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第五章 転職して、最終決戦へ
第43話 敵の本拠地へ
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「ヒューゴ、ここが敵の本拠地、ケブネロスの丘です」
ボクらは、北の山脈にたどり着いた。
まだ冬ではないというのに、山頂には雪がまだ残っている。
この山を抜けた先に、邪神を祀る神殿があるという。
「本当に、騎士団を連れてこなくてもよかったの?」
「ヘタに騎士団を呼んで全滅しましたなんて、目も当てられないって」
エレオノル様率いる騎士団には、他国への支援要請をお願いしてもらった。直接戦闘はボクたちがやるので、姫には周辺諸国にバックアップをしてもらえないか、頼んでいる。
ケブネロスに唯一ある街に、足を踏み入れた。
さっそく冒険者ギルドに、話を通す。
「ごめんください。街の偉い方をお願いしたく」
ソーニャさんが、ソフィーア名義で街のリーダーにあいさつをする。
「私です」と、街の領主様が出てきてくれた。
「我々は、邪教を討伐するためにやってきた、旅のものです。【赤術師 ボーゲン】の名のもとに、フルドレンの野望を阻止しに参りました」
ボーゲンさんにも、一筆書いてもらっている。
「これは、ボーゲン様直筆の。確認致しました」
領主様が、使いの魔術師に書状を確かめさせた。見ただけで、ボーゲンさんの書類だってわかったぽいが。
「こんな遠くまで、ご苦労さまでした。現在の状況は、このようになっております」
冒険者を雇い、街の治安は守られているという。
だが、いつ街の均衡が崩れてもおかしいくないそうだ。
「複数の冒険者が、フルドレンの居城を叩きに向かいました。しかし、誰も帰ってきません。腕のたつ冒険者だったのですが」
領主様に、地図を見せてもらう。
「この円錐状の塔が、丘の上に立っております。この頂上に、邪神が祀られているそうです。誰も、到達したことはありませんが、邪神の像がこちらでも見えますので、間違いありません」
領主が、ボクらを外へ連れ出す。
確かにギルドのベランダから、邪神の像が見えた。あそこに、塔があるのか。
「あそこだけ、空が赤いわ」
ソーニャさんが、塔の上を指さした。
たしかに、黒い雲に穴が空いている。そこから見える空が、血のように真っ赤だ。
あの像は、最近できたものだという。赤い空も、同時に現れたそうだ。
「街の者たちも、ずっと怯えて暮らしています。ものを盗られたりなどはないのですが、邪悪な目に見つめられているだけで、心を病んでしまうものもいます」
「わかりました。これより、討伐に向かいます」
街から直接の依頼を受けたことで、ボクたちは本格的に始動を始めた。
邪神の塔に近づくと、さっそくモンスターが襲いかかってくる。
「ヴィク。最初から、クライマックスでいくよ」
「どうぞ、バックアップはお任せを」
ヴィクが、ドーム状に魔法障壁を展開した。
その外から、キルシュが槍を投げる。
魔物たちが、キルシュの投げた槍斧のエジキに。
「ヒューッ!」
キルシュはさらに、槍斧の上に乗り込む。
足で槍を回転させながら、魔物の群れを突っ切っていった。
「入口の魔物は任せて! みんなは中に!」
「ありがとう、キルシュ! すぐ終わらせるから!」
ボクたちは、塔の中へ。
「むう!」
ヴィクの障壁が、一瞬で破壊された。
強い攻撃が来たと言うより、対の属性魔法によって消去されたかのような消え方である。
「なんという。まさか鳥人族の中で、サヴィニャックに背くものがいたとは」
鳥人族の強力な魔法障壁を消した相手は、カラスの鳥人族だった。
「久しいな、ヴィクドインヌ=メロー・サヴィニャック。我が名は、ロメロ・ギソ。邪神を祀るギソ一族の血を引く鳥人族なり」
カラス鳥人族のこめかみからは、フルドレンを象徴する牛の角が生えている。
「なにが久しいものか。鳥人族の誇りを忘れたものなんぞ知らぬ」
いつもバックアップに回る僧侶然としたヴィクが、やけに攻撃的なセリフを吐いた。
「まさか、こんな運命が待っていようとは。ヒューゴさん、ソーニャ殿。ここは任せて、先に行ってくだされ」
「大丈夫なの? 三人で協力すれば、倒せない?」
「おそらくは。しかし、それでは邪神復活を許してしまいます。お二人はどうか、邪神の復活を阻止してください。もはや、一刻の猶予もありませんぞ」
ボクは無言で、戸惑うソーニャさんの手を引っ張った。
ヴィクの意志を、ムダにはできない。
*
「ふーっ。ざっとこんなもんかな?」
キルシュが槍斧から降りると、どこからともなく槍が飛んできた。
これは、竜人族の槍である。
「おっと。誰かと思えば」
竜人族の女性が、キルシュの前に現れた。黄色と黒といった、病的なウロコに身を包んでいる。フルドレンを表す、牛の角が生えていた。
「アタイの名は、ラコブ・ギソ。邪神の血を引く者。ここから先には、行かせぬ」
「ちょーどいいや。ザコ相手ばっかりで、退屈していたんだよね」
「アタイからすれば、アンタの方がザコっぽく見えるけどね!」
たしかに、肉つきは相手のほうが大きい。
だが、ただデカいだけの魔物なら、いくらでも相手にしてきた。負ける気はしない。
「その考えを、改めさせてあげるよ!」
「邪神に楯突いたってムダさ!」
毒々しい槍を構えたラコブが、キルシュの槍斧と交差する。
ボクらは、北の山脈にたどり着いた。
まだ冬ではないというのに、山頂には雪がまだ残っている。
この山を抜けた先に、邪神を祀る神殿があるという。
「本当に、騎士団を連れてこなくてもよかったの?」
「ヘタに騎士団を呼んで全滅しましたなんて、目も当てられないって」
エレオノル様率いる騎士団には、他国への支援要請をお願いしてもらった。直接戦闘はボクたちがやるので、姫には周辺諸国にバックアップをしてもらえないか、頼んでいる。
ケブネロスに唯一ある街に、足を踏み入れた。
さっそく冒険者ギルドに、話を通す。
「ごめんください。街の偉い方をお願いしたく」
ソーニャさんが、ソフィーア名義で街のリーダーにあいさつをする。
「私です」と、街の領主様が出てきてくれた。
「我々は、邪教を討伐するためにやってきた、旅のものです。【赤術師 ボーゲン】の名のもとに、フルドレンの野望を阻止しに参りました」
ボーゲンさんにも、一筆書いてもらっている。
「これは、ボーゲン様直筆の。確認致しました」
領主様が、使いの魔術師に書状を確かめさせた。見ただけで、ボーゲンさんの書類だってわかったぽいが。
「こんな遠くまで、ご苦労さまでした。現在の状況は、このようになっております」
冒険者を雇い、街の治安は守られているという。
だが、いつ街の均衡が崩れてもおかしいくないそうだ。
「複数の冒険者が、フルドレンの居城を叩きに向かいました。しかし、誰も帰ってきません。腕のたつ冒険者だったのですが」
領主様に、地図を見せてもらう。
「この円錐状の塔が、丘の上に立っております。この頂上に、邪神が祀られているそうです。誰も、到達したことはありませんが、邪神の像がこちらでも見えますので、間違いありません」
領主が、ボクらを外へ連れ出す。
確かにギルドのベランダから、邪神の像が見えた。あそこに、塔があるのか。
「あそこだけ、空が赤いわ」
ソーニャさんが、塔の上を指さした。
たしかに、黒い雲に穴が空いている。そこから見える空が、血のように真っ赤だ。
あの像は、最近できたものだという。赤い空も、同時に現れたそうだ。
「街の者たちも、ずっと怯えて暮らしています。ものを盗られたりなどはないのですが、邪悪な目に見つめられているだけで、心を病んでしまうものもいます」
「わかりました。これより、討伐に向かいます」
街から直接の依頼を受けたことで、ボクたちは本格的に始動を始めた。
邪神の塔に近づくと、さっそくモンスターが襲いかかってくる。
「ヴィク。最初から、クライマックスでいくよ」
「どうぞ、バックアップはお任せを」
ヴィクが、ドーム状に魔法障壁を展開した。
その外から、キルシュが槍を投げる。
魔物たちが、キルシュの投げた槍斧のエジキに。
「ヒューッ!」
キルシュはさらに、槍斧の上に乗り込む。
足で槍を回転させながら、魔物の群れを突っ切っていった。
「入口の魔物は任せて! みんなは中に!」
「ありがとう、キルシュ! すぐ終わらせるから!」
ボクたちは、塔の中へ。
「むう!」
ヴィクの障壁が、一瞬で破壊された。
強い攻撃が来たと言うより、対の属性魔法によって消去されたかのような消え方である。
「なんという。まさか鳥人族の中で、サヴィニャックに背くものがいたとは」
鳥人族の強力な魔法障壁を消した相手は、カラスの鳥人族だった。
「久しいな、ヴィクドインヌ=メロー・サヴィニャック。我が名は、ロメロ・ギソ。邪神を祀るギソ一族の血を引く鳥人族なり」
カラス鳥人族のこめかみからは、フルドレンを象徴する牛の角が生えている。
「なにが久しいものか。鳥人族の誇りを忘れたものなんぞ知らぬ」
いつもバックアップに回る僧侶然としたヴィクが、やけに攻撃的なセリフを吐いた。
「まさか、こんな運命が待っていようとは。ヒューゴさん、ソーニャ殿。ここは任せて、先に行ってくだされ」
「大丈夫なの? 三人で協力すれば、倒せない?」
「おそらくは。しかし、それでは邪神復活を許してしまいます。お二人はどうか、邪神の復活を阻止してください。もはや、一刻の猶予もありませんぞ」
ボクは無言で、戸惑うソーニャさんの手を引っ張った。
ヴィクの意志を、ムダにはできない。
*
「ふーっ。ざっとこんなもんかな?」
キルシュが槍斧から降りると、どこからともなく槍が飛んできた。
これは、竜人族の槍である。
「おっと。誰かと思えば」
竜人族の女性が、キルシュの前に現れた。黄色と黒といった、病的なウロコに身を包んでいる。フルドレンを表す、牛の角が生えていた。
「アタイの名は、ラコブ・ギソ。邪神の血を引く者。ここから先には、行かせぬ」
「ちょーどいいや。ザコ相手ばっかりで、退屈していたんだよね」
「アタイからすれば、アンタの方がザコっぽく見えるけどね!」
たしかに、肉つきは相手のほうが大きい。
だが、ただデカいだけの魔物なら、いくらでも相手にしてきた。負ける気はしない。
「その考えを、改めさせてあげるよ!」
「邪神に楯突いたってムダさ!」
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