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2-7 殴りウィザードは新天地を目指します(第二部 完
エルトリとの国交
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エルトリを救った英雄として、俺たちは大臣に呼ばれて城に招待された。
サドラー陣営では、王女であるヒルデも同席している。
「ありがとうございました。これでサドラーも、もとに戻るでしょう」
「しかし、俺たちはヴァイパーの魔王を殺してしまった。あれは、サドラーの資源だったんだろ?」
サドラーは電力の八〇%を、ヴァスキーで補っていたという。
「あんなバケモノに頼っていたことが、そもそもの間違いだったのです。これからは、人の手で復興していきますわ」
ヒルデの言葉は、力強い。
「とはいえ、我々は人の力を侮っていたのかも知れません。デッカーさんたちが、本当によく働いてくれていて」
サドラーの復興に最も貢献したのは、なんとデッカーたちだった。
ヒルデも正直、彼らのことをニートだと思いこんでいたらしい。
デッカーらだって、誰かに頼られたかったのだろう。
「人間も、まだ捨てたものではないのですわ」
サドラーは、もう大丈夫だと感じる。ヒルデはその分、忙しさが増すだろうが。
「今回の会合ですが、わたしも同席して、よろしかったのでしょうか」
魔王であるサピィが、困惑している。サピィの衣装は、スッキリとした淡い水色のドレスである。戦闘服ばかり見ていたので、新鮮だ。
「ご安心を。わたくしが大臣を説得いたしまして、オーフェリア様との和解の席を設けましたの。オーフェリアお姉さまには、余計なお世話だったでしょうか?」
申し訳なさそうに、ヒルデはフェリシアにお伺いを立てた。
「いえ。おじいさまとは、いずれちゃんとお話しないとと思っていたから」
フェリシアは笑う。
「よかったですわ」
大臣の部屋に入ると、正装した老人が立っていた。初めて会ったときの刺々しさはない。
「お招きいただけて感謝する、大臣」
「いや。礼を言うのはこちらだ。国王が応対できず、申し訳ない」
国王はというと、各国へお礼と謝罪に回っている。
「とんでもない。あなたもお忙しい中、こういった場を用意してくださって」
あいさつを終えて、エルトリから報酬があるという。
まずは、サドラーに復興資金が送られた。
俺たちも、金を受け取る。小さい村を、一つ買えるくらいの額だ。ヴァイパーの脅威が去ったので、他の地域へ資金を回す余裕ができたらしい。
「金しか渡せないのが、忍びないが」
「とんでもない。光栄だ」
しかし、どうしたものか。
俺たちでは、絶対に持て余してしまう。
「アイレーナの立て直しにあてましょう。我々の拠点が栄えれば、他の都市も潤うと思うのです」
相乗的に、他の地域を支援できるのでは、とサピィは考えているようだ。
「そのことについても、お話しておきたいことがあります」
ヒルデが、話題を切り出す。
話が長くなるとのことで、エルトリがお茶の席を用意してくれた。
「サドラーは、アイレーナと姉妹都市になろうかと考えております」
「アイレーナと?」
姉妹都市関係になるのはありがたい。とはいえサドラーは、アイレーナとは反対の地域に位置している。不便なのではないだろうか。
「こちらからは、サドラーのデッカーを数名派遣します。そちらからは、武器防具類を買い取ろうかと」
ブートレグ蔓延の予防策として、サドラーはアイレーナから装備を買いたいという。
「詳しくは、あちらの領主様とお話になると思いますが」
「ならば、ペールディネ王と話し合うとよかろう。アイレーナは、ペールディネの領地だ。そちらから話を通してもらえるであろう」
エルトリ大臣が、推薦状を書いてくれるらしい。
「ありがとうございます。エルトリ大臣」
「いや。我々も、もうペールディネと争う段階ではないと感じておった。今は、いがみ合っている場合ではないと」
大臣の顔は、すっかり「気のいいおじいさん」のようになっていた。
フェリシアとエルトリ大臣の和解こそ、この戦いで一番の報酬のように思える。
サドラー陣営では、王女であるヒルデも同席している。
「ありがとうございました。これでサドラーも、もとに戻るでしょう」
「しかし、俺たちはヴァイパーの魔王を殺してしまった。あれは、サドラーの資源だったんだろ?」
サドラーは電力の八〇%を、ヴァスキーで補っていたという。
「あんなバケモノに頼っていたことが、そもそもの間違いだったのです。これからは、人の手で復興していきますわ」
ヒルデの言葉は、力強い。
「とはいえ、我々は人の力を侮っていたのかも知れません。デッカーさんたちが、本当によく働いてくれていて」
サドラーの復興に最も貢献したのは、なんとデッカーたちだった。
ヒルデも正直、彼らのことをニートだと思いこんでいたらしい。
デッカーらだって、誰かに頼られたかったのだろう。
「人間も、まだ捨てたものではないのですわ」
サドラーは、もう大丈夫だと感じる。ヒルデはその分、忙しさが増すだろうが。
「今回の会合ですが、わたしも同席して、よろしかったのでしょうか」
魔王であるサピィが、困惑している。サピィの衣装は、スッキリとした淡い水色のドレスである。戦闘服ばかり見ていたので、新鮮だ。
「ご安心を。わたくしが大臣を説得いたしまして、オーフェリア様との和解の席を設けましたの。オーフェリアお姉さまには、余計なお世話だったでしょうか?」
申し訳なさそうに、ヒルデはフェリシアにお伺いを立てた。
「いえ。おじいさまとは、いずれちゃんとお話しないとと思っていたから」
フェリシアは笑う。
「よかったですわ」
大臣の部屋に入ると、正装した老人が立っていた。初めて会ったときの刺々しさはない。
「お招きいただけて感謝する、大臣」
「いや。礼を言うのはこちらだ。国王が応対できず、申し訳ない」
国王はというと、各国へお礼と謝罪に回っている。
「とんでもない。あなたもお忙しい中、こういった場を用意してくださって」
あいさつを終えて、エルトリから報酬があるという。
まずは、サドラーに復興資金が送られた。
俺たちも、金を受け取る。小さい村を、一つ買えるくらいの額だ。ヴァイパーの脅威が去ったので、他の地域へ資金を回す余裕ができたらしい。
「金しか渡せないのが、忍びないが」
「とんでもない。光栄だ」
しかし、どうしたものか。
俺たちでは、絶対に持て余してしまう。
「アイレーナの立て直しにあてましょう。我々の拠点が栄えれば、他の都市も潤うと思うのです」
相乗的に、他の地域を支援できるのでは、とサピィは考えているようだ。
「そのことについても、お話しておきたいことがあります」
ヒルデが、話題を切り出す。
話が長くなるとのことで、エルトリがお茶の席を用意してくれた。
「サドラーは、アイレーナと姉妹都市になろうかと考えております」
「アイレーナと?」
姉妹都市関係になるのはありがたい。とはいえサドラーは、アイレーナとは反対の地域に位置している。不便なのではないだろうか。
「こちらからは、サドラーのデッカーを数名派遣します。そちらからは、武器防具類を買い取ろうかと」
ブートレグ蔓延の予防策として、サドラーはアイレーナから装備を買いたいという。
「詳しくは、あちらの領主様とお話になると思いますが」
「ならば、ペールディネ王と話し合うとよかろう。アイレーナは、ペールディネの領地だ。そちらから話を通してもらえるであろう」
エルトリ大臣が、推薦状を書いてくれるらしい。
「ありがとうございます。エルトリ大臣」
「いや。我々も、もうペールディネと争う段階ではないと感じておった。今は、いがみ合っている場合ではないと」
大臣の顔は、すっかり「気のいいおじいさん」のようになっていた。
フェリシアとエルトリ大臣の和解こそ、この戦いで一番の報酬のように思える。
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