レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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2-4 ブートレグを持ったハンターを、殴りに行きます

無人兵器

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「なあランバート、シャーマンってなんだ?」
「森の精霊などとコンタクトを取る、魔法使いだな」

 攻撃もできるが、どちらかというと相手の弱点をつく方に向いている。

「そういえば、トウコもジョブチェンジのタイミングだな」

 トウコのレベルは、とっくにサブクラスを選べるほどに達していた。
 しかし、立て続けに忙しかったので先送りにしていたのである。
 トウコ自身も、迷っていた。

「歩いて街を楽しみながら、話そうか」

「だな!」と、トウコが歩いていたときである。

 突然、シーデーが足を止めた。

「気になるところがあったか?」
「いや、なに。この国には【無人兵器】が売っているのだなと思いましてな」

 無人兵器とは、攻撃性能を持った自立型兵器のことだ。
 愛玩動物並みの大きさだが、重火器を装備できる。
 ザコ殲滅には役立つはずだ。

「我なら、このトンボ型の偵察用ドローンにマシンガンを付けて、タイヤ付き戦車にハンドグレネードを装備させますな。ジュエルで強化すれば、さらなる戦果が期待できますぞ」

 ショーウィンドウに手を付き、シーデーは無人兵器を吟味している。
 まるでトランペットを欲しがる子どものようだ。
 シーデーに、こんな一面があったとは。

「魔界にも、無人兵器は多数ありました。まさか、人間の世界にも浸透していたとは」

 戦闘ドローンの豊富さには、サピィも舌を巻いていた。

 サドラー最大の特徴といえば、無人機を連れているハンターの多さだろう。
 通行人のほとんどが、浮遊型ドローンか、履帯つきの小型戦車を横に従えている。
 通常時は武器をしまっているが。

 ペールディネでは、見なかった光景だ。

「サピロス姫、【デッカー】という職が欲しいです。フェリシア嬢が加わって前衛が増えましたし、姫も【マギ・マンサー】の力を取り戻されました。我もお手伝いを」

 珍しく、シーデーが自己主張をした。

【デッカー】はデッキングという、『電子世界を行き来すること』が可能だ。さらにドローンを操ることにも長ける。コンピュータ世界に潜っている間、ドローンに攻撃を任せるのだ。

「このパーティに圧倒的に少ないスキルは、情報収集系です。姫様、あなたもそうお考えだったのでしょう?」
「そうですね」

 俺たちは、良くも悪くも少数精鋭である。
 目がたくさんあったほうがいい、と考えたらしい。

「なお、【アサルト】で得たポイントを割くことになりますから、我自身の戦力は落ちます。が、手数が増えて前衛により磨きがかかるでしょう。習得許可を」
「ありがとうシーデー。許可します。戦果を期待しますね」
「しかと働いてみせましょう」

 シーデーはラジコン戦車と、トンボ型のドローンを買う。どちらも四〇センチほどと大型だ。

「ポータルで移動できるっていい時代だなと思ってたが、こうやって街を歩くのもいいなー」
「うむ。それにしても、なんだかすごい光景だな」

 先頭には、私服姿とはいえ大型のリスにのったプリンセスを。
 ドローンを連れたロボットと、それを使役するスライム魔王だ。
 スライム魔王の後ろには、殴りウィザードとモンクである。

 周囲から、すごい注目を浴びていた。

「ポータルが故障なんてなあ」
「闇ギルドです! 彼らが、ポータルに悪さをしたんです!」 

 この一帯を荒らす闇のギルドが、ポータルの制御部分を破壊してしまったらしい。

「それも、私が遠征する直前を狙って!」
「ひどいヤツラだな!」と、トウコが憤慨した。

 機動馬車を使うことになったのはいい。もし、ヒルデが使った状態でポータルが壊れたら。想像もしたくないな。

「そのペットって名前はあるのかー?」
「マーモットのマモルくんです。マモルくん、よろしくおねがいしますね」

 ヒルデ王女が、マモルと名付けられたリスを撫でる。

 マモルが、フンスと鼻を鳴らす。

「こちらから先が、カジノやライブハウスです。ガラの悪い人たちは、ここを根城にしていますね」

 リスが、シャレたオープンカフェの前で止まった。
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