レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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1-6 最強の敵を、殴りに行きます

雷斬《らいきり》

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「くらうがいい、このバケモノめ!」

 若いウィザードの足元に、魔法陣が広がった。

 上空が薄暗くなる。ウィザードが、雷雲を呼び寄せているのだ。

「いくぜ。【コンセントレイト】からのぉ【ライトニング】だ」

 その間、電流が彼の身体を包む。雷撃使いのスキルで、一切の攻撃を受け付けない。

「充電してるのか?」と、トウコが疑問を抱く。

「ああ。【精神集中コンセントレイト】で魔力を増幅している。それに、ヤツの腕を見てみろ。【サイバーウェア】だ」

 よく見ると、エルフ少年の腕には機械のパーツが埋め込まれていた。
 両腕を改造して、魔法の威力を倍増しているのだろう。
 詠唱が早い理由もアレか。

「【ライトニング】を撃つ気だな、あのウィザード」

 敵の頭上に、雷を相手に落とす技だ。
 スキルレベルが高いほど、威力が増す。

 さらに、デーニッツを包むのは金属製のヨロイだ。
 雷魔法の威力は倍増するだろう。

 機械の腕は、ライトニングの威力を増幅しているようだ。

 詠唱を妨害しようと、インプやレッサーデーモンが集まってくる。

 だが、全員が余剰の雷エネルギーに貫かれた。

「ふむ、ライトニングか」

 空を見上げながら、デーニッツは余裕の色を見せる。

「ええぞ若き魔道士よ。己の全力を込めたライトニング、我に通用するかな?」
「負け惜しみを! 灰燼と化せ!」

 機械の腕を持つウィザードが、術を放つ。


「フン。【雷斬らいきり!】」


 そのタイミングに合わせて、デーニッツは逆手に持った【ムトー】を振り下ろした。



 雷が落ちたのは、術士の方だった。


 正確には、デーニッツに雷が落ちたのだが、真横に軌道を変えたのだ。

「ば、バカな」

 炭化した術士は、足元からボロボロになって崩れ落ちる。
 残ったのは、機械の腕だけ。 

「み、見えなかった。あいつ、何をしたんだ?」

 デーニッツに落ちた雷が、一瞬だけ真横に飛んでいった気がしたが。

「カウンターだ!」

 武道家であるトウコが、デーニッツの技を見破る。

「ジャストガードで、敵の攻撃をはね返したんだよ!」

 そんな神業を、あの巨体と巨大剣でこなしたというのか。

「ば、バケモンだ!」「逃げろ!」

 戦意を喪失したハンターたちが、逃げ惑う。

「待て! 戦わないなら住民の避難を優先しろ!」
「そうは言うが、絶対襲ってくるじゃんアイツは!」

 ダメだ。すっかり怯えきってしまっている。

「ちくしょう死ね死ね死ね!」

 トチ狂ったレンジャーが、爆弾を大量にデーニッツへとバラ撒いた。

「やめろ! そんなことをしたらこのあたりの店が!」

 俺とトウコで、爆弾を破壊する。

 処理が追いつかなかった爆弾が、連鎖的に大爆発を起こす。逃げたレンジャーさえ巻き添えにして。

 棒立ちのまま、デーニッツは微動だにしない。爆発がダメージになっていないのだ。

 一発の爆弾が、喫茶店に転がっていく。あれは、グレースの店だ! しかも、全員が避難中じゃないか!

「しまった!」

 俺が気づいたときには遅く、爆弾は破裂してしまった。

「おばさん、グレース!」
「無事よ!」

 幸い玄関ではなかったため、グレースたちは爆発に巻き込まれていない。

「でもサピィさんが!」
「サピィ!?」

 おそらく、サピィがスライム状態となって爆風から守ってくれたのだろう。
 しかし、ヒドイケガをしていた。
 サピィが倒れ込む。

「お嬢が店をかばったとき、ジェンマが魔力の弾を撃ったのです。それをまともに浴びて」

 レンジャーの火力と、ジェンマの魔法を同時に受けたのか。

 ガレキとなった看板が、三人に落ちてきてしまう。

「今助ける!」

 俺は、ディメンション・セイバーを撃った。


 しかし、看板の落下は早かった。

 間に合わない!

「きゃああああ!」

 グレースが悲鳴を上げた。

 店主がかがんで、グレースとおばさんをかばう。サピィまで。


 一陣の光が、ガレキを両断する。


 俺の眼前で、看板が真っ二つに。


 落下した看板を斬り捨てたのは、意外にもデーニッツだった。
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