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第九章 国王、ソロで隠れ家作り
第26話 先代国王のおひとりさま趣味
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オレは先代の国王がなにをしていたのか、古い日記帳で確かめることにした。
おひとりさまっていったって、ネタは頭打ちになる。
他の国の国王なんかも、どうやって自分時間を過ごしているのか。また、その秘匿方法は?
「ふーむ。【魔王】となったヤツも、いるんだな」
【魔王】……【冒険の書】を悪用したものは、問答無用でアイテムを没収される。
他所の国を侵略しようとしたり、名産品を自国で転売したり。
あまり、褒められたものではないな。
転売なんて、タダのパクリ行為である。自分の国が貧窮にあえいでいて、市民に分け与えたならともかく。
「で、オヤジはどうしていたのか、と」
ふむふむ。あまりよその国へ出かけたって、記録はないな。出先は、オレとたいして変わらないのか。
そのかわりに現れたのは、大量のアルバムである。
素人ながら、被写体を大切にした、見ていて心地の良い写真ばかり。
オレたち家族を写したものの他に、風景写真がやたらとある。
「ああ、そうだった。そうだった。オヤジは、写真が趣味だったんだよな」
先代国王は生前、「自分が国王でなかったら、写真家になりたかった」と話していた。
こういう趣味があったら、また楽しかっただろうな。
写真撮影か。いい趣味してるねー。
オレはあんまり、得意ではなかったけど。
第一、国王になってから、いろんな趣味を集めている感じである。料理や釣り、温泉巡りなど。
「ん?」
これは、建物か。なにかの小屋のようだけど。
「土地は、見覚えがあるぞ」
たしか、アルマーじゃないか? 温泉郷がある場所で、父のアルバムにもよく出てくる。
小屋の写真は、内装や外壁の画像が大半だ。しかし、人が住んでいる気配はない。
「ときどき、そこをネグラにしていた盗賊と戦った」という記録も、アルバムに記載されている。
「あれか、廃墟探索か!」
こんな趣味が、あったとは。おそらくカメラ趣味がこうじて、廃墟の探索まで発展したんだろうな。
カメラか。それも楽しそうだ。
だが、オレはもう一つやってみたいことが。
「そうだ。家を建てよう」
自分だけの隠れ家を、自分だけで作ってみる。
これって、最高のぜいたくなのではないか?
オレの建築スキルなんて、王都でちょっくら壁を修理したり、孫にせがまれて犬小屋を作るといった、日曜大工レベルである。
とはいえある程度まで鍛えたら、家を建てられるくらいにまで作れるのでは?
できた家は、掘っ立て小屋でもいい。作ってみれば、それなりの家が作れるはずだ。スキマ風が、入ってきてもいい。ずっと、住むわけではないからな。気になってきたら、改装すればよいのだ。
場所は、やっぱアルマーだな。
よし。そうと決まれば、スキルアップしてやろうじゃん!
「誰か!」
「はっ。ここに」
大臣が、オレの呼びかけに現れた。
「なにか建てる仕事などはないか? 橋をかけるとか、高台を修理するなどだ」
「近々、橋の修理を致します」
「オレにやらせろ」
大臣は、オレの言葉にクビをかしげる。
「配下の者に、やらせます。ソロガス陛下自らがお出ましになるような件では」
「建築スキルを、鍛えようと考えているのだ。万が一王宮の改装があった場合、オレがスキルを持っていたほうが、スキにできるではないか。建築士とも、相談がしやすい」
これ、実は本当のことだ。実際、王宮の改装は近いうちに行われる。
「ははあ。いやはや、すばらしいご提案だと思います。ですがお手を煩わせるようなことは」
「オレが、やりてえって言ってるんだ。やらせてくれ」
「しょ、承知! さっそく、ご案内いたします!」
大臣に連れられて、橋の改造予定地に到着。
たしかに、狭い。いつ頃の建造物よ、これ。
「先代国王の代に作られたものでもあり、『伝統を残したい』という意見と、『頻繁に使うのに古すぎて不便』という意見が入り混じっておりまして」
「改造だ! 問答無用である」
先代をリスペクトするなら、記念碑でも建てておけ。
「写真家を呼べ。改装前の記録を、看板でも置いて残しておけ」
それだけやっておけば、先代国王のファンも納得するだろうよ。
改築前の古い橋の写真を撮らせて、改築を始める。
「【建築】スキル発動!」
新品の丸太を、モリモリと重ねていった。
「バランスをお考えくださいね、陛下」
「わかっておる」
ちゃんと建築士からアドバイスを受けながら、自分で魔法を使って橋をかけ直す。
「よし、こんなもんか?」
「お見事にございます。修正するつもりでしたが、杞憂でしたな」
建築士もご満足の様子だ。
ひとまず、スキルアップはまずまずのようである。
さて、【冒険の書】でアルマーに飛び、手頃な土地を探そう。
今は昼間である。昼食の時間を、ズラしたのだ。
なるべく商業ギルドの空いている時間に、飛ぶためである。
アルマー内の、商業ギルドへ。
「おや、あなたは?」
「こんにちは。旅の方。いつぞやは、お世話になりました」
この前、オレが助けた貴族の男性ではないか。
貴族の男性は、商業ギルドの制服を着たお姉さんと話していた。
あんとき馬車の中にいた女性は、ギルドのえらいさんだったのか。
おひとりさまっていったって、ネタは頭打ちになる。
他の国の国王なんかも、どうやって自分時間を過ごしているのか。また、その秘匿方法は?
「ふーむ。【魔王】となったヤツも、いるんだな」
【魔王】……【冒険の書】を悪用したものは、問答無用でアイテムを没収される。
他所の国を侵略しようとしたり、名産品を自国で転売したり。
あまり、褒められたものではないな。
転売なんて、タダのパクリ行為である。自分の国が貧窮にあえいでいて、市民に分け与えたならともかく。
「で、オヤジはどうしていたのか、と」
ふむふむ。あまりよその国へ出かけたって、記録はないな。出先は、オレとたいして変わらないのか。
そのかわりに現れたのは、大量のアルバムである。
素人ながら、被写体を大切にした、見ていて心地の良い写真ばかり。
オレたち家族を写したものの他に、風景写真がやたらとある。
「ああ、そうだった。そうだった。オヤジは、写真が趣味だったんだよな」
先代国王は生前、「自分が国王でなかったら、写真家になりたかった」と話していた。
こういう趣味があったら、また楽しかっただろうな。
写真撮影か。いい趣味してるねー。
オレはあんまり、得意ではなかったけど。
第一、国王になってから、いろんな趣味を集めている感じである。料理や釣り、温泉巡りなど。
「ん?」
これは、建物か。なにかの小屋のようだけど。
「土地は、見覚えがあるぞ」
たしか、アルマーじゃないか? 温泉郷がある場所で、父のアルバムにもよく出てくる。
小屋の写真は、内装や外壁の画像が大半だ。しかし、人が住んでいる気配はない。
「ときどき、そこをネグラにしていた盗賊と戦った」という記録も、アルバムに記載されている。
「あれか、廃墟探索か!」
こんな趣味が、あったとは。おそらくカメラ趣味がこうじて、廃墟の探索まで発展したんだろうな。
カメラか。それも楽しそうだ。
だが、オレはもう一つやってみたいことが。
「そうだ。家を建てよう」
自分だけの隠れ家を、自分だけで作ってみる。
これって、最高のぜいたくなのではないか?
オレの建築スキルなんて、王都でちょっくら壁を修理したり、孫にせがまれて犬小屋を作るといった、日曜大工レベルである。
とはいえある程度まで鍛えたら、家を建てられるくらいにまで作れるのでは?
できた家は、掘っ立て小屋でもいい。作ってみれば、それなりの家が作れるはずだ。スキマ風が、入ってきてもいい。ずっと、住むわけではないからな。気になってきたら、改装すればよいのだ。
場所は、やっぱアルマーだな。
よし。そうと決まれば、スキルアップしてやろうじゃん!
「誰か!」
「はっ。ここに」
大臣が、オレの呼びかけに現れた。
「なにか建てる仕事などはないか? 橋をかけるとか、高台を修理するなどだ」
「近々、橋の修理を致します」
「オレにやらせろ」
大臣は、オレの言葉にクビをかしげる。
「配下の者に、やらせます。ソロガス陛下自らがお出ましになるような件では」
「建築スキルを、鍛えようと考えているのだ。万が一王宮の改装があった場合、オレがスキルを持っていたほうが、スキにできるではないか。建築士とも、相談がしやすい」
これ、実は本当のことだ。実際、王宮の改装は近いうちに行われる。
「ははあ。いやはや、すばらしいご提案だと思います。ですがお手を煩わせるようなことは」
「オレが、やりてえって言ってるんだ。やらせてくれ」
「しょ、承知! さっそく、ご案内いたします!」
大臣に連れられて、橋の改造予定地に到着。
たしかに、狭い。いつ頃の建造物よ、これ。
「先代国王の代に作られたものでもあり、『伝統を残したい』という意見と、『頻繁に使うのに古すぎて不便』という意見が入り混じっておりまして」
「改造だ! 問答無用である」
先代をリスペクトするなら、記念碑でも建てておけ。
「写真家を呼べ。改装前の記録を、看板でも置いて残しておけ」
それだけやっておけば、先代国王のファンも納得するだろうよ。
改築前の古い橋の写真を撮らせて、改築を始める。
「【建築】スキル発動!」
新品の丸太を、モリモリと重ねていった。
「バランスをお考えくださいね、陛下」
「わかっておる」
ちゃんと建築士からアドバイスを受けながら、自分で魔法を使って橋をかけ直す。
「よし、こんなもんか?」
「お見事にございます。修正するつもりでしたが、杞憂でしたな」
建築士もご満足の様子だ。
ひとまず、スキルアップはまずまずのようである。
さて、【冒険の書】でアルマーに飛び、手頃な土地を探そう。
今は昼間である。昼食の時間を、ズラしたのだ。
なるべく商業ギルドの空いている時間に、飛ぶためである。
アルマー内の、商業ギルドへ。
「おや、あなたは?」
「こんにちは。旅の方。いつぞやは、お世話になりました」
この前、オレが助けた貴族の男性ではないか。
貴族の男性は、商業ギルドの制服を着たお姉さんと話していた。
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