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第二章 後輩ウザかわいさが、とどまるところを知らない(自称
ウザい後輩と、ドーナツ
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翌日、俺はクルミと一緒に隣町のデパートへ。
「初デート以来ッスね。ここ」
「ああ。映画で盛り上がったな」
今日も、クルミは一人でココへきた。下校時間に合わせて、時間帯もずらして。
「アンズ会長のことだから、一緒についてくるものだと」
「言われたッスよ? でも、大杉先輩とのデートを邪魔したくないから一人で行く、って言ってきたッスよ」
アンズ会長は現在、誠太郎の洋服を選んでやっているのだとか。何を着させても似合うだろう。なんたって誠太郎だからな。
「どこまで行ったんだ?」
「ハニクロ、ッス」
正反対の位置にある、大量洋服売り場である。
「やけに庶民派だな。もっと高そうな店を選ぶかと」
「汗かきそうだから、動きやすくてスッキリしたものを着たいんだそうッス。特に、姉は下着が欲しいらしくて」
アンズ会長は、動きを阻害しない下着を求めているという。普段、どんだけ締め付けてんだよ?
「ペアルックとか、着てきそうだな」
俺が言うと、クルミは「プッ」と吹き出す。
「お前らって、姉妹の仲はいいのか? それとも」
「普通ッス。あんま干渉し合わないんで」
そっけなくはせず。が、過保護でもない。互いの詮索もなしだという。
「親が過干渉すぎる、ってのがあって、お互いにウンザリしてるッスから。その反動ッスね」
フードコートに寄って、ドーナツで軽くデザートタイムとする。
俺はホットコーヒーと、全種類味見できるコロコロしたドーナツを。クルミは生クリーム系とシュガー系の二つ、アイスの抹茶オレだ。結構、頼んだな。
「服選びだぜ。ドーナツで太ったら大変だぞ」
「ドーナツ一個くらい平気ッス。普段はおやつなんてあまり口にしないんで。むしろ成長期なので、ちょっとゆったりした服を選ぶッス。この間も買ったブラがすぐにサイズが合わなくなり」
「ストップ。ストップだクルミ」
これ以上説明されたら、想像してしまう。
「んー? 先輩、変な想像しちゃいましたね? あたしがブラをつけているところをイメージしちゃったんスねーっ?」
ドヤ顔で、クルミが身を乗り出してきた。
テーブルに体を寄せたから、胸がポヨンと潰れている。
「してない」
「脇のお肉をブラに集めているところを、想像しちゃったんスね?」
「だから、してない!」
具体的すぎるだろ!
「とんでもないことになりましたね」
まさか、無意識にカップルくさいことをしていたとは。
「気づかれてないといいけどな」
「あたしとしては、もうバレてもいいッス」
「マジか?」
「だって、先輩のこと好きなのは、ホントッス。あとは、先輩のお気持ち次第で」
俺に気を使っていたのか。
「別に、彼女がいるくらいで俺も気にしていないが、お前の家に発覚すると、面倒そうだな」
アンズ会長ですら、誠太郎との交際を隠し通している。
「そのときは、そのとき対処するッス。あたしは次女ッスから、お咎めも少しで済むかも。問題は」
「やっぱ、アンズ会長だよな」
「姉さんは、親ともたびたび衝突してるッス」
自由で開けた経営方針を打ち出す姉に対し、両親や祖父母は、伝統を重んじて変化を嫌う。
両者は、まったく相容れない。
お互い、より良い未来を考えてのことなのに。
両者の間で、クルミは窮屈な思いをしてきたという。
「端から見ていれば、大した問題じゃなさそうなんだけどな」
変われない文化は衰退していく。いつまでもビビっていては何も生み出せなくなる。
アンズ会長の決断は、きっと新しい風をもたらす。
「で、先輩は、あたしのコト、好きッスか?」
「まあ、嫌いでは、ない」
俺は、歯切れの悪い答えを返した。
「答えになってないッス!」
アイス抹茶オレを、クルミはコンとテーブルに叩きつける。
「まるでドーナツの穴のようッスね。スッカスカで、見通せないッス」
「お前がもうちょっと、おとなしい性格なら、惚れていたかも」
「へーえ」
にへら、と、クルミはしたり顔になる。
「じゃあ先輩っ、今日は普通モードでデートするッスか?」
俺の手に、クルミが手を重ねてきた。
体温が一気に上昇する。本当に、黙っていれば美人なのだ。クルミは。
しかし、すぐにクルミは吹き出す。
「デヒヒヒッ、だめッス。恥ずかし」
両手で顔を覆い、クルミは突っ伏してしまう。
「なんで。なんでダメなんスか。こんなにも好きなのに、素直になれないッス」
クルミはクルミなりに、キャラ付けに戸惑っているらしい。
「ごめんなさい。普通の子とデートしたいッスよね? こんなおちょくってくるやつとなんて、一緒にいたくないッスよね?」
そう言って落ち込んでいるクルミの表情は、今にも泣きそうだ。
「いいって。自然体のクルミでいいんだよ」
俺が告げると、クルミは「はふう」と一息つく。
「ありがとうッス。もう、どれが普段のあたしなのか、もう自分でもわからなくなってきたッス! 先輩のこと好きなのはホントなので、信じてほしいッス」
「もう聞いたよ。ありがとな」
「はわぁ」
魂が口から抜けそうな顔になっている。
「服を選びに行くぞ」
「はぁい」
「初デート以来ッスね。ここ」
「ああ。映画で盛り上がったな」
今日も、クルミは一人でココへきた。下校時間に合わせて、時間帯もずらして。
「アンズ会長のことだから、一緒についてくるものだと」
「言われたッスよ? でも、大杉先輩とのデートを邪魔したくないから一人で行く、って言ってきたッスよ」
アンズ会長は現在、誠太郎の洋服を選んでやっているのだとか。何を着させても似合うだろう。なんたって誠太郎だからな。
「どこまで行ったんだ?」
「ハニクロ、ッス」
正反対の位置にある、大量洋服売り場である。
「やけに庶民派だな。もっと高そうな店を選ぶかと」
「汗かきそうだから、動きやすくてスッキリしたものを着たいんだそうッス。特に、姉は下着が欲しいらしくて」
アンズ会長は、動きを阻害しない下着を求めているという。普段、どんだけ締め付けてんだよ?
「ペアルックとか、着てきそうだな」
俺が言うと、クルミは「プッ」と吹き出す。
「お前らって、姉妹の仲はいいのか? それとも」
「普通ッス。あんま干渉し合わないんで」
そっけなくはせず。が、過保護でもない。互いの詮索もなしだという。
「親が過干渉すぎる、ってのがあって、お互いにウンザリしてるッスから。その反動ッスね」
フードコートに寄って、ドーナツで軽くデザートタイムとする。
俺はホットコーヒーと、全種類味見できるコロコロしたドーナツを。クルミは生クリーム系とシュガー系の二つ、アイスの抹茶オレだ。結構、頼んだな。
「服選びだぜ。ドーナツで太ったら大変だぞ」
「ドーナツ一個くらい平気ッス。普段はおやつなんてあまり口にしないんで。むしろ成長期なので、ちょっとゆったりした服を選ぶッス。この間も買ったブラがすぐにサイズが合わなくなり」
「ストップ。ストップだクルミ」
これ以上説明されたら、想像してしまう。
「んー? 先輩、変な想像しちゃいましたね? あたしがブラをつけているところをイメージしちゃったんスねーっ?」
ドヤ顔で、クルミが身を乗り出してきた。
テーブルに体を寄せたから、胸がポヨンと潰れている。
「してない」
「脇のお肉をブラに集めているところを、想像しちゃったんスね?」
「だから、してない!」
具体的すぎるだろ!
「とんでもないことになりましたね」
まさか、無意識にカップルくさいことをしていたとは。
「気づかれてないといいけどな」
「あたしとしては、もうバレてもいいッス」
「マジか?」
「だって、先輩のこと好きなのは、ホントッス。あとは、先輩のお気持ち次第で」
俺に気を使っていたのか。
「別に、彼女がいるくらいで俺も気にしていないが、お前の家に発覚すると、面倒そうだな」
アンズ会長ですら、誠太郎との交際を隠し通している。
「そのときは、そのとき対処するッス。あたしは次女ッスから、お咎めも少しで済むかも。問題は」
「やっぱ、アンズ会長だよな」
「姉さんは、親ともたびたび衝突してるッス」
自由で開けた経営方針を打ち出す姉に対し、両親や祖父母は、伝統を重んじて変化を嫌う。
両者は、まったく相容れない。
お互い、より良い未来を考えてのことなのに。
両者の間で、クルミは窮屈な思いをしてきたという。
「端から見ていれば、大した問題じゃなさそうなんだけどな」
変われない文化は衰退していく。いつまでもビビっていては何も生み出せなくなる。
アンズ会長の決断は、きっと新しい風をもたらす。
「で、先輩は、あたしのコト、好きッスか?」
「まあ、嫌いでは、ない」
俺は、歯切れの悪い答えを返した。
「答えになってないッス!」
アイス抹茶オレを、クルミはコンとテーブルに叩きつける。
「まるでドーナツの穴のようッスね。スッカスカで、見通せないッス」
「お前がもうちょっと、おとなしい性格なら、惚れていたかも」
「へーえ」
にへら、と、クルミはしたり顔になる。
「じゃあ先輩っ、今日は普通モードでデートするッスか?」
俺の手に、クルミが手を重ねてきた。
体温が一気に上昇する。本当に、黙っていれば美人なのだ。クルミは。
しかし、すぐにクルミは吹き出す。
「デヒヒヒッ、だめッス。恥ずかし」
両手で顔を覆い、クルミは突っ伏してしまう。
「なんで。なんでダメなんスか。こんなにも好きなのに、素直になれないッス」
クルミはクルミなりに、キャラ付けに戸惑っているらしい。
「ごめんなさい。普通の子とデートしたいッスよね? こんなおちょくってくるやつとなんて、一緒にいたくないッスよね?」
そう言って落ち込んでいるクルミの表情は、今にも泣きそうだ。
「いいって。自然体のクルミでいいんだよ」
俺が告げると、クルミは「はふう」と一息つく。
「ありがとうッス。もう、どれが普段のあたしなのか、もう自分でもわからなくなってきたッス! 先輩のこと好きなのはホントなので、信じてほしいッス」
「もう聞いたよ。ありがとな」
「はわぁ」
魂が口から抜けそうな顔になっている。
「服を選びに行くぞ」
「はぁい」
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