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第二章 後輩ウザかわいさが、とどまるところを知らない(自称
ウザ後輩と、動物園
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「仕上げは、卵かけご飯ッス」
卵を別容器に割り入れて、クルミはしょう油を垂らす。ガーッと混ぜて、飯に流し込む。
「混ぜすぎると、泡が出ちゃうんスよね?」
「だから、切るように混ぜるといい」
残しておいた皿並牛肉を乗せて、クルミはガツガツといく。
「ああ、すき焼きッス。口の中がすき焼きに」
「俺も真似すればよかった」
「食べます?」
クルミが丼を差し出す。
「中身ねーじゃん!」
「へっへっへー」
ニヤニヤ笑いながら、クルミは「ごちそうさまでした」と手を合わせる。
「ちょうど時間ッスね」
腕時計で、クルミは開園時間をチェックする。
チケットを買い、ゲートをくぐった。
「わあ。思ってたよりケモノ臭がすごいッスね!」
歯に衣着せぬ物言いで、クルミはハシャぐ。
入り口でこの匂いか。結構ナメてたな。
排泄物の匂いがしないだけマシだが、人によっては受け付けないかも。動物好きの俺からすれば心地よいが。
「アフリカコーナーと、エサやりコーナーがあるけど、どっちがいいよ?」
「エサやりしたいッス! あたしはお腹いっぱいなので」
ならばと、ウサギのエサコーナーへ。
道中、俺は岩場で寝そべっているトラの赤ん坊に釘付けとなった。
チビトラは、母トラに囲われながら、静かな寝息を立てている。
「先輩って、ネコ科だったらなんでもいいんッスね。節操なしッスね」
「人聞きの悪いコト言うなよ」
クルミに手を引かれる形で、ウサギのエサやり体験へと向かう。
「ホレホレー。たんと食べるッス」
長細いカット野菜を、オリの隙間から与える。
ウサギはオリに歯を立てる勢いで、野菜をかじった。
「目が血走ってるッスねー。どれだけ飢えてたんスか?」
「ウサギの目は、もともとこんなんだ。かわいいもんだ」
同じように、俺もウサギにエサを上げる。
動物はいい。人と違って、素直で二面性がないから。
分かりやすいのは正義である。
「先輩、時間を忘れてないッスか?」
「お、そうだった」
エサやり体験には制限時間がある。
子どもたちに席を譲り、鑑賞コーナーの方に進む。
「もう一回、トラを見に行っていいか?」
「ダメっす。次はペンギン見るッス」
飼育員の後をヨチヨチ歩く、ペンギンを鑑賞する。
「かわいいッス」
うっとりした顔で、クルミはペンギンの行進を目で追った。
「先輩、人に見せられない顔になってるッス」
人の顔を見ながら、クルミがプッと笑う。
「マジか?」
アゴをガクガクと動かし、ニヤケ顔を解除しようとした。
「別にニヤついてねーじゃんか!」
「さっき、溶けたアイスみたいな顔になっていたッスよ!」
どんな顔だ!
次にパンダを見ようと思ったが、混んでいて鑑賞しようがない。
「あ、先輩、カピバラ温泉ですって。見に行こうッス!」
「わーったよ」
温泉コーナーでは、カピバラがユズ風呂に浸かっている。
ボーッとした顔で湯船に浮かぶカピバラを見ていると、楽園にいるような気分になった。
「うわー、シャレにならないくらい、癒やされるッス」
「そうだな。何時間でもいられる」
将来は、こういうくらいのゆったりした時間を過ごしたい。
「でも、カピバラは飼えないよなぁ」
「飼いたいんスか?」
「キーホルダーにするくらいには」
俺がカバンに付けているキーホルダーは、デフォルメのカピバラである。
「なんかもう、それをつけている時点で威厳なしッスよね」
「いいんだ。妹からもらったって設定だから!」
実際、それで騙し通せている、はずだ。
「でもなあ。ちょっと妬けちゃうッス」
「何がだよ?」
温泉に浸かるカピバラを、クルミが指差す。
カピバラの方は、我関せずと言った風に、湯船脇のキャベツをバリバリとかじっていた。
「あたしがお風呂上がりのところ、写メで送っても無反応だったくせに」
こいつ、往来でなんてことを口走ってやがる!
「お前、隣のガキが変な目でこっち見てるぞ!」
母親が「見ちゃいけません」って注意してるじゃねーか。
「でも悔しいッス! あたしのハダカがカピバラ以下だなんて!」
「だー! 大声でアホか!」
周りのカップルが、俺たちに視線を向けてくる。
クルミはなまじスタイルが良いので目立つ。
「カピバラの寸胴ボディに負けたんスね、あたし! 先輩なんて、いっそカピバラと添い遂げればいいッス!」
「やかましい!」
いたたまれなくなったので、移動する。
「アイス買ってやるから落ち着け」
「わーい」
俺がアイスをごちそうすると、クルミはガキのように喜んだ。
単純なのか乙女心が複雑なのか。
クルミが、ソフトクリームを舐め終わる。
「次はあっちに行くッス」
鳥を紹介しているコーナーに。
動かない鳥、ハシビロコウを鑑賞する。鋭い眼光で。ハシビロコウはこちらをじっと見ていた。
「ハシビロコウって先輩に似てるッスね」
「どこがだよ」
「微動だにしないところとか? 生徒会で、ずっと周囲を威圧してる感じッス。先輩たちさえもビビってるんッスよ」
生徒会だと、俺ってこんな感じなのか?
「あれだけ周りを寄せ付けないのに、本人はヘタレって、ギャップ萌えッスよね?」
「うれしくない褒め言葉だな」
卵を別容器に割り入れて、クルミはしょう油を垂らす。ガーッと混ぜて、飯に流し込む。
「混ぜすぎると、泡が出ちゃうんスよね?」
「だから、切るように混ぜるといい」
残しておいた皿並牛肉を乗せて、クルミはガツガツといく。
「ああ、すき焼きッス。口の中がすき焼きに」
「俺も真似すればよかった」
「食べます?」
クルミが丼を差し出す。
「中身ねーじゃん!」
「へっへっへー」
ニヤニヤ笑いながら、クルミは「ごちそうさまでした」と手を合わせる。
「ちょうど時間ッスね」
腕時計で、クルミは開園時間をチェックする。
チケットを買い、ゲートをくぐった。
「わあ。思ってたよりケモノ臭がすごいッスね!」
歯に衣着せぬ物言いで、クルミはハシャぐ。
入り口でこの匂いか。結構ナメてたな。
排泄物の匂いがしないだけマシだが、人によっては受け付けないかも。動物好きの俺からすれば心地よいが。
「アフリカコーナーと、エサやりコーナーがあるけど、どっちがいいよ?」
「エサやりしたいッス! あたしはお腹いっぱいなので」
ならばと、ウサギのエサコーナーへ。
道中、俺は岩場で寝そべっているトラの赤ん坊に釘付けとなった。
チビトラは、母トラに囲われながら、静かな寝息を立てている。
「先輩って、ネコ科だったらなんでもいいんッスね。節操なしッスね」
「人聞きの悪いコト言うなよ」
クルミに手を引かれる形で、ウサギのエサやり体験へと向かう。
「ホレホレー。たんと食べるッス」
長細いカット野菜を、オリの隙間から与える。
ウサギはオリに歯を立てる勢いで、野菜をかじった。
「目が血走ってるッスねー。どれだけ飢えてたんスか?」
「ウサギの目は、もともとこんなんだ。かわいいもんだ」
同じように、俺もウサギにエサを上げる。
動物はいい。人と違って、素直で二面性がないから。
分かりやすいのは正義である。
「先輩、時間を忘れてないッスか?」
「お、そうだった」
エサやり体験には制限時間がある。
子どもたちに席を譲り、鑑賞コーナーの方に進む。
「もう一回、トラを見に行っていいか?」
「ダメっす。次はペンギン見るッス」
飼育員の後をヨチヨチ歩く、ペンギンを鑑賞する。
「かわいいッス」
うっとりした顔で、クルミはペンギンの行進を目で追った。
「先輩、人に見せられない顔になってるッス」
人の顔を見ながら、クルミがプッと笑う。
「マジか?」
アゴをガクガクと動かし、ニヤケ顔を解除しようとした。
「別にニヤついてねーじゃんか!」
「さっき、溶けたアイスみたいな顔になっていたッスよ!」
どんな顔だ!
次にパンダを見ようと思ったが、混んでいて鑑賞しようがない。
「あ、先輩、カピバラ温泉ですって。見に行こうッス!」
「わーったよ」
温泉コーナーでは、カピバラがユズ風呂に浸かっている。
ボーッとした顔で湯船に浮かぶカピバラを見ていると、楽園にいるような気分になった。
「うわー、シャレにならないくらい、癒やされるッス」
「そうだな。何時間でもいられる」
将来は、こういうくらいのゆったりした時間を過ごしたい。
「でも、カピバラは飼えないよなぁ」
「飼いたいんスか?」
「キーホルダーにするくらいには」
俺がカバンに付けているキーホルダーは、デフォルメのカピバラである。
「なんかもう、それをつけている時点で威厳なしッスよね」
「いいんだ。妹からもらったって設定だから!」
実際、それで騙し通せている、はずだ。
「でもなあ。ちょっと妬けちゃうッス」
「何がだよ?」
温泉に浸かるカピバラを、クルミが指差す。
カピバラの方は、我関せずと言った風に、湯船脇のキャベツをバリバリとかじっていた。
「あたしがお風呂上がりのところ、写メで送っても無反応だったくせに」
こいつ、往来でなんてことを口走ってやがる!
「お前、隣のガキが変な目でこっち見てるぞ!」
母親が「見ちゃいけません」って注意してるじゃねーか。
「でも悔しいッス! あたしのハダカがカピバラ以下だなんて!」
「だー! 大声でアホか!」
周りのカップルが、俺たちに視線を向けてくる。
クルミはなまじスタイルが良いので目立つ。
「カピバラの寸胴ボディに負けたんスね、あたし! 先輩なんて、いっそカピバラと添い遂げればいいッス!」
「やかましい!」
いたたまれなくなったので、移動する。
「アイス買ってやるから落ち着け」
「わーい」
俺がアイスをごちそうすると、クルミはガキのように喜んだ。
単純なのか乙女心が複雑なのか。
クルミが、ソフトクリームを舐め終わる。
「次はあっちに行くッス」
鳥を紹介しているコーナーに。
動かない鳥、ハシビロコウを鑑賞する。鋭い眼光で。ハシビロコウはこちらをじっと見ていた。
「ハシビロコウって先輩に似てるッスね」
「どこがだよ」
「微動だにしないところとか? 生徒会で、ずっと周囲を威圧してる感じッス。先輩たちさえもビビってるんッスよ」
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