115 / 230
2-5 重要人物を、姫騎士が殴りました
サドラー発展の秘密
しおりを挟む
エルトリの大臣とフェリシアが、激しくにらみ合う。
フェリシアが登場したことにより、会議が中断してしまった。
「お二人の間には、遺恨はあると思います。しかし今は、サドラーのことが先決でしょう。ご家庭の事情は、会議が終わってからなさってください」
ペールディネ王が代表して、意見する。
「う、うむ」と、エルトリの大臣は着席した。
「それでは、サドラー支援の調整を致しましょう。何かご意見は?」
「一刻も早く、兵器を起動させるべきだ」
エルトリ大臣が、息を吹き返す。
「そもそもサドラーには、ヴァイパー族を打倒できる兵器があるじゃないですか」
この発言が火種になり、場内は口論になった。
「すまないがヒルデ、兵器とは?」
「サドラーには、ヴァイパー族に対抗するための粒子砲があるのです」
ヴァイパー族の本拠地である古代遺跡を、一瞬で消し去る大砲が存在するらしい。
「そんな凄まじい威力を持っているなら、エルトリごと吹っ飛んでしまわないのか?」
「理論上は、ヴァイパー族の遺跡だけ壊滅できるかと」
範囲的に、住民に被害が及ぶことはないらしい。
しかし、膨大なエネルギーを使う。
資源が枯渇している状態で粒子砲を使えば、サドラーは三〇年ほど都市としての機能が停止する、と言われている。
サドラーが強気なのは、そういういきさつもあったのか。
「我々サドラーは、その兵器があったおかげで対等な立場を取れたのです。けれど、一度使ってしまえば疲弊するのは目に見えています」
「それで、外交手段として使用を拒絶していたと」
「はい。ハンターさんたちに任せればいいだろうと。ヴァイパー族の神殿は、あんな武器がなくても勝てますと」
だが、そううまくはいかない。
サドラーのハンターは、たしかに情報戦でヴァイパー族の弱点を探り、侵攻を妨害していた。
だが、まだ決め手に欠ける。
「魔女様の特製ポーションのおかげで、粒子砲以外の外交手段が取れるようになりました」
あの果実の香りは、ヴァイパー族を寄せ付けない。
「それでも、ヴァイパー族の勢いは無視できず」
サドラーは、難しい立場にいた。
「俺はてっきり、あんたがどこへ嫁に行くのかという話し合いになるのかと」
「そういう平和的な話し合いになれば、よかったのですが」
両国とも、破談になっていたという。
それに、今は婚活どころではない。
ヴァイパー族の動きが、さらに活発化した。
サピィが壊滅させた大隊でさえ、敵側からすればほんの一部だという。
「兵器が機動し、サドラーの資源が枯渇しましたら、我々が支援します! ずっとそう言ってきた!」
「あなたがたの条件は搾取だ。支援とは呼べませんな」
「我々にだって限界はあります!」
自国の安全を確保したいエルトリと同様に、サドラーにも兵器を機動できない事情がある。
「すごく政治的な話になってきたなー」
めんどくさそうに、トウコが顔をしかめた。
俺も同じ意見である。
「苦しい立場にいるのはわかります。ですが話し合いを」
「人の娘に手を出すような相手と交渉する舌は、持たん!」
仲介に入ったペールディネを、エルトリは口汚く罵った。
「そもそも、誰のせいでエルトリがこんな状況にまでなったと思うのかね? 責任は重大ですぞ!」
大臣は、ペールディネ先代王が行った不貞のせいで、落ちぶれている。
一大スキャンダルにより、信用もガタ落ちだ。
「我々だって、エルトリにそれなりの賠償を支払ったはずです」
「あんなはした金で、我が国が許すと思うのかね?」
ペールディネは国王のクビがすげ変わったので、持ち直した。
しかしエルトリは、未だに没落したままである。
実際、交渉の場にいるのは大臣だ。
エルトリ国王は心労により臥せっている。
「エルトリだって苦しいのだ! エネルギー資源くらいいくらでも――」
そこまでで、大臣は発言できなかった。
フェリシアの拳が、大臣の頬にめり込んだからである。
フェリシアが登場したことにより、会議が中断してしまった。
「お二人の間には、遺恨はあると思います。しかし今は、サドラーのことが先決でしょう。ご家庭の事情は、会議が終わってからなさってください」
ペールディネ王が代表して、意見する。
「う、うむ」と、エルトリの大臣は着席した。
「それでは、サドラー支援の調整を致しましょう。何かご意見は?」
「一刻も早く、兵器を起動させるべきだ」
エルトリ大臣が、息を吹き返す。
「そもそもサドラーには、ヴァイパー族を打倒できる兵器があるじゃないですか」
この発言が火種になり、場内は口論になった。
「すまないがヒルデ、兵器とは?」
「サドラーには、ヴァイパー族に対抗するための粒子砲があるのです」
ヴァイパー族の本拠地である古代遺跡を、一瞬で消し去る大砲が存在するらしい。
「そんな凄まじい威力を持っているなら、エルトリごと吹っ飛んでしまわないのか?」
「理論上は、ヴァイパー族の遺跡だけ壊滅できるかと」
範囲的に、住民に被害が及ぶことはないらしい。
しかし、膨大なエネルギーを使う。
資源が枯渇している状態で粒子砲を使えば、サドラーは三〇年ほど都市としての機能が停止する、と言われている。
サドラーが強気なのは、そういういきさつもあったのか。
「我々サドラーは、その兵器があったおかげで対等な立場を取れたのです。けれど、一度使ってしまえば疲弊するのは目に見えています」
「それで、外交手段として使用を拒絶していたと」
「はい。ハンターさんたちに任せればいいだろうと。ヴァイパー族の神殿は、あんな武器がなくても勝てますと」
だが、そううまくはいかない。
サドラーのハンターは、たしかに情報戦でヴァイパー族の弱点を探り、侵攻を妨害していた。
だが、まだ決め手に欠ける。
「魔女様の特製ポーションのおかげで、粒子砲以外の外交手段が取れるようになりました」
あの果実の香りは、ヴァイパー族を寄せ付けない。
「それでも、ヴァイパー族の勢いは無視できず」
サドラーは、難しい立場にいた。
「俺はてっきり、あんたがどこへ嫁に行くのかという話し合いになるのかと」
「そういう平和的な話し合いになれば、よかったのですが」
両国とも、破談になっていたという。
それに、今は婚活どころではない。
ヴァイパー族の動きが、さらに活発化した。
サピィが壊滅させた大隊でさえ、敵側からすればほんの一部だという。
「兵器が機動し、サドラーの資源が枯渇しましたら、我々が支援します! ずっとそう言ってきた!」
「あなたがたの条件は搾取だ。支援とは呼べませんな」
「我々にだって限界はあります!」
自国の安全を確保したいエルトリと同様に、サドラーにも兵器を機動できない事情がある。
「すごく政治的な話になってきたなー」
めんどくさそうに、トウコが顔をしかめた。
俺も同じ意見である。
「苦しい立場にいるのはわかります。ですが話し合いを」
「人の娘に手を出すような相手と交渉する舌は、持たん!」
仲介に入ったペールディネを、エルトリは口汚く罵った。
「そもそも、誰のせいでエルトリがこんな状況にまでなったと思うのかね? 責任は重大ですぞ!」
大臣は、ペールディネ先代王が行った不貞のせいで、落ちぶれている。
一大スキャンダルにより、信用もガタ落ちだ。
「我々だって、エルトリにそれなりの賠償を支払ったはずです」
「あんなはした金で、我が国が許すと思うのかね?」
ペールディネは国王のクビがすげ変わったので、持ち直した。
しかしエルトリは、未だに没落したままである。
実際、交渉の場にいるのは大臣だ。
エルトリ国王は心労により臥せっている。
「エルトリだって苦しいのだ! エネルギー資源くらいいくらでも――」
そこまでで、大臣は発言できなかった。
フェリシアの拳が、大臣の頬にめり込んだからである。
0
あなたにおすすめの小説
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる