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3-4 ダイキ VS LO【ハメルカバー】 リアル魔リカー対決!
ヨアンお嬢様⁉
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「気がのらないかも知れませんが」と、ククちゃんの案内でスタンプを押すスポットへ。
展望台の上だ。誰もおらず、寂しい場所にスポットはあった。
「ダイキ、見て! 雲の上に、橋が浮かんでる!」
チサちゃんが興奮しながら、街の真上を指差す。
橋はまるでジェットコースターのようにクネクネして、街全体を取り囲んでいた。
「すごいね、圧倒されちゃう」
「ヘビみたい」
同じように天に浮遊する小島と連なって、さしずめダンジョンのような姿をしている。
「あれが最終チェックポイントですわ。我がダスカマダ王国が誇る最大のレース会場にして、天空の古戦場、【ワターキ島】ですの」
その昔、【神の騎乗位】という破壊神が、ワターキ島ごとこの地を襲った。
その時、ダスカマダ王とヴァンパイアの始祖ブラジャードが、力を合わせてハメルカバーを撃退した伝説があるという。
同じように、カリ・ダカ側も戦車を用いて、レース形式で。
【カリ・ダカ】ラリーの伝説は、そこから始まったという。
「伝統的なお祭りなんだね」
「普段はダンジョンとして開放していますの。年に一度、ダンジョンを最終レース会場として利用しますのよ。二人の王の伝説を語り継ぐため」
今でこそ形骸化しているが、当時はもっと本格的なレースだったらしい。
「あの島、どっかで見たことがあるような」
ボクが首を傾げていると、チサちゃんが叫ぶ。
「魔リカーッ!」
そうだった。ゲームで遊んだコースのひとつなんだ。
「お察しのとおりですわ。魔リカーは、魔界に実在するコースをモデルにして開発されたゲームですの」
この地も、魔リカーで使われたコースなんだね。感慨深いなぁ。
なのに、あまり楽しくない。ヨアンさんが心配だから。
「では参りましょう。ダスカマダへ」
ククちゃんには、ハチシャクに乗ってもらった。
ヨアンさんのミニバンは、オンコに動かしてもらっている。
少し早いが、メンテをしてもらうことにした。
いつでもラリーを再開できるように。
「ママさんのお弁当。食べて」
チサちゃんが、ククちゃんに女将さんのお弁当を渡す。
「入らないかも知れないけど、お腹に入れておいて」
「ありがとうございます」
お弁当を、ククちゃんが受け取った。けれど、手を付けない。
「必ず、ヨアンに届けます。そのときに、いただきますわ」
シートを揺らさないように、ボクは安全運転を心がける。
三〇分もしないうちに、景色がガラリを変わった。
「ここが、ダスカマダ王国ですわ」
ダスカマダ王の格好と王国の景色を見て、ちょっと中華風だなと思った。街並みは、赤い天井と緑の柱が目立つ。
「このまま、王宮まで向かってくださいまし」
「いいの?」
「よろしくて。話は通してあります」
ククちゃんは強気だ。
「変なことを聞くけど、攻撃されたりは?」
「そんな野蛮な方は、いらっしゃいませんわ。ただ」
「ただ?」
「ヨアンの姿を見ても、驚かないでくださいましね」
どうも、ワケアリのようである。
ククちゃんのナビで、王宮前までついた。
街の中央に、巨大な城が鎮座している。
門前の広場は、街の人全員が集会できそうだ。
壁際の広々とした駐車場に、車を止めさせてもらった。
「ごめんくださいまし」
番兵に、ククちゃんが声をかける。
「ヨアンを、ヨアン様を返してくださいまし!」
え、ヨアン……様だって?
「これはクク様。こちらの方々は?」
番兵が、槍を持つ手に力を入れる。
「ヨアンのお友達ですわ」
「なんと。失礼しました。ではこちらへ」
門の脇にある来客用扉から、ボクたちは城の中へ通された。応接間にて、ヨアンさんが待っているという。
「あら、クク様。ごきげんよう」
召使いの方が、ククちゃんに事情を聞いて、道案内をしてくれる。
「ククちゃん、さっきヨアン様って」
「もうすぐ、ヨアン……様に会えますわ」
応接間に、ボクたちは招かれた。
飲茶セットから、中国茶のような香りが漂う。
「ヨアンお嬢様、お察しの通り、お連れ様がお見えになりました」
召使いの女性が、引き下がる。さっき、ヨアンさんのことを「お嬢様」って呼んでいたけど?
「お久しぶりです、みなさん」
ボクたちが見たものは、中央に座るヨアンさんだった。
キレイなドレスや装飾を着て、お化粧までして。男装のときとは違って、女性らしさが際立つ。まるで、お姫様のようである。
「ヨアン様!」
膝をつき、ククちゃんが再会を喜ぶ。
「クク様、二人を連れてきてくださったのですね」
ヨアンさんが、ククちゃんの肩に手を添えた。
まるで、立場が入れ替わったみたい。
「ちょっとまって。これじゃまるで……」
ボクは、ある可能性を疑う。
「ご想像のとおりです、ダイキ様。実は、魔王候補は私の方だったのです」
それじゃあククちゃんは、玉座だったと?
「このような姿を見ておわかりかと思いますが、私は現ダスカマダ国王の娘です」
ククちゃんとの関係が、なんかチグハグだと思っていたんだ。
「たしか。ダイキ」
「うん。ダスカマダ王って、体型がヨアンさんとそっくりだったんだ」
ヨアンさんは、目を閉じて語りだす。
「私の本名は、ヨアンナといいます。ヨアンナ・ニブラエリスと」
ニブラエリスって!
「はい。オーシャ・ニブラエリスは、私の母です」
展望台の上だ。誰もおらず、寂しい場所にスポットはあった。
「ダイキ、見て! 雲の上に、橋が浮かんでる!」
チサちゃんが興奮しながら、街の真上を指差す。
橋はまるでジェットコースターのようにクネクネして、街全体を取り囲んでいた。
「すごいね、圧倒されちゃう」
「ヘビみたい」
同じように天に浮遊する小島と連なって、さしずめダンジョンのような姿をしている。
「あれが最終チェックポイントですわ。我がダスカマダ王国が誇る最大のレース会場にして、天空の古戦場、【ワターキ島】ですの」
その昔、【神の騎乗位】という破壊神が、ワターキ島ごとこの地を襲った。
その時、ダスカマダ王とヴァンパイアの始祖ブラジャードが、力を合わせてハメルカバーを撃退した伝説があるという。
同じように、カリ・ダカ側も戦車を用いて、レース形式で。
【カリ・ダカ】ラリーの伝説は、そこから始まったという。
「伝統的なお祭りなんだね」
「普段はダンジョンとして開放していますの。年に一度、ダンジョンを最終レース会場として利用しますのよ。二人の王の伝説を語り継ぐため」
今でこそ形骸化しているが、当時はもっと本格的なレースだったらしい。
「あの島、どっかで見たことがあるような」
ボクが首を傾げていると、チサちゃんが叫ぶ。
「魔リカーッ!」
そうだった。ゲームで遊んだコースのひとつなんだ。
「お察しのとおりですわ。魔リカーは、魔界に実在するコースをモデルにして開発されたゲームですの」
この地も、魔リカーで使われたコースなんだね。感慨深いなぁ。
なのに、あまり楽しくない。ヨアンさんが心配だから。
「では参りましょう。ダスカマダへ」
ククちゃんには、ハチシャクに乗ってもらった。
ヨアンさんのミニバンは、オンコに動かしてもらっている。
少し早いが、メンテをしてもらうことにした。
いつでもラリーを再開できるように。
「ママさんのお弁当。食べて」
チサちゃんが、ククちゃんに女将さんのお弁当を渡す。
「入らないかも知れないけど、お腹に入れておいて」
「ありがとうございます」
お弁当を、ククちゃんが受け取った。けれど、手を付けない。
「必ず、ヨアンに届けます。そのときに、いただきますわ」
シートを揺らさないように、ボクは安全運転を心がける。
三〇分もしないうちに、景色がガラリを変わった。
「ここが、ダスカマダ王国ですわ」
ダスカマダ王の格好と王国の景色を見て、ちょっと中華風だなと思った。街並みは、赤い天井と緑の柱が目立つ。
「このまま、王宮まで向かってくださいまし」
「いいの?」
「よろしくて。話は通してあります」
ククちゃんは強気だ。
「変なことを聞くけど、攻撃されたりは?」
「そんな野蛮な方は、いらっしゃいませんわ。ただ」
「ただ?」
「ヨアンの姿を見ても、驚かないでくださいましね」
どうも、ワケアリのようである。
ククちゃんのナビで、王宮前までついた。
街の中央に、巨大な城が鎮座している。
門前の広場は、街の人全員が集会できそうだ。
壁際の広々とした駐車場に、車を止めさせてもらった。
「ごめんくださいまし」
番兵に、ククちゃんが声をかける。
「ヨアンを、ヨアン様を返してくださいまし!」
え、ヨアン……様だって?
「これはクク様。こちらの方々は?」
番兵が、槍を持つ手に力を入れる。
「ヨアンのお友達ですわ」
「なんと。失礼しました。ではこちらへ」
門の脇にある来客用扉から、ボクたちは城の中へ通された。応接間にて、ヨアンさんが待っているという。
「あら、クク様。ごきげんよう」
召使いの方が、ククちゃんに事情を聞いて、道案内をしてくれる。
「ククちゃん、さっきヨアン様って」
「もうすぐ、ヨアン……様に会えますわ」
応接間に、ボクたちは招かれた。
飲茶セットから、中国茶のような香りが漂う。
「ヨアンお嬢様、お察しの通り、お連れ様がお見えになりました」
召使いの女性が、引き下がる。さっき、ヨアンさんのことを「お嬢様」って呼んでいたけど?
「お久しぶりです、みなさん」
ボクたちが見たものは、中央に座るヨアンさんだった。
キレイなドレスや装飾を着て、お化粧までして。男装のときとは違って、女性らしさが際立つ。まるで、お姫様のようである。
「ヨアン様!」
膝をつき、ククちゃんが再会を喜ぶ。
「クク様、二人を連れてきてくださったのですね」
ヨアンさんが、ククちゃんの肩に手を添えた。
まるで、立場が入れ替わったみたい。
「ちょっとまって。これじゃまるで……」
ボクは、ある可能性を疑う。
「ご想像のとおりです、ダイキ様。実は、魔王候補は私の方だったのです」
それじゃあククちゃんは、玉座だったと?
「このような姿を見ておわかりかと思いますが、私は現ダスカマダ国王の娘です」
ククちゃんとの関係が、なんかチグハグだと思っていたんだ。
「たしか。ダイキ」
「うん。ダスカマダ王って、体型がヨアンさんとそっくりだったんだ」
ヨアンさんは、目を閉じて語りだす。
「私の本名は、ヨアンナといいます。ヨアンナ・ニブラエリスと」
ニブラエリスって!
「はい。オーシャ・ニブラエリスは、私の母です」
応援ありがとうございます!
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