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第二章 人妻ダークエルフ忍者と、旅立つ
第13話 卑劣な冒険者
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冒険者ギルドに戻るなり、セーコさんが受付に向かう。
「私の息子を、オークに売った冒険者がいる」
「なんですって!? 一体誰が!?」
「わからないよ。でも、息子がオーク共に捕まっていた」
オークを討伐はしたが、これは由々しき事態である。冒険者が同業者の肉親に手を出すなど、最悪の背信行為だ。
チンピラ風の男性冒険者が、ギルドに入ってきた。
「あなたねえ! いくらヒューゴさんたちに恥をかかされたからって、セーコさんの子どもをオークに売るなんて、ひどすぎます!」
サクラさんが、この間食って掛かってきたチンピラ風の冒険者に噛みつく。
「オレじゃねえ! オレも現場に向かったんだ! セーコのガキがいるって聞いて!」
チンピラ風冒険者は、首をブンブンと振る。
「待ちな、サクラ! そいつじゃないよ」
セーコさんが、サクラさんを止めた。
「そいつの娘が最初に、とっ捕まりかけていたらしい」
「……ホントですか?」
「ああ。息子が証言してくれた」
実は、狙われていたのはチンピラ冒険者の娘だった。それなりに実力のある冒険者だったら、誰でもよかったようだ。
たまたま一人で買い物をしていたセーコさんの息子さんが、その現場を目撃した。
冒険者の娘が連れて行かれそうになったのを、助けたらしい。
セーコさんの息子さんは、チンピラの娘を逃がして、捕まったという。自分のほうが、人質としての勝ちがあるだろうと。
さすがのオークも、セーコさんの子どもに手を出したらただでは済まないと考えていた。
しかし、相手が自ら出向いてくれている。
これを逃す手はないと、オークたちは考えたようだ。
「えっと。あなたですよね? セーコさんを狙っていたオークを、矢で撃ったのは」
「隠してもムダよ。前にあたしがあんたの懐に入ったとき、武器を見たわ。あんたは【レンジャー】。クロスボウの矢にも、見覚えがあったわ」
ボクやソーニャさんが尋ねても、冒険者は語らない。それが回答だった。
「ありがとうよ。おかげで息子も無事だ」
「オレは、仕事をしただけだよ」
冒険者は、手に銅貨を握っていた。
「娘が、依頼してきた。自分の身代わりになった男の子を助けて、ってな」
顔をそらしたまま、冒険者は語る。
なけなしのおこづかいを、娘が差し出したらしい。父親が、金でしか動かないと知っていたからだ。
「申し訳ありません」
「いや、いいんだ。オレの方こそ、しょうもない依頼だと、邪険にして悪かった」
今回の件で、男性冒険者も少しは考えが変わってくれたらいいけど。
「ヒューゴ、今回の件で、私はギルドと話し合う。あんたたちは、聞かないほうがいい。どうもきな臭いからね」
「わかりました」
「あんたたちは報酬を受け取ったら、次の依頼を受けるなり装備品を新調するなりして、宿に帰りな」
「はい。セーコさん、お気をつけて」
「あんたたちも」
セーコさんと別れて、報酬を受け取った。
無事に帰ってきた子どもが、依頼者と抱き合う。
よかった。これで依頼は達成だ。
「依頼料はほんの少しだけど、この笑顔こそ報酬だよね」
「何を言っているの、ヒューゴ? オークからゲットした戦利品こそ、冒険者の報酬よ」
そうだった。結構なアイテムが、手に入ったんだっけ。
「すっご! このヨロイ、強いよ」
オークロードからは、金属ヨロイが手に入った。
体力がほんの少しアップし、多少の攻撃なら跳ね返す。しかも、金属製なのに軽い。薄い板金を鎖で繋げた、いわゆる【スケイルアーマー】というやつだ。極薄金属板で構成されているが、それでも今までのレザーアーマーよりは強度が高い。魔法防御効果も、込められていた。
盾を装備しようか悩んでいたので、アーマーが手に入ったのは助かる。
「でも、蕃刀の方は扱えないよ」
蕃刀は、大きすぎる。片手剣なのに、両手でさえ持ち上がらない。ボクには使えないね。
他のオークからは、魔石だけ手に入れた。こちらは換金だ。
「ソーニャさんの方は?」
「倒した個体の中に、オークチャンピオンがいたわ。そこから、これを」
雷撃属性のある、ブレスレットを手に入れたらしい。
「攻撃にも防御にも転換できる、便利アイテムね」
「いい感じだね」
この調子で、ドンドンと依頼を達成していこう。
「他に、なにかないかな。できれば、ダンジョン探索系がほしいんだけど」
ダンジョンには、一度も潜っていない。可能であれば、経験してみたいが。
「これなんていいんじゃない? 近くのダンジョンで、新種の鉱石が見つかったそうよ。また取れるかもしれないから、取ってきてほしいって」
柔らかい石だそうで、鉱石としての価値は低いという。が、魔法価値が高いらしい。
「いいね。依頼者に、話を聞いてみよう」
「ちょうど、装備品の売店がそうよ。行きましょう」
いらない装備品の換金ついでに、依頼を受けることにした。
店番をしているのは、ドワーフさんだ。トンカチを持っているから、装備品の修理や製造などもやっていそうだ。
「おやおや、かわいらしい冒険者ではないか」
「こんばんは。まだ空いていますか」
「ああ。やっているとも。どれがほしい?」
「今日は、換金なんですよ」
「よし。装備を見せておくれ」
さっそく、オークロードの蕃刀を差し出す。
ドワーフのおじさんが、蕃刀を持って目を光らせた。
「おお、こいつには、依頼の鉱石が一部使われておるではないか」
「私の息子を、オークに売った冒険者がいる」
「なんですって!? 一体誰が!?」
「わからないよ。でも、息子がオーク共に捕まっていた」
オークを討伐はしたが、これは由々しき事態である。冒険者が同業者の肉親に手を出すなど、最悪の背信行為だ。
チンピラ風の男性冒険者が、ギルドに入ってきた。
「あなたねえ! いくらヒューゴさんたちに恥をかかされたからって、セーコさんの子どもをオークに売るなんて、ひどすぎます!」
サクラさんが、この間食って掛かってきたチンピラ風の冒険者に噛みつく。
「オレじゃねえ! オレも現場に向かったんだ! セーコのガキがいるって聞いて!」
チンピラ風冒険者は、首をブンブンと振る。
「待ちな、サクラ! そいつじゃないよ」
セーコさんが、サクラさんを止めた。
「そいつの娘が最初に、とっ捕まりかけていたらしい」
「……ホントですか?」
「ああ。息子が証言してくれた」
実は、狙われていたのはチンピラ冒険者の娘だった。それなりに実力のある冒険者だったら、誰でもよかったようだ。
たまたま一人で買い物をしていたセーコさんの息子さんが、その現場を目撃した。
冒険者の娘が連れて行かれそうになったのを、助けたらしい。
セーコさんの息子さんは、チンピラの娘を逃がして、捕まったという。自分のほうが、人質としての勝ちがあるだろうと。
さすがのオークも、セーコさんの子どもに手を出したらただでは済まないと考えていた。
しかし、相手が自ら出向いてくれている。
これを逃す手はないと、オークたちは考えたようだ。
「えっと。あなたですよね? セーコさんを狙っていたオークを、矢で撃ったのは」
「隠してもムダよ。前にあたしがあんたの懐に入ったとき、武器を見たわ。あんたは【レンジャー】。クロスボウの矢にも、見覚えがあったわ」
ボクやソーニャさんが尋ねても、冒険者は語らない。それが回答だった。
「ありがとうよ。おかげで息子も無事だ」
「オレは、仕事をしただけだよ」
冒険者は、手に銅貨を握っていた。
「娘が、依頼してきた。自分の身代わりになった男の子を助けて、ってな」
顔をそらしたまま、冒険者は語る。
なけなしのおこづかいを、娘が差し出したらしい。父親が、金でしか動かないと知っていたからだ。
「申し訳ありません」
「いや、いいんだ。オレの方こそ、しょうもない依頼だと、邪険にして悪かった」
今回の件で、男性冒険者も少しは考えが変わってくれたらいいけど。
「ヒューゴ、今回の件で、私はギルドと話し合う。あんたたちは、聞かないほうがいい。どうもきな臭いからね」
「わかりました」
「あんたたちは報酬を受け取ったら、次の依頼を受けるなり装備品を新調するなりして、宿に帰りな」
「はい。セーコさん、お気をつけて」
「あんたたちも」
セーコさんと別れて、報酬を受け取った。
無事に帰ってきた子どもが、依頼者と抱き合う。
よかった。これで依頼は達成だ。
「依頼料はほんの少しだけど、この笑顔こそ報酬だよね」
「何を言っているの、ヒューゴ? オークからゲットした戦利品こそ、冒険者の報酬よ」
そうだった。結構なアイテムが、手に入ったんだっけ。
「すっご! このヨロイ、強いよ」
オークロードからは、金属ヨロイが手に入った。
体力がほんの少しアップし、多少の攻撃なら跳ね返す。しかも、金属製なのに軽い。薄い板金を鎖で繋げた、いわゆる【スケイルアーマー】というやつだ。極薄金属板で構成されているが、それでも今までのレザーアーマーよりは強度が高い。魔法防御効果も、込められていた。
盾を装備しようか悩んでいたので、アーマーが手に入ったのは助かる。
「でも、蕃刀の方は扱えないよ」
蕃刀は、大きすぎる。片手剣なのに、両手でさえ持ち上がらない。ボクには使えないね。
他のオークからは、魔石だけ手に入れた。こちらは換金だ。
「ソーニャさんの方は?」
「倒した個体の中に、オークチャンピオンがいたわ。そこから、これを」
雷撃属性のある、ブレスレットを手に入れたらしい。
「攻撃にも防御にも転換できる、便利アイテムね」
「いい感じだね」
この調子で、ドンドンと依頼を達成していこう。
「他に、なにかないかな。できれば、ダンジョン探索系がほしいんだけど」
ダンジョンには、一度も潜っていない。可能であれば、経験してみたいが。
「これなんていいんじゃない? 近くのダンジョンで、新種の鉱石が見つかったそうよ。また取れるかもしれないから、取ってきてほしいって」
柔らかい石だそうで、鉱石としての価値は低いという。が、魔法価値が高いらしい。
「いいね。依頼者に、話を聞いてみよう」
「ちょうど、装備品の売店がそうよ。行きましょう」
いらない装備品の換金ついでに、依頼を受けることにした。
店番をしているのは、ドワーフさんだ。トンカチを持っているから、装備品の修理や製造などもやっていそうだ。
「おやおや、かわいらしい冒険者ではないか」
「こんばんは。まだ空いていますか」
「ああ。やっているとも。どれがほしい?」
「今日は、換金なんですよ」
「よし。装備を見せておくれ」
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ドワーフのおじさんが、蕃刀を持って目を光らせた。
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