レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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2-4 ブートレグを持ったハンターを、殴りに行きます

ヘビの術者と、χ《カイ》の刺客

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「当てろよクソヤロウ!」
「うるせえなバカヤロウ! テメエがやれってんだ!」
「おう、見てろよノーコン!」

 赤いヘビが炎のムチでできた舌で攻撃してきた。

「オラオラッ!」

 俺もソード・レイで迎え撃つ。

 衝撃のたびに、ヘビの舌とソード・レイが火花を散らす。

「グヘヘヘア! 受け止めているだけじゃ、オレらは倒せなビイ!」

 ゲラゲラ笑っていた赤ヘビが、ガレキに頭をぶつけて失神する。 

 もうひとりのサングラス男は、不敵に笑うだけ。
 とてつもないスピードを出しているにも関わらず、平然としている。

χカイから来たやつ、てめえも戦いやがれ!」

 青いヘビが、並走するサングラスに悪態をついた。 

 サングラスの男が、手をかざす。

 掌には、ヴァイパー族の目玉が。

「あれは、ブートレグです!」

 体内にブートレグを埋め込むとは。アイツもサイボーグか。

 サングラスが、手からファイアーボールを放つ。

 ハンドルをさばき、火球を紙一重でかわす。
 しかも、速度は全く落ちていない。むしろ加速する。

「おらああ!」

 俺も、Dディメンションセイバーをサングラスに撃ち込んだ。

 しかし、身体をさばくだけでよけられてしまう。

 追尾機能があるDセイバーを、目玉からの火球で破壊した。

「今は戦う機会ではない。また会おう」

 サングラスは、左のバイクを置き去りにしてあさっての方向へ走り去る。

 逃げられてしまったか。

「おい、オレらをおいていくな! へぐあ!?」

 俺たちが撃墜するまでもなく、ヘビ女が業務用ゴミ箱へ激突した。
 仲間が勝手に離脱し、よそ見をしていたからだ。

 ゴミ箱の中で気を失っている少女を、サピィと共に確認する。

「ヘビの方も、目を回しているな」

 材質が固く、平べったい。やはり金属か。

「形状記憶合金タイプの、ブートレグですね」

 このヘビたちは、使い魔のようだ。
 術士が気を失うと、使い魔も機能を停止する体質らしい。

「ヘビが顔から離れないな」

 身体と一体化しているようだ。
 ヘタに外そうとすると、ケガをしてしまうだろう。

「ブートレグには、汚染されていません。が、サイボーグです。バイクはブートレグを用いていたようですが」

 しかし、サイボーグ化してブートレグの汚染を免れるとは。 
 他に倒した死体も、サイボーグだった。
 どうも、汚染を回避する成功率はかなり低いらしい。

「王女が心配だ。急ごう」

 さっきのカフェへ戻ると、やはりブートレグ使いのバイカーが王女に襲いかかっていた。

「危ない!」

 俺が攻撃しようとすると、突然にデカイ四足歩行動物が敵ハンターを蹴散らす。
 体当たりで敵バイクをふっとばし、落下したハンターの背中を踏みつけた。

「うおお! やっちまえ!」

 操っているのは、トウコらしい。そういえば、ペットがほしいって言っていたっけ。

「おおー。帰ってきたかー」

 こちらに気づいたトウコが、俺たちの方へ手を振った。

「ケガはないか、王女?」
「無事です。街を守ってくださって、ありがとうございました」

 王女が、俺たちに頭を下げる。

「見ろよー。王女に召喚の方法を教わったらできたんだぞー」

 トウコが撫でているのは、モフモフのオオカミ? である。

「モフモフだ! かわいいオオカミだろお」

 オオカミらしき召喚獣の背中に、トウコは飛び乗った。
 トウコが乗れるギリギリのサイズである。

 それにしても、オオカミと言う割には短足すぎる。
 これはもしかすると……。

「……おいトウコ。非常に言いにくいんだが、それは犬だ」
「え?」

 トウコが、目を丸くした。

「サモエドという犬種ですね。サイズは従来種と比較すると桁違いですが」

 俺の意見に、サピィも同意する。

 多分、トウコのスキルポイントが少なすぎたから、オオカミクラスのヤツは呼べなかったようだ。

「そうかー。でもかわいいからお前に決めたぞ!」

 召喚獣として、このサモエドにすると決めたらしい。

「これで高速移動しながら戦闘ができるなー。機動馬車の中だと戦闘できないからなー」

 トウコが納得しているなら、いいか。
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