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3-4 ダイキ VS LO【ハメルカバー】 リアル魔リカー対決!

ダスカマダ王との約束

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 ダスカマダ古戦場跡を舞台にした、レースがいよいよ始まろうとしている。

 天空にあるレース会場には、続々と魔王たちが集まっていた。モンスタートラックやドラゴンなどもいれば、小型バイク一台という漢らしい乗り物も。ラリーの最終種目と言うだけあって、みんなの気合が違う。数々の経験を経て、顔立ちも勇ましい。

 LOらしきモンスターたちも、各々のマシンを駆って参戦していた。

「ダイキ、あそこ」

 スキンヘッドの男性の隣に、ククちゃんとヨアンさんが窮屈そうに座っている。あのスキンヘッドさんが王様だろう。

 ククちゃんが、こちらに気づいた。席を立ち、王を連れてこちらに来る。

「あなたが、ダイキ様と、魔王チサ・ス・ギル様ですか。ダスカマダ国の王です」

「どうも。チサ・ス・ギルです」

 ボクたちは、共に挨拶をした。

 立ち話も疲れるだろうからと、特別スペースを用意してくれる。

「セーラさんと、ソーまで」

 ソーがパンケーキを、セーラさんは紅茶と焼き菓子をつまんでいた。

「おう。いつにも増して勇ましい顔になっとるな!」
 機械生命体なのに、体のどこに入るのかと思う。

「えっと、そちらの方は、はじめましてですね」

 ヨアンさんを数倍大人にしたような美しい女性が、立って頭を下げた。

「どうも、ヨアンの母、オーシャです」
 やはり伝説の歌手である。オーシャさんは声まで美しい。

 ボクらにもお茶が出されたが、手を出せる気分じゃなかった。
 いくら食いしん坊といえど、チサちゃんも同じ気持ちなのだろう。

 だんだんとお茶は冷めていく。

「それで確認です。ボクたちが負けたら、二人はハメルカバーの」

「はい。伴侶となっていただく」
 王が言うと、オーシャさんは悲しい顔になった。

「なぜです? こう言ってはなんですが、止められないのですか?」

「はい。そもそも私は、娘ヨアンが魔王候補になること自体、反対なのです。この条件は、そのペナルティでもあるのです」

「そんな!」

 あまりにも、二人がかわいそうだ。

「王よ、あなたはソーたちの味方?」

 チサちゃんの問いかけに、王は唇を噛みしめる。
 納得しているわけではないようだ。

「敗北した条件は、それだけではないのです。ハメルカバーには、この世界も明け渡すことになっています」
「なんですって⁉」

 責任が、さらに重くなった。一大事じゃないか。

「本来なら、もっと早く言うべきだったのですが、私にはもう、封印されたハメルカバーを抑える力がありません。娘のヨアンに期待したのですが、彼女には力が備わっていなくて」

 破壊神を抑え込んで街を守るため、ヨアンさんとククちゃんをイケニエとして差し出すしかないらしい。

「ソー、セーラさん、なんとかならないのかな?」
 二人共、首を横に振った。

「ワシらとのレースに勝つ以外、ハメルカバーを消滅させることはできんのじゃ。ワシらも本気じゃけん、これは譲れん」

 彼らも、神に世界の実権を握ってほしいと思っている。LOから返り咲くため。

「ハメルカバーとは本来、一言でいうと自然現象だ。特定の形は持ち合わせていない」

 便宜上、二人が合体した姿をハメルカバーと呼称しているだけらしい。

「言うことを聞かせたくてものう、言葉自体が通じんのじゃ。ワシら天使の声でさえ届かん」

 これでも、譲歩した結果だという。

「ワシらは棄権も考えたんじゃ。仲良くしましょうやって。ありえん、って返されたわい」
「手を抜いたら、すぐに発覚してしまう」

 誇り高き種族なら、体一つで勝負せよと。

「本当はちゃんと管理者がいたんだが、その人物も行方不明で」

 ハメルカバーと亜神が戦った時、いなくなってしまったらしい。

「チサちゃんのお父さんって、やっぱり激しい戦いをするんだね」
「すごい」

 ボクとチサちゃんが、あらためて【亜神 ラヴクラホテップ】の強さに感心した。

 だが、ソーは首を振る。

「いんや。ワシラの神ハメルカバーを封じたんは、ラヴクラホテップじゃないけん」

「そのとおり。別の亜神だ。ずっと昔の話なので、姿形どころか、名前も言い伝えられていないが」

 そうなの? てっきり、チサちゃんのパパさんかなって思ったんだけど。

 ずっと昔、ハメルカバーがこの地に降り立った時、カオスロリトとダスカマダは協力して撃退した。
 この地を治めていた亜神と共に。


 亜神は、暴走したハメルカバーの力を維持していた。自分の身を挺して。

「とにかく、いまはその亜神が施した、封印の力が弱まっとる。ワシらも天界側である以上、手加減できん」
「真剣勝負を、我々は所望する」

 セーラさんとソーの両者は、一歩も譲らない。

「ボクとチサちゃんが、勝つしかないんですね?」
「申し訳ございません。ムチャな約束なのは重々承知しているのですが」
「ボクたちに任せてください。必ず勝利します」

 もう、やるしかないんだ。

「よっしゃ。レースで待っとるで、ダイキ」
「本番、楽しみにしている」

 食事を終えたソーとセーラさんが、出発する。

 最後に、ヨアンさんが席を立つ。

「どうかご無事で。もしものことがあったら、私たちには構わないで」

「見捨てないよ」
 ボクは、チサちゃんとうなずき合う。

「うん、わたしたちは、絶対に二人を見捨てない」
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