レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

文字の大きさ
17 / 230
1-2 変質したダンジョンを、殴りに行きます

ジュエルの特性チェック

しおりを挟む
「よほど、信頼していらっしゃるのですね?」
「あいつの作った装備に、何度助けられたか」

 ジュエルを活用できるヤツなんて、コナツをおいて他にいない。 

 シーデーはメンテナンスをして、サピィは食後の入浴へ。

 俺は、ジュエルのエンチャントが残っている。

 フィーンド・ジュエルのグレードは、現在4種類確認されていた。

 二ミリ以下の【種状シード】、二ミリ以上五ミリ以下のものを【破片チップ】という。
 一センチ以下は【三角デルタ】と呼ばれ、三センチ以下でようやく【標準スクエア】と言われているそうな。

 以前、強化されたミノタウロスが落としたのは、【スクエア】だ。

「すごい量だな」

 大きさは【チップ】が数枚、標準のミノタウロスは【デルタ】を落とした。
 あとはすべて、【シード】のグレードである。
 数え切れないし、数えたくもない。


「これ全部エンチャントか。面倒だ」

 いっそ、全部を色で仕分けた。カラーごとに分けて瓶に詰める。

「あ、そうだ。エンチャントしていない装備と区別しないと!」

 すっかり、エンチャントの力と、ジュエルの力を混同していた。これはうっかりである。

 エンチャント前後で、瓶を分ける。

「これでよし。いくぞ、【エンチャント】ッ!」

 ルビージュエルの入った瓶に、エンチャントを施した。

 瓶詰めのルビーに、炎の力が宿る。

「よし、見分けはつくな!」

 エンチャントすると、宝石の中に炎が灯っているのが見えた。

「他も試そう」

 サファイアだと氷の結晶が、エメラルドだと小さな竜巻が、トパーズだと稲光が。アメジストだと、色自体が光っている。

「これは発見だな!」

 だが、疲れがドッと出てしまった。

「いかん、危うく寝落ちするところだった。まだまだ」

 その後、数度エンチャントを続ける。


 翌朝、俺は眠い目をこすりながら、コナツの元へ。

「ほら。どれもエンチャント済みだ」

 エンチャントを済ませたジュエルを、コナツへ渡す。

 どの宝石も、グレードが最も低い【シード】タイプだ。
 大きさは、植物の種ほどしかない。

 ジュエルのグレードは、種状の【シード】、破片程度の【チップ】、きれいな三角形をした【デルタ】、四角形の【スクエア】の四種類が確認されている。

「ありがとよ、ランバート。すげえ。こんな小さいのに、帯びている魔力が溢れ出てきそうだ」

 エンチャントを使ってみてわかったことがあった。
 宝石にエンチャントを流し込むと、ほぼ永続的にエンチャントがかかったままになる。
 エンチャントレベルを三〇以上挙げた恩恵だと、スキル表に書いてあった。

「初心者向けだからな。このサイズにした。不満なら、もっと大きいジュエルを用意する」

 ジュエルの大きさには、扱える適正レベルがある。
 よって、俺は小さめのジュエルを提供したのだ。
 試験も必要だし、なにより素人が扱えなければ意味がない。

「とんでもねえ。十分だ。弟子に作らせるには、このくらい小さいヤツから試した方がいいだろう」

 コナツにも弟子がいる。
 アイテムにジュエルを仕込む作業は、弟子にさせるらしい。
 コナツは、俺たちパーティ用の装備作りに専念するそうだ。

 今のところ、ダンジョンに変わった様子はない。
 俺は初心者向けダンジョン往復することにした。
 ギルドの依頼と、ジュエル集めのために。

 もっと上のダンジョンを目指してもいい。しかし、今は【ランペイジ商会】の名前を覚えて必要がある。そのために、ジュエル付き装備を増やすことにしたのだ。

 何より、ジュエルの特性を知る必要があった。

「ひとまず、コナツが作った試供品を試すか」

 まずは、赤い石をはめた炎のエンチャントを施す。

「ルビーのロッド。おらあ!」

 適当に、ウルフを殴った。

 炎の加護を受けたロッドに胴を殴られたウルフが、黒焦げになる。

 胸部プロテクターに同じジュエルをはめてみた結果、体力の最大値が上昇した。

 ミノタウロスのドロップ品であるバルディッシュで、片っ端からゾンビを切り刻む。バルディッシュには、氷の魔法をエンチャントしている。

「おらららああ!」

 列を作っているゾンビを、氷のエンチャントでまとめて貫いた。突きにはもってこいかも知れない。俺が首にかけているネックレスにも、サファイアが付けている。これにより、魔力の最大値が高くなった。

「お嬢様、背後にゴブリンシャーマンです」
「承知」

 トパーズを付けた盾が、ゴブリンシャーマンの魔法を少々跳ね返す。

「我ながら、とんでもないパワーですね」

 ゴブリンの群れを火球で焼きながら、サピィがそう切り出した。

「エンチャントを施すだけで、ここまでとは」

 俺も、魔物をバルディッシュで撃破しながら返す。

「しかし、他のジュエルは、攻撃に確実性を感じないな」

 残ったアメジスト、パールに関しては、特性がわからない。

「パールは武器として使うと、相手に状態異常を起こします。このように」

 試しにサピィが、パールをはめた金属棍棒で大亀を殴った。

 殴られた亀が、仲間と同士討ちを始める。

「防具として使用すると、毒などの耐性が付きますよ」
「アメジストは?」

 俺が聞くと、サピィが棍棒を見せる。

 棍棒には、パールと同じくアメジストが付けられていた。

「装備の攻撃力が上がるみたいですね。もし、アメジストを付けないままだと、このとおり」

 今度は無印の棍棒で、サピィは亀の甲羅を再び殴る。棍棒が、根本から折れた。

「色々と特性がわかって、面白いな!」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...