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試験二日目 「卑怯な手を使って負けるってどんな気持ち?」「へなちょこ胃袋❤」
ネクロマンサーの少女
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『今回のS級試験、早くも暗雲が立ちこめているぞ! 果たして、昇格できるちびっ子は現れるのか? 次の挑戦者、どうぞ!』
現れたのはネクロマンサーである。ダルンダルンのローブを身にまとい、肌が病的なまでに白い。本棚に収まらないサイズの書籍を小脇に抱え、木の杖をつく。あくびをかみ殺しながら、リングに上がった。
彼女の後ろから、ゾンビやガイコツ、死神などがついてくる。全員が、リング脇に待機した。
『おっと、ネクロマンサーが引き連れているのはアンデッド部隊です。リーダーの召喚士を含めて、総勢一三名の大所帯だ! しかし、チャレンジできるのは一名のみ! 誰がリングに上がってくるのか?』
少女は配下を一体ずつ吟味し、リッチを選んだ。死神のような鎌を持ち、その顔つきは険しい。
『えー、ゾンビやスケルトンの方が手懐けやすいと思うのですが、どうして難易度の高いリッチを選んだのでしょう?』
レポーターの女性が、ネクロマンサーにマイクを向ける。
「……欲望には強い」
『なるほど。戦略として活用すると。こちらからは以上です!』
リポーターが放送席にマイクを返す。
「リッチか。こいつも手強いな」
肉を焼きながら、それでもシチサブローは余裕の笑みを浮かべた。
「今日が、あなたの命日」
気怠げな顔つきから、予想外の挑発が飛ぶ。
「こっちこそ、お前さんの召喚獣を昇天させてやろう」
「やれるものなら、やってみるの」
挑発合戦の後、ゴングが鳴った。
『さて、始まりました第二試合。従来、アンデッドはモノを食べません。しかし、先日のユニコーンでもそうでしたが、ドラゴンは幻獣であり、マナの塊です。生気に溢れたエネルギーに耐えきれず、手を付けてしまう可能性があります。果たしてネクロマンサーである挑戦者は、リッチを手名付けることができるのでしょうか?』
皿に盛られたドラゴン肉を、リッチは苦々しい顔で見つめている。
「めっちゃガマンしてる!」「忍耐力が強いんじゃないのかよ!」
観客席から、クスクスと笑い声が。
虚勢を張っていただけに、反動がスゴイ。バカにはしていないのだが、微笑ましく思える。
「胃袋がねえのに、胃袋を刺激されたか?」
シチサブローが、ネクロマンサーを焚き付けた。
「まだ勝負は付いていない。黙るの」
「お前、『幻肢』って言葉を知っているか?」
事故などで腕をなくした人が、なくなった方の腕に痛みや感触を覚えることを、「幻肢」という。
「リッチには、今まさに胃袋の幻肢が始まっているんだよ! ないはずの腹の虫が鳴り響いているのさ! ぎゃはは!」
『あっと! せめて香りだけでも嗅ごうとしているぞ! ドラゴンのシッポ肉は、生への執着心をも突き動かすか? あーっとぉ!』
アナウンサーが驚く中、リッチがとうとう空腹に耐えかねて肉を喰らってしまった。
『胃も腸もないのに、手を付けてしまったぁ! なんということでしょう! アンデッドすら手を伸ばしてしまうとは! 恐るべしSランクドラゴン肉!』
だが、ネクロマンサーから物言いがつく。
「待って。うちのリーダーなら、もっとやれる」
そう言ってネクロマンサーが召喚したのは、ヴァンパイアロードである。
『おーっと、ヴァンパイアの最上位、ロードクラスを呼び出した。燕尾服の男が、会場内に現れた。既に、何人かの女性客が、あまりの美貌に失神者が続出しております』
数名の女性客が、目眩を起こして客席で卒倒していた。協会の人間総出で、医務室へ運び出す。
「いつもは、ヴァンパイアが監視して、他のアンデッドと『待て』をやっている。ヴァンパイアの監視があれば、彼らも待てるはず。もう一度、やらせてもらいたい。称号は要らないので」
ネクロマンサーからの提案は、名誉を回復させるための再戦だった。
『おっと、前回の試験で行われたエキシビションマッチを、またしても要請した来た! チャレンジャー、今回のエキシビションですが、選考対象外です。成功したとしても、試験の結果には反映されません。それでもよろしいですか?』
「ただ、やってみたい。これで無理なら、あきらめもつく」
ネクロマンサーはうなずいた。
「結果だけ知りたい。うちのアンデッドが最強だと証明さえできればOK」
本人も、納得の上での挑戦だ。
「御託はいい。何度やっても同じだからよ」
名誉回復だけのためなら、シチサブローも拒否する理由はない。これで成功したとしても、認可はしなくていいから。
『泣きの再戦、エキシビションマッチ、それではスタートです!』
ゴングが鳴った瞬間、ヴァンパイアは皿の肉に興味を引かれ始める。
「おお、これがウワサのドラゴン肉ですか。棺に入ってる間、ずっと香っていて辛抱たまらんかった」
「この芳醇な生の香り。なまなかでお目にかかれませぬぞ」
ヴァンパイアとリッチが、飲み屋に入った客のような言葉を交わす。
「ふむふむ。では、いただくとしましょう」
「うむ。そうしましょうぞ」
結局、結果は一緒だった。
「生き血をどうぞ」
テルルはシッポを自ら切って、生き血をグラスに注ぐ。
「気が利きますな、ドラゴンのレディよ。いただこう」
「乾杯……いや、我々は死体ですから献杯ですな!」
二体のアンデッドは、まるで呑み友だちのように、ドラゴン肉を片手に生き血をすする。
『秒殺! さっきよりも早く墜ちてしまった! 最強と謳われた吸血鬼が、いともカンタンに陥落! チャンレジャー、今のお気持ちをひとことでお願いします!』
「最悪……」
現れたのはネクロマンサーである。ダルンダルンのローブを身にまとい、肌が病的なまでに白い。本棚に収まらないサイズの書籍を小脇に抱え、木の杖をつく。あくびをかみ殺しながら、リングに上がった。
彼女の後ろから、ゾンビやガイコツ、死神などがついてくる。全員が、リング脇に待機した。
『おっと、ネクロマンサーが引き連れているのはアンデッド部隊です。リーダーの召喚士を含めて、総勢一三名の大所帯だ! しかし、チャレンジできるのは一名のみ! 誰がリングに上がってくるのか?』
少女は配下を一体ずつ吟味し、リッチを選んだ。死神のような鎌を持ち、その顔つきは険しい。
『えー、ゾンビやスケルトンの方が手懐けやすいと思うのですが、どうして難易度の高いリッチを選んだのでしょう?』
レポーターの女性が、ネクロマンサーにマイクを向ける。
「……欲望には強い」
『なるほど。戦略として活用すると。こちらからは以上です!』
リポーターが放送席にマイクを返す。
「リッチか。こいつも手強いな」
肉を焼きながら、それでもシチサブローは余裕の笑みを浮かべた。
「今日が、あなたの命日」
気怠げな顔つきから、予想外の挑発が飛ぶ。
「こっちこそ、お前さんの召喚獣を昇天させてやろう」
「やれるものなら、やってみるの」
挑発合戦の後、ゴングが鳴った。
『さて、始まりました第二試合。従来、アンデッドはモノを食べません。しかし、先日のユニコーンでもそうでしたが、ドラゴンは幻獣であり、マナの塊です。生気に溢れたエネルギーに耐えきれず、手を付けてしまう可能性があります。果たしてネクロマンサーである挑戦者は、リッチを手名付けることができるのでしょうか?』
皿に盛られたドラゴン肉を、リッチは苦々しい顔で見つめている。
「めっちゃガマンしてる!」「忍耐力が強いんじゃないのかよ!」
観客席から、クスクスと笑い声が。
虚勢を張っていただけに、反動がスゴイ。バカにはしていないのだが、微笑ましく思える。
「胃袋がねえのに、胃袋を刺激されたか?」
シチサブローが、ネクロマンサーを焚き付けた。
「まだ勝負は付いていない。黙るの」
「お前、『幻肢』って言葉を知っているか?」
事故などで腕をなくした人が、なくなった方の腕に痛みや感触を覚えることを、「幻肢」という。
「リッチには、今まさに胃袋の幻肢が始まっているんだよ! ないはずの腹の虫が鳴り響いているのさ! ぎゃはは!」
『あっと! せめて香りだけでも嗅ごうとしているぞ! ドラゴンのシッポ肉は、生への執着心をも突き動かすか? あーっとぉ!』
アナウンサーが驚く中、リッチがとうとう空腹に耐えかねて肉を喰らってしまった。
『胃も腸もないのに、手を付けてしまったぁ! なんということでしょう! アンデッドすら手を伸ばしてしまうとは! 恐るべしSランクドラゴン肉!』
だが、ネクロマンサーから物言いがつく。
「待って。うちのリーダーなら、もっとやれる」
そう言ってネクロマンサーが召喚したのは、ヴァンパイアロードである。
『おーっと、ヴァンパイアの最上位、ロードクラスを呼び出した。燕尾服の男が、会場内に現れた。既に、何人かの女性客が、あまりの美貌に失神者が続出しております』
数名の女性客が、目眩を起こして客席で卒倒していた。協会の人間総出で、医務室へ運び出す。
「いつもは、ヴァンパイアが監視して、他のアンデッドと『待て』をやっている。ヴァンパイアの監視があれば、彼らも待てるはず。もう一度、やらせてもらいたい。称号は要らないので」
ネクロマンサーからの提案は、名誉を回復させるための再戦だった。
『おっと、前回の試験で行われたエキシビションマッチを、またしても要請した来た! チャレンジャー、今回のエキシビションですが、選考対象外です。成功したとしても、試験の結果には反映されません。それでもよろしいですか?』
「ただ、やってみたい。これで無理なら、あきらめもつく」
ネクロマンサーはうなずいた。
「結果だけ知りたい。うちのアンデッドが最強だと証明さえできればOK」
本人も、納得の上での挑戦だ。
「御託はいい。何度やっても同じだからよ」
名誉回復だけのためなら、シチサブローも拒否する理由はない。これで成功したとしても、認可はしなくていいから。
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「おお、これがウワサのドラゴン肉ですか。棺に入ってる間、ずっと香っていて辛抱たまらんかった」
「この芳醇な生の香り。なまなかでお目にかかれませぬぞ」
ヴァンパイアとリッチが、飲み屋に入った客のような言葉を交わす。
「ふむふむ。では、いただくとしましょう」
「うむ。そうしましょうぞ」
結局、結果は一緒だった。
「生き血をどうぞ」
テルルはシッポを自ら切って、生き血をグラスに注ぐ。
「気が利きますな、ドラゴンのレディよ。いただこう」
「乾杯……いや、我々は死体ですから献杯ですな!」
二体のアンデッドは、まるで呑み友だちのように、ドラゴン肉を片手に生き血をすする。
『秒殺! さっきよりも早く墜ちてしまった! 最強と謳われた吸血鬼が、いともカンタンに陥落! チャンレジャー、今のお気持ちをひとことでお願いします!』
「最悪……」
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