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~試験一日目~ 「サモナーく~ん。キミのペットちゃんはオレの焼いたドラゴン肉をおいしそーに食べてまーす」「ざこ胃袋❤」
S級召喚士認定試験
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一二歳以下 S級召喚士認定試験の歴史は、かなり古い。
S級に昇格すれば、世界中どこでも引っ張りだこだ。冒険者や民間どころか、王族からも依頼が来る。起業して、独自のギルドを立ち上げることだってできる。
厚い信頼と実績から、研究職に就く人物や学校自体を建てる者もいた。
A級以下は、協会の許可を得なければならない。が、S級は認可が不要である。やりたい放題だ。
しかし、古い歴史を持つだけあって、腐敗しきっていた。汚職やワイロが横行し、名ばかりの召喚士がたびたび問題を起こすというトラブルが続出する。なり手が貴族に偏っているのも、疑問視されてきた。
事態を重く見た召喚士協会は、新たな協会長に全権を委ねる。結果、腕の立つ料理人のシチサブローが招集されたのだ。
ダークエルフごときが。新生召喚士協会ですら、彼への反応は微妙のひとこと。
しかし、彼がドラゴンニュートのテルルと契約していると知ると、手の平を返す。
だが、なぜ一介の料理人がドラゴンなんて従えているのか、誰も理由は知らない。
「よしテルル。次の肉を焼くぞ」
シチサブローは、包丁を掴む。
「いいか、テルル?」
「いつでもいい」
ダークエルフのシチサブローが、相棒のドラゴンニュート・テルルへ合図をする。
テルルが自分の尻を向けた。緑色のシッポがピョコンと顔を出す。初戦で切ったシッポが、もう再生している。傷一つない。
シッポに、シチサブローが包丁を入れた。この包丁は特注で、ドラゴンの硬いウロコすらたやすく切り裂ける。
テルルは幻獣なので、刃物で切られたくらいで命に関わることはない。何度でも再生する。
シッポの先をほんの少し切って、サイコロ状に。それを焚き火台の網へオンした。
『続きまして、第二試合! 一人目の挑戦者は一分持ちませんでしたが、次のプレイヤーはS級の認定書を持ち帰ることができるのか? では選手入場!』
空よりもなお青い、鮮やかなドレスに身を包んだ少女が、くせ毛のブロンドをなびかせる。
『次の挑戦者は、近隣の男爵令嬢です! 従えるのは、マンティコアだ!』
召喚獣は、優雅なたてがみとサソリの尻尾を携えた獅子である。飼い主に似て、威風堂々とした振る舞いだ。
『ひとたび食事を始めたら、軍隊すら飲み込んでしまうという暴食の魔物、それがマンティコアです! はたして、男爵令嬢はマンティコアの暴力的な食欲を押さえ込むことができるのか?』
令嬢は日傘を畳み、マンティコアを「おすわり」させた。
ネコ科だろうに、召喚獣はおとなしく従う。
『いよいよS級試験最終種目ですが、お気持ちの程は?』
「前の方があっさり敗れましたから、油断大敵ですわ。けれど、彼なら大丈夫でしょう。わたくしがついてますから」
自分の胸に手を当てて、令嬢が自信満々に宣言した。
『攻略法はありますか?』
「ございます。それは……二人の絆ですわ!」
クールな見た目に反して、令嬢は熱い性格らしい。
「それにしても、絆ねえ……」
相手の無理解極まりない発言に、シチサブローは失笑した。
「イチボー審査員、わたくし、なにかおかしなことを言いましたかしら?」
不愉快に思ったのか、令嬢がシチサブローに噛み付く。
「いいや、なにも。ただ、お前らにそんな熱い絆があるとは思えなくってね」
ウインクで、シチサブローは令嬢を挑発する。
『おっと、試合前から早くもバチバチと火花を散らす両者。果たして勝つのはどっちだ? 今スタートです!』
三、二、一とカウントが始まり、試合が始まった。
シチサブローが、焼けたシッポ肉を皿に盛る。
「待て」と、令嬢がマンティコアに指示を出した。
マンティコアは、おとなしく命令に従う。
『さて第二試合、両者落ち着いた滑り出し』
肉のブロックをひとかけらだけ、シチサブローが炭火で温め直す。さらなる香りを出すためだ。一つくらいはしっかり焼いたモノも添える。
本当は酒も入れたい。炭火でなければ、ワインでソースも作れる。しかし、あくまでも魅了ハーブ程度に留めていた。子どもの舌には、ソースは贅沢すぎると思ったのだ。素材の味と魔力のみで勝負する。シチサブローのこだわりだ。その方が、相手にとって屈辱だから。
ジュウジュウと肉が焼ける音に、召喚士が反応する。チラッと、こちらを見た。
『あーっと、どうしたんだ? 急にマンティコアが動き出したぞ!』
召喚士の目を盗み、マンティコアが重い腰を上げる。
気がついた令嬢が、再度「待て」の合図を送った。しかし、動き出した召喚獣は歩みを止めない。そのままドラゴン肉の皿へ。
『おっと皿を舐めだした! 肉をペロリと食べている! これは失格です!』
皿の底までキレイに舐め取って、マンティコアはご満悦の様子だ。
「飼い主くん、絆を裏切られてどんな気持ちだ? ねえどんな気持ちだ?」
痴態を晒した令嬢を、シチサブローが目一杯煽る。
「ざーこ❤」
抑揚のない口調で、テルルも便乗した。本心からではない。「そう言え」と協会から指示されているだけ。
「どうして……どうしてですの!? ウチの子は完璧なはずなのに!」
「マンティコアは、な。お前さんの注意力が逸れたせいだ。単に信頼関係が揺らいだだけ。試合前、お前さんはやたら気丈に振る舞っていた。だがそれが逆に、ペットを不安がらせてしまっていたんだよ!」
自信のない飼い主に、元々野生である魔物が従うわけがない。ただでさせ主従だけの関係なのだ。主として接するなら、もっと主人の威圧を保つべきだった。
令嬢が、泣き出してしまう。
『さて、早くも二人脱落! ここまで大きかったかS級昇格の壁! 果たして、合格者は現れるのでしょうか?』
次に挑戦する予定の貴族たちが、徹底的に令嬢をバカにしていた。泣き面に蜂とばかりに。心まで折ってしまおうと、考えているのだろう。
一方で、平民たちからは令嬢の健闘を称える温かい拍手が。
S級に昇格すれば、世界中どこでも引っ張りだこだ。冒険者や民間どころか、王族からも依頼が来る。起業して、独自のギルドを立ち上げることだってできる。
厚い信頼と実績から、研究職に就く人物や学校自体を建てる者もいた。
A級以下は、協会の許可を得なければならない。が、S級は認可が不要である。やりたい放題だ。
しかし、古い歴史を持つだけあって、腐敗しきっていた。汚職やワイロが横行し、名ばかりの召喚士がたびたび問題を起こすというトラブルが続出する。なり手が貴族に偏っているのも、疑問視されてきた。
事態を重く見た召喚士協会は、新たな協会長に全権を委ねる。結果、腕の立つ料理人のシチサブローが招集されたのだ。
ダークエルフごときが。新生召喚士協会ですら、彼への反応は微妙のひとこと。
しかし、彼がドラゴンニュートのテルルと契約していると知ると、手の平を返す。
だが、なぜ一介の料理人がドラゴンなんて従えているのか、誰も理由は知らない。
「よしテルル。次の肉を焼くぞ」
シチサブローは、包丁を掴む。
「いいか、テルル?」
「いつでもいい」
ダークエルフのシチサブローが、相棒のドラゴンニュート・テルルへ合図をする。
テルルが自分の尻を向けた。緑色のシッポがピョコンと顔を出す。初戦で切ったシッポが、もう再生している。傷一つない。
シッポに、シチサブローが包丁を入れた。この包丁は特注で、ドラゴンの硬いウロコすらたやすく切り裂ける。
テルルは幻獣なので、刃物で切られたくらいで命に関わることはない。何度でも再生する。
シッポの先をほんの少し切って、サイコロ状に。それを焚き火台の網へオンした。
『続きまして、第二試合! 一人目の挑戦者は一分持ちませんでしたが、次のプレイヤーはS級の認定書を持ち帰ることができるのか? では選手入場!』
空よりもなお青い、鮮やかなドレスに身を包んだ少女が、くせ毛のブロンドをなびかせる。
『次の挑戦者は、近隣の男爵令嬢です! 従えるのは、マンティコアだ!』
召喚獣は、優雅なたてがみとサソリの尻尾を携えた獅子である。飼い主に似て、威風堂々とした振る舞いだ。
『ひとたび食事を始めたら、軍隊すら飲み込んでしまうという暴食の魔物、それがマンティコアです! はたして、男爵令嬢はマンティコアの暴力的な食欲を押さえ込むことができるのか?』
令嬢は日傘を畳み、マンティコアを「おすわり」させた。
ネコ科だろうに、召喚獣はおとなしく従う。
『いよいよS級試験最終種目ですが、お気持ちの程は?』
「前の方があっさり敗れましたから、油断大敵ですわ。けれど、彼なら大丈夫でしょう。わたくしがついてますから」
自分の胸に手を当てて、令嬢が自信満々に宣言した。
『攻略法はありますか?』
「ございます。それは……二人の絆ですわ!」
クールな見た目に反して、令嬢は熱い性格らしい。
「それにしても、絆ねえ……」
相手の無理解極まりない発言に、シチサブローは失笑した。
「イチボー審査員、わたくし、なにかおかしなことを言いましたかしら?」
不愉快に思ったのか、令嬢がシチサブローに噛み付く。
「いいや、なにも。ただ、お前らにそんな熱い絆があるとは思えなくってね」
ウインクで、シチサブローは令嬢を挑発する。
『おっと、試合前から早くもバチバチと火花を散らす両者。果たして勝つのはどっちだ? 今スタートです!』
三、二、一とカウントが始まり、試合が始まった。
シチサブローが、焼けたシッポ肉を皿に盛る。
「待て」と、令嬢がマンティコアに指示を出した。
マンティコアは、おとなしく命令に従う。
『さて第二試合、両者落ち着いた滑り出し』
肉のブロックをひとかけらだけ、シチサブローが炭火で温め直す。さらなる香りを出すためだ。一つくらいはしっかり焼いたモノも添える。
本当は酒も入れたい。炭火でなければ、ワインでソースも作れる。しかし、あくまでも魅了ハーブ程度に留めていた。子どもの舌には、ソースは贅沢すぎると思ったのだ。素材の味と魔力のみで勝負する。シチサブローのこだわりだ。その方が、相手にとって屈辱だから。
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『あーっと、どうしたんだ? 急にマンティコアが動き出したぞ!』
召喚士の目を盗み、マンティコアが重い腰を上げる。
気がついた令嬢が、再度「待て」の合図を送った。しかし、動き出した召喚獣は歩みを止めない。そのままドラゴン肉の皿へ。
『おっと皿を舐めだした! 肉をペロリと食べている! これは失格です!』
皿の底までキレイに舐め取って、マンティコアはご満悦の様子だ。
「飼い主くん、絆を裏切られてどんな気持ちだ? ねえどんな気持ちだ?」
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次に挑戦する予定の貴族たちが、徹底的に令嬢をバカにしていた。泣き面に蜂とばかりに。心まで折ってしまおうと、考えているのだろう。
一方で、平民たちからは令嬢の健闘を称える温かい拍手が。
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