114 / 230
2-5 重要人物を、姫騎士が殴りました
ヴァイパー族を尋問:サピィサイド
しおりを挟む
サピロスは、ハンターギルドの地下牢にいた。
捕まえたヴァイパー族の少女を尋問するために。
「てめえらっ、この拘束を解きやがれ!」
「うおーっ、痛い目に遭いたくなかったら、自由にしろ!」
魔術制御の拘束具に全身を包まれながら、双頭のヘビはなおも暴れようとしていた。
一方、飼い主の少女はおとなしいものである。
しかし、相変わらず口はきかないらしい。
「あなた方のアジトは? 目的は?」
少女は鋭い視線をこちらに向けただけで、黙り込む。
「うるせえんだよ。オレたちがベラベラしゃべるとでも思ってやがるのかよ?」
「すっこんでろ、スライムごときが!」
赤と青のヘビが交互に、罵声を浴びせてきた。
少女の意見を代弁するかのように。
「そのスライムごときに追い詰められて、この地下に閉じ込められているのは、どこの間抜けですか?」
ヘビたちが、歯噛みする。
「正論パンチで、あなた方を痛めつけるつもりはありません。あなたの目的を聞きに来ただけです」
「一族を皆殺しにしたヤツに、話す言葉はねえ!」
ヘビたちは、サピィを噛もうとした。
しかし、口に拘束具を嵌められている。
念話で話すことはできても、攻撃はできない。
「話してくだされば、悪いようにはしません」
「どうだか」
横を向き、ヘビたちは黙り込む。
「それにしても、高度な式神ですね。話せるだけではなく、術者の感情まで言葉にするとは」
雑談で、気を引くことにした。
少女がピクリとなる。
「ゼンは天才少女だからな!」
青いヘビによると、この少女はゼンという名前らしい。
「てめえ青! 何バラしてやがる!」
「うるせえな。名前くらいどうってことねえだろ! オレサマたちは、ゼンによって生み出されたのだ! ゼンこそ最強!」
赤いヘビにたしなめられても、青ヘビは話を止めなかった。
「おうよ、ゼンが本気になれば、てめえらなんて!」
自分の意志とは関係なく行動する形状記憶合金製の式神はたしかに高度な技術と言える。レベルの高い術者だとは思うが。
「ああ。なんたって、ゼンは我が神ヴァスキーの娘だからな!」
ヴァスキーとは、ヴァイパー族の魔王的存在だ。
ダミアーニとの縄張り争いでやられたと聞くが。
「実力はあるのに、しゃべらないとは?」
「口がきけないなんてレベルじゃねえよ、ゼンは。オレらがいないと、全身が動かねえんだからよ」
ゼンは霊力の高い人間の女性に、ヴァスキーの細胞を移植させて産まれた子どもらしい。
遺伝子レベルで合致するはずもなく、女性はゼンを産んですぐに死亡した。
ゼンも、全身がマヒした状態だったという。
「で、霊力だけ取り出そうとして作られたのが、オレたちってわけだ」
「しかし、ゼンはオレたちを逆に取り込んで、コミュニケーションの道具としたんだよ」
指揮・制御系統を奪い取って、自分の身体を動かすために再構築したのだとか。
たしかに、それだけ聞くと優秀と言える。
「ゼンは『お前たちのおかげで口がきけるようになったよ』って、感謝までしてくれてるんだぜうわあん!」
「泣けるじゃねえかびえええん!」
突然、双頭のヘビたちが泣き出す。
その後も、二頭はいかにゼンが心優しい少女であるかを熱弁した。
「え、えーとぉ」
これは、話が長くなりそうだ。
「お嬢、早く奴らの目的を聞き出さねば」
背後から、シーデーが急かしてくる。
「待ちなさい。ここで煽っては、かえって彼らの口が固くなります」
話せるだけ話させておこう。
落ち着いたところで、話題を変える。
「あなたの敵は、ダミアーニのはず。エルトリは単なる拠点でしかない。なのに、どうしてχなんかと組んでいるので? メリットは?」
「別に組んでるわけじゃねえよ」と、赤は話した。
「χが言ってきたのだ。『ダミアーニを倒せる可能性のあるやつを見つけた』と」
続いて、青が語る。
「それは?」
「ジェンマ・ダミアーニだ」
ここで、ジェンマの名前が出てきた。
捕まえたヴァイパー族の少女を尋問するために。
「てめえらっ、この拘束を解きやがれ!」
「うおーっ、痛い目に遭いたくなかったら、自由にしろ!」
魔術制御の拘束具に全身を包まれながら、双頭のヘビはなおも暴れようとしていた。
一方、飼い主の少女はおとなしいものである。
しかし、相変わらず口はきかないらしい。
「あなた方のアジトは? 目的は?」
少女は鋭い視線をこちらに向けただけで、黙り込む。
「うるせえんだよ。オレたちがベラベラしゃべるとでも思ってやがるのかよ?」
「すっこんでろ、スライムごときが!」
赤と青のヘビが交互に、罵声を浴びせてきた。
少女の意見を代弁するかのように。
「そのスライムごときに追い詰められて、この地下に閉じ込められているのは、どこの間抜けですか?」
ヘビたちが、歯噛みする。
「正論パンチで、あなた方を痛めつけるつもりはありません。あなたの目的を聞きに来ただけです」
「一族を皆殺しにしたヤツに、話す言葉はねえ!」
ヘビたちは、サピィを噛もうとした。
しかし、口に拘束具を嵌められている。
念話で話すことはできても、攻撃はできない。
「話してくだされば、悪いようにはしません」
「どうだか」
横を向き、ヘビたちは黙り込む。
「それにしても、高度な式神ですね。話せるだけではなく、術者の感情まで言葉にするとは」
雑談で、気を引くことにした。
少女がピクリとなる。
「ゼンは天才少女だからな!」
青いヘビによると、この少女はゼンという名前らしい。
「てめえ青! 何バラしてやがる!」
「うるせえな。名前くらいどうってことねえだろ! オレサマたちは、ゼンによって生み出されたのだ! ゼンこそ最強!」
赤いヘビにたしなめられても、青ヘビは話を止めなかった。
「おうよ、ゼンが本気になれば、てめえらなんて!」
自分の意志とは関係なく行動する形状記憶合金製の式神はたしかに高度な技術と言える。レベルの高い術者だとは思うが。
「ああ。なんたって、ゼンは我が神ヴァスキーの娘だからな!」
ヴァスキーとは、ヴァイパー族の魔王的存在だ。
ダミアーニとの縄張り争いでやられたと聞くが。
「実力はあるのに、しゃべらないとは?」
「口がきけないなんてレベルじゃねえよ、ゼンは。オレらがいないと、全身が動かねえんだからよ」
ゼンは霊力の高い人間の女性に、ヴァスキーの細胞を移植させて産まれた子どもらしい。
遺伝子レベルで合致するはずもなく、女性はゼンを産んですぐに死亡した。
ゼンも、全身がマヒした状態だったという。
「で、霊力だけ取り出そうとして作られたのが、オレたちってわけだ」
「しかし、ゼンはオレたちを逆に取り込んで、コミュニケーションの道具としたんだよ」
指揮・制御系統を奪い取って、自分の身体を動かすために再構築したのだとか。
たしかに、それだけ聞くと優秀と言える。
「ゼンは『お前たちのおかげで口がきけるようになったよ』って、感謝までしてくれてるんだぜうわあん!」
「泣けるじゃねえかびえええん!」
突然、双頭のヘビたちが泣き出す。
その後も、二頭はいかにゼンが心優しい少女であるかを熱弁した。
「え、えーとぉ」
これは、話が長くなりそうだ。
「お嬢、早く奴らの目的を聞き出さねば」
背後から、シーデーが急かしてくる。
「待ちなさい。ここで煽っては、かえって彼らの口が固くなります」
話せるだけ話させておこう。
落ち着いたところで、話題を変える。
「あなたの敵は、ダミアーニのはず。エルトリは単なる拠点でしかない。なのに、どうしてχなんかと組んでいるので? メリットは?」
「別に組んでるわけじゃねえよ」と、赤は話した。
「χが言ってきたのだ。『ダミアーニを倒せる可能性のあるやつを見つけた』と」
続いて、青が語る。
「それは?」
「ジェンマ・ダミアーニだ」
ここで、ジェンマの名前が出てきた。
0
あなたにおすすめの小説
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる