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第五章 転職して、最終決戦へ
第40話 転職
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ボクは、ザスキアさんの元で特訓をしてもらうことにした。
元々の師匠であるボーゲンさんは、ソーニャさんの鍛錬で忙しい。
セーコさんにも、ラクをしてもらいたかった。せっかく、親子水入らずなんだから。
ボクは、ボクのできることをする。
「ハリョール村のヒューゴよ。姫を解放してくれて、礼をいう。なので、全力で鍛えるつもりだ」
「お願いします」
「もう始まっている」
「え!?」
ボクが剣を構えた瞬間には、もうザスキアさんが視界にいなかった。
とっさに、ボクは剣でザスキアさんの刀を受け止める。
バチインッ! と、凄まじい音がなった。
ザスキアさんの刀は、ボクの首に向けられている。
気配を察知していなかったら、ボクの首が飛んでいただろう。
「見事な反応速度だ。それを意識で気にできるようになれば、王族騎士団にも実力が届く」
ザスキアさんが、刀を引いた。
「だが、本番はこんなものではない。ゆくぞ」
「はい」
ボクは、さらなるトレーニングに励んだ。
「それまで」
「ありがとうございます」
「見事だ。ワタシの剣術に、よくここまでついてこられたな」
ザスキアさんの横顔に、夕日が差す。
「どうだろう。さらなる高みに、挑戦してみないか?」
「といいますと?」
「【転職】を考えてみてはどうか、と」
今のボクの職業は、【魔法戦士】として十分の経験を積んだ。そこからより強いジョブに転職をして、新たな力を得てみてはどうかと、ザスキアさんが提案してきた。
「ボクが、転職ですか」
自分では、まったく強くなった実感はなかったけど。
「お前は魔法戦士としては、もう頭打ちだ。ここで転職し、一気に強くなってもいい」
もちろん、このまま魔法戦士としてレベルを上げることだって可能だ。それでも、魔法戦士としては強い。
だが転職すれば、できることが増える。
「魔法を使える戦士職は、色々あるぞ」
騎士団の詰め所にて、ザスキアさんが職業の表を見せてくれた。
「魔法の戦士職は、かなりのセンスが問われる。そのため、なり手が少ないんだ」
なんでもできる反面、器用貧乏になりやすい。中途半端に魔法系+戦士系とするより、魔法使いか戦士に限定したほうがいいそうだ。
騎士団の中でも、そういった考えの人が多い。
サンプル人材として、騎士団の副団長を紹介してもらった。ヒゲモジャのドワーフさんである。鍛冶屋のヘッテピさんはずんぐりむっくりだが、彼は引き締まっている。より、戦闘向けの体系だ。
「ウチの副団長であるドワーフ男だが、純粋な【フェンサー】だ」
フェンサーとは、防御に特化した騎士職である。フェンス……つまり護衛に、すべてのリソースを割いている。大盾でみんなを守り、自身の武器はレイピアかナイフ一本と、漢らしいといえば漢らしい。
「どうだ。なにかわかるか?」
「筋肉のつき具合からして、素早く動くよりは足を踏ん張って耐えることに向いている気がします」
「鋭いな」と、ザスキアさんが舌を巻いた。
「二刀流ならぬ、二盾流でな。盾を二つ持っている。全身ヨロイで、身を固めているのだ。姫のガードに、特化した人物である」
騎士団における攻撃の要は、ザスキアさんだ。
副団長は、とにかく姫を守ることに尽力を注いでいる。
「まあ、こいつの場合は特別だ。お前はマネする必要はない。ヒューゴは、自分の持ち味を活かせ」
「はい」
「で、だ。魔法職となると、三種類の上級職がある。【侍】・【パラディン】・【ルーンナイト】がある」
侍は、攻撃特化の魔法戦士だ。【貫通】というスキルを持ち、防御力無視でダメージを重ねていく。「相手の防御力を突き抜ける」という、特性を持つ。
パラディンは、防御の要だ。【魔法盾】で、属性攻撃も退ける。戦闘力より、回復や魔法障壁を得意とする騎士職だ。
「お前の特性を活かすなら、ルーンナイトかなと」
ルーンナイトは、侍とパラディンの中間に位置するという。どちらの効果も発揮できるが、攻撃も防御もイマイチで、ボチボチだ。
また、レアアイテム取得率を継続できるのもウリである。装備品で強くなっていくタイプと言えた。今のボクと、同じ感じだね。
「どうだろう? 決めるのはヒューゴ、お前だ」
「【相手の防御力突破】の特性は、魅力的なんですよねえ」
ボクは一瞬、侍に気持ちが傾きかけた。
「とはいえ、ウチは魔法使いが二人もいるので、ルーンナイトが無難かなと」
「そうだな。侍ともなると抜群に攻撃力が上がるが、防御を捨てなければならない。今持っている大型の剣も、ガラクタになる」
「そうなんですか?」
「ああ。スピードが死ぬからな」
侍ともなると、【刀】という専用装備が必要になってくる。
たしかにギソとの戦いでは、刀の威力は魅力的だと思った。
とはいえ、ソーニャさんを守れなくなるのは厳しい。
「じゃあ、ルーンナイトで行きます」
幸い、今は魔剣【デュランダル】の他に、丸い形の片手盾も手に入れている。これを活かす方向で行く。
「それがいい。今のお前なら、なんでも使いこなせそうだな。では、転職の間へ案内する」
元々の師匠であるボーゲンさんは、ソーニャさんの鍛錬で忙しい。
セーコさんにも、ラクをしてもらいたかった。せっかく、親子水入らずなんだから。
ボクは、ボクのできることをする。
「ハリョール村のヒューゴよ。姫を解放してくれて、礼をいう。なので、全力で鍛えるつもりだ」
「お願いします」
「もう始まっている」
「え!?」
ボクが剣を構えた瞬間には、もうザスキアさんが視界にいなかった。
とっさに、ボクは剣でザスキアさんの刀を受け止める。
バチインッ! と、凄まじい音がなった。
ザスキアさんの刀は、ボクの首に向けられている。
気配を察知していなかったら、ボクの首が飛んでいただろう。
「見事な反応速度だ。それを意識で気にできるようになれば、王族騎士団にも実力が届く」
ザスキアさんが、刀を引いた。
「だが、本番はこんなものではない。ゆくぞ」
「はい」
ボクは、さらなるトレーニングに励んだ。
「それまで」
「ありがとうございます」
「見事だ。ワタシの剣術に、よくここまでついてこられたな」
ザスキアさんの横顔に、夕日が差す。
「どうだろう。さらなる高みに、挑戦してみないか?」
「といいますと?」
「【転職】を考えてみてはどうか、と」
今のボクの職業は、【魔法戦士】として十分の経験を積んだ。そこからより強いジョブに転職をして、新たな力を得てみてはどうかと、ザスキアさんが提案してきた。
「ボクが、転職ですか」
自分では、まったく強くなった実感はなかったけど。
「お前は魔法戦士としては、もう頭打ちだ。ここで転職し、一気に強くなってもいい」
もちろん、このまま魔法戦士としてレベルを上げることだって可能だ。それでも、魔法戦士としては強い。
だが転職すれば、できることが増える。
「魔法を使える戦士職は、色々あるぞ」
騎士団の詰め所にて、ザスキアさんが職業の表を見せてくれた。
「魔法の戦士職は、かなりのセンスが問われる。そのため、なり手が少ないんだ」
なんでもできる反面、器用貧乏になりやすい。中途半端に魔法系+戦士系とするより、魔法使いか戦士に限定したほうがいいそうだ。
騎士団の中でも、そういった考えの人が多い。
サンプル人材として、騎士団の副団長を紹介してもらった。ヒゲモジャのドワーフさんである。鍛冶屋のヘッテピさんはずんぐりむっくりだが、彼は引き締まっている。より、戦闘向けの体系だ。
「ウチの副団長であるドワーフ男だが、純粋な【フェンサー】だ」
フェンサーとは、防御に特化した騎士職である。フェンス……つまり護衛に、すべてのリソースを割いている。大盾でみんなを守り、自身の武器はレイピアかナイフ一本と、漢らしいといえば漢らしい。
「どうだ。なにかわかるか?」
「筋肉のつき具合からして、素早く動くよりは足を踏ん張って耐えることに向いている気がします」
「鋭いな」と、ザスキアさんが舌を巻いた。
「二刀流ならぬ、二盾流でな。盾を二つ持っている。全身ヨロイで、身を固めているのだ。姫のガードに、特化した人物である」
騎士団における攻撃の要は、ザスキアさんだ。
副団長は、とにかく姫を守ることに尽力を注いでいる。
「まあ、こいつの場合は特別だ。お前はマネする必要はない。ヒューゴは、自分の持ち味を活かせ」
「はい」
「で、だ。魔法職となると、三種類の上級職がある。【侍】・【パラディン】・【ルーンナイト】がある」
侍は、攻撃特化の魔法戦士だ。【貫通】というスキルを持ち、防御力無視でダメージを重ねていく。「相手の防御力を突き抜ける」という、特性を持つ。
パラディンは、防御の要だ。【魔法盾】で、属性攻撃も退ける。戦闘力より、回復や魔法障壁を得意とする騎士職だ。
「お前の特性を活かすなら、ルーンナイトかなと」
ルーンナイトは、侍とパラディンの中間に位置するという。どちらの効果も発揮できるが、攻撃も防御もイマイチで、ボチボチだ。
また、レアアイテム取得率を継続できるのもウリである。装備品で強くなっていくタイプと言えた。今のボクと、同じ感じだね。
「どうだろう? 決めるのはヒューゴ、お前だ」
「【相手の防御力突破】の特性は、魅力的なんですよねえ」
ボクは一瞬、侍に気持ちが傾きかけた。
「とはいえ、ウチは魔法使いが二人もいるので、ルーンナイトが無難かなと」
「そうだな。侍ともなると抜群に攻撃力が上がるが、防御を捨てなければならない。今持っている大型の剣も、ガラクタになる」
「そうなんですか?」
「ああ。スピードが死ぬからな」
侍ともなると、【刀】という専用装備が必要になってくる。
たしかにギソとの戦いでは、刀の威力は魅力的だと思った。
とはいえ、ソーニャさんを守れなくなるのは厳しい。
「じゃあ、ルーンナイトで行きます」
幸い、今は魔剣【デュランダル】の他に、丸い形の片手盾も手に入れている。これを活かす方向で行く。
「それがいい。今のお前なら、なんでも使いこなせそうだな。では、転職の間へ案内する」
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