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2-7 ついに勇者登場! ダイキ、フルパワー!

ダイキ、最大パワー

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 今までボクは、敵を侮っていた。所詮は小さい子どもだと。
 でも、違うんだ。こういう強い相手もいる。


 勇者は、容赦して勝てる相手じゃない。油断してはいけない、危険な相手なんだ。少しでも気を抜いたら、魔王が束になっても全滅してしまうほどに。

 ハンパな気持ちじゃ、誰も守れないんだ、と。

「勇者に乱入される筋合いなんてない! 部外者の制裁を許すなんて、ボクは納得できない!」

「本当は、ダイキには戦って欲しくない。危ない目には遭って欲しくなかった」

「ありがとう、チサちゃん。でも、そうは言っていられないんだ。ボクだけ平和にぬくもってる訳にはいかないよ」

 ボクが決意を表明すると、チサちゃんがうなずいた。また、ボクに座る。

「分かった、ダイキ、リミッターを解除する」
「え、そんなのあったの?」

 ボクって、パワーをセーブされていたんだね。


「マミのケイスも、トシコも全力。でもダイキは、わたしがリミットを設けていた」

 たしかに、レベルMAXにしては弱いなと、自分でも思っていた。

 臆病なボクのせいだと思っていたけど。

「お願いダイキ、みんなを助けて。勇者を倒せるのは、ダイキだけ」

 真剣な眼差しを、チサちゃんがボクに向けてくる。

「うん。ボクの全力を見て」

 必ず、勇者を倒してみせるよ。


「ダイキ、フルパワーッ!」

 チサちゃんが両手を広げると、ボクの身体が光に包まれた。
 光の中で、ボクは一人立ち尽くす。


 ここは、どこなんだろう。

 視線の向こうに、両手を広げてボクの方へ向かってくる少女の姿が。

「あれ、チサちゃん?」


 一糸まとわぬ姿で、チサちゃんがボクに飛び込んできた。全身が光に包まれているので、身体の輪郭しか分からない。
 ボクも同様の姿である。

「ここは?」
「ダイキの心の中。わたしたちは、ひとつになる」
「ひとつに」

 どういうことだろうと思っていると、なんとチサちゃんが僕の胸に溶け込んだ。

「え、チサちゃん? 大丈夫なの、これ?」
「心配いらない。すべてわたしに任せて」

 そこで、ボクの意識は途切れた。



 光が収まると、なぜかチサちゃんがいなくなっている。けれど、どこよりも近くチサちゃんを感じられた。

「えっ、チサちゃん!?」

 あろうことか、チサちゃんがボクの身体に取り込まれている。ボクは、チサちゃんと一体化してしまったというのか?


「大丈夫、チサちゃん?」

『心配ない』

 頭の中に、チサちゃんの声がした。

 チサちゃんに見守られているというより、何もかも一体化した気分である。ボクとチサちゃんが溶け合って、一人の存在になったような。
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