レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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1-2 変質したダンジョンを、殴りに行きます

結成、ランペイジ商会

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「こいつでどうだ? どうせお得意先になるんだ。いいよな?」
 
 ボコッと空いた穴を親指で差しながら、コナツがドヤ顔を決める。

「上等だ」
「じゃあ、飲みながら話を聞こう」

 もう、そんな時間か。

「ウチに寄っていくか? 母ちゃんも紹介したいし」
「遠慮するよ。できるだけ、人には聞かれたくないんだ」
「そうか。じゃあ、酒だけ持ってくるから待ってろ」

 そういって、コナツが厨房へ引っ込んだ。

 ドンガラガッシャーン! と激しい物音が。

「何事ですか!?」
「わからん。が、だいたい察しが付く」

 数分後、酒瓶を持ってコナツが戻ってきた。頬に大きな腫れができている。

「家に穴を開けたって話したら、ぶん殴られた」
「そりゃあ、そうだろう」
「まったく。また修繕すりゃあいいだろって言ったって聞かねえんだから」

 サピィとの商談が終わり次第、夜通しで修理しろと念を押されたらしい。

「あとこれは、母ちゃんからな。お客さんがいるなら、つまんでもらえってよ」
「うわ。こんなにたくさん! ありがとうございます!」

 何人分あるのかというステーキを、コナツはもう片方の手に持っている。

「母ちゃん、息子の面倒で手が離せねえってさ」 
「ありがたくいただくよ」

 自己紹介を終えて、昔話を肴に夕飯が始まった。俺とクリムの故郷であるこの街に、コナツがやってきたのだ。奥さんとの仲を取り持ったのも、俺である。

「オレと組みたいんだって?」
「コナツさんは、我々の専属鍛冶屋ってことになります。売り手側として、我が商会の名前を考えないと」
「それなんだが、【ランペイジ】ってのはどうだ?」
暴れん坊ランペイジですか?」
「ああ。ランバートは昔、ランペイジって言われててさ」

 別に大したことではない。ランバート・ペイジを短くして、『ランペイジ』と言われていただけだ。暴れん坊だったこともない。

「やめろ。照れくさい。黒歴史だ」
「お前さんから名乗ったんじゃねえかよ!」
 
 言いながら、コナツがジョッキを俺に向けた。

「そうだったか?」
「ああ。ガキの頃だ」
「カッコ悪いったらなかった。だが、オレはランペイジに何度も助けられた」

 コナツは武器を作るのは達者だが、ハンターとしての素質はゼロである。それを周りからからかわれては、俺とクリムがフォローに回った。

「意外ですね?」
「だって、魔物なんて言葉が通じないんだぜ?」

 これだけで、コナツがいかにハンターに向いていないかわかる。

「クリムだって、ランバートを悪く思っていない」
「あの、クリムさんとは?」
「こいつの仲間だったやつだ。射撃の腕は一流だった」

 結局、俺たちは離れ離れになった。しかし、後悔はしていない。俺はこうして、新しい仲間に会えたから。

「まあ、とにかくだ。ランバートがエンチャンした宝石を、この在庫にはめろってんだろ? だったら、ランバートっぽい名前がいいかなって」
「素敵です」

 こうして、商店名は採用に。

「では、私の話を聞いていただけますか?」

 サピィは、自分が魔族だと語った。その後の経緯も。

 コナツが、ノドを大げさに動かして酒を飲む。

「マジかぁ。でも、商人さんだってんなら、仲良くするに越したことはねえ。よろしくな」
「軽っ!」

 俺は、思わず呆れた。コイツ、ノリが軽すぎる。心配して損をした。

「てっきり、周囲にバラすかと思ったぜ」
「バラしてどうなる? 上得意を、一人失うだけじゃねえか。商売ってのは、信用が大事なんだ。しかも独占できるってんなら話は違う」

 そう。俺が提案したアイデアに、コナツは二つ返事で乗ってくれた。

「武器にそのなんたらジュエルを組み込んで、売ると」
「ああ。そのためには、お前の力がいる」

 初心者ハンターだと、レア以上の武器を獲得しにくい。かといって、店売りの武器では火力に難がある。
 そこで、俺がジュエルを集めて、拾ってきた装備ごとコナツに買い取ってもらうことにした。
 装備をコナツが加工し、レアより手の届きやすい値段で販売する。
 下手に素人が作って売るより、名のしれた鍛冶屋に任せたほうが安全だ。

「ただのロングソードを、アレだけ強化したんだ。あの剣がなければ、突破しきれない状況はいくつもあった」
「そのようだな。ダンジョンも変質していたっていうから、心配していたんだ。取り越し苦労だったけれどな」

 強い酒を煽りながら、コナツはガハハと笑う。

「まあ、お前さんが拾ってきたこれらの装備品では、たとえ強化したとしても限界がある。ランバートの加護が必要だってんだろ?」

 俺の施したエンチャントをプラスして、扱いやすい装備として売れば、新米ハンターの生存率は飛躍的に上がるはずだ。
 もちろん、必要以上に強くしすぎないレベルで。

「お前の案は、アイテムを腐らせずに済みそうだ。オレが必要な分以外は持っていけ」
「おう、とりあえず、持って帰ってきたバルディッシュにジュエルを仕込むか。どれがいい?」
「サファイアを頼む。もう氷のエンチャント済みだ」
「よし。任せろ」 

 打ち合わせを終えて、俺たちはセーフハウスへ戻る。
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