セイさんの目が本気だ。

「いや、あの。冗談でしょ?」



「決して不得意というわけではないのでしょう?」



 何もかもお見通しと言いたげに、セイさんは図星をつく。


 なぜか、ボクは幼女を引きつけてしまう。
 友人や知り合いの子どもは、やたらとボクの膝の上に載りたがる。

 ボクにそんな趣味はないのに。

 女性に話しかけようとすると、必ず小さな女の子がボクの上に鎮座するのだ。
 友達のきょうだいだったり、近所の子だったり。

 そのせいで、ボクはよく既婚者と間違えられた。
 まったくそんな経験なんてないのに。

「好きな女の子がいても、その妹さんの幼女がボクに懐いちゃうこともありましたね」
「ある意味、特殊技能かと」
「褒められたもんじゃありませんよ。その子だって、大きくなったら別の男子とくっつきましたから」

 心理学の本によると、大人の膝上に子どもが載るのは、「気持ちが落ち着く」行為なのだとか。
 守られているという感情が働くらしい。


 ボクが失業したのも、この体質が原因と言っていい。

 課長の家に遊びに行ったとき、家には奥さんと、七歳になる娘さんがいた。

 娘さんはボクの膝の上に載って、「このおじさんとけっこんする!」と言ったのである。
 それが、課長の逆鱗に触れた。

 ブラックもいいところだが、本当である。

「理不尽な上司ですコト」
「おっしゃるとおりで」

 もう恨んでないけれどね。
 呆れが怒りを通り越してしまったから。

「まさに、幼女に愛されすぎおじさんですね」
「いや全然嬉しくない!」


「誇ってくださって結構です。我々が求めていたのは、そういった人材でしたので」


 異世界ってやはり不思議な世界だな。


「ご安心を。魔王は玉座を現地調達することが伝統ですので。チサ様の母上も、幼少期に同じ体験をなさっています」


「異世界で、幼女をはべらすのは犯罪では?」


 日本だとまず間違いなく、事案呼ばわりされるだろう。


「遠慮はございません。好きなだけはべらせてください。魔王さまも、それを望んでおられます」
 堂々と、セイさんは言い放った。

 いや、望んではいないでしょ。
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