レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

文字の大きさ
158 / 230
3-3 大人数で、殴りに行きます

モンスターハウス耐久

しおりを挟む
 オーブを中心としたエリアに、壁の向こうからモンスターがワラワラと湧き出てくる。

 完全に、取り囲まれた形だ。

「隊長、敵が進行してくるルートを予測するに、【モンスターハウス】から来ている模様!」
「そんなバカな。三層と二層が繋がっただと!?」

 レーダーを感知する兵隊の報告から、エトムント隊長が驚愕した。

 二層は基本的に、推理エリアである。|謎掛け《リドル)かパズルの要素が強く、フロアボスまでの道のりまで敵が出てこない。だからこそ、黒騎士ラムブレヒトが現れて全員が驚いたのだ。

 対して、第三層はいわゆる【モンスターハウス】と呼ばれる場所である。迷路ではない上に、攻略する必要性がない。その代わり、魔物が無限に湧く。勢いが収まるまで、襲撃をやめない。レベル上げか、ドロップを求めるトレハン目的でしか、潜るハンターがいないフロアである。

 その三層と、二層が繋がってしまった。

 つまり、三層へ行くための謎解きと、モンスターの討伐を同時に行わなければならない。

「最悪だな、ランバート。戦力を分散され、おまけに耐久とは」

 騎士団たちが、俺にグチってくる。

「まったくだ。できるだけお前たちに被害がないよう務める」
「頼むぜ!」

 兵隊たちが、何度も銃を確認した。その重視にも弾倉にも、ジュエルが施されている。

「その分、少年にがんばってもらいましょうぞ。少年よ。レベル上げのいい機会ですぞ」

 シーデーが、指マシンガンを敵へ向けた。

「わかってらあ!」

 ルーオンが前に出る。コネーホを守るギリギリの距離を保って、剣を構えた。ブロードソードかと思いきや、長剣と逆手持ちナイフの二刀流である。

「そんな武器、持っていたか?」
「いや。オレはボス用だとブロードソードに、ザコ相手だと剣を分離させて二刀流にするんだ」

 ルーオンの剣に、そんな仕掛けがあったとは。

「よし、撃て撃てぇ!」

 エトムントの号令とともに、戦闘が始まった。

 騎士団たちの銃撃によって、魔物たちが蜂の巣になる。

 だが、それでも魔物たちは次々と襲いかかってくる。撃っても斬っても収まらない。

「サピィお嬢は、五分持たせろとおっしゃっていました。五分もあればこの現象は収まり、次の階層への扉が開くと」
「わかった。みんな、五分だ! 五分だけ時間を稼いでくれ!」
次元断ディメンション・セイバー】を撃ちながら、俺は騎士団たちに伝える。
「五分だって!? 弾数がもたねえ!」
「それは心配ない! ジュエルがマガジンになってる! 拾って活用してくれ!」

 サピィは、エトムントやルーオンたちにもジュエル回収用の腕輪を持たせていた。こうなることを想定していたのか、騎士団たちにはジュエルが銃の弾倉になるようセットしてあるようだ。

 肉片が飛び散って、ジュエルへと変わっていった。兵隊たちが装備している回収用の腕輪に、ジュエルが吸収されていく。集まったジュエルは、弾倉へと変形した。こんな使い方まであるとは。

「これなら、弾切れの心配はねえな!」

 騎士団が取りこぼした魔物たちを、俺とルーオンで撃退していく。

「くそお、ヤベえ!」

 兵士の一人が、リロード中を狙われた。

「おらあ!」
「やあ!」

 俺とルーオンの二人で、魔物を刺し貫く。落ちたジュエルは弾倉へと変化させ、兵隊に渡す。

「すまねえ!」
「礼には及ばん、今度は俺が回復する」
「おう! 休んでろ!」

 兵隊に任せ、俺は携帯食を含んで休む。

「ほら、お前も食え」
「おうランバート。助かる。あーん」

 立ちっぱなしでエリアヒールを撒いているトウコの口にも、携帯食を放り込む。

「フェリシア、口を開けろ」
「ありがとうランバート」

 続いて、フェリシアの口にも。

「お前も休むか、ルーオン?」
「座ってろ。オレ一人で十分だ!」

 俺が携帯食を差し出すと、ルーオンは頼もしい言葉が返す。

 ルーオンの攻撃は、横一閃が多い。このフォームは、斬撃というよりバッティングに近い。もしかすると。

「ゴーストメイジだ!」

 フヨフヨ浮いているガイコツが、こちらへカマイタチの魔法を飛ばしてくる。

 数名の兵士が、腕や足を負傷した。

「くっそ、あの飛んでる魔法使いを狙え!」

 兵士たちが、エトムントの指示で魔法使いに攻撃を仕掛ける。

 しかし、ガイコツにダメージが入っていない。やはり霊体は、銃では倒せないようだ。しかも、数が増えてきた。

「構うな! 俺がやる!」

 俺は、刀に精神を集中させる。

「【影断ち】、おらあ!」

 霊体にダメージを与える【影断ち】というスキルを、次元断へ乗せた。刀から発動した衝撃波が、ガイコツ魔術師を次々と両断する。 

 だが、魔物たちの襲撃が止むことはない。騎士団たちの雨のような弾をすり抜けて、こちらに向かってきた。

「弾が追っつかねえ!」
「やべえ! リロード中を狙われる!」

 さすがに、騎士団たちも連携が乱れてきた。このままでは。

「ルーオン、野球は好きか?」
「いきなりなんだよ?」
「野球をやったことは? って聞いているんだ」
「少年野球をしてて、エースだった」
「だろうな」

 剣の振り方が野球に近かった。

「リックが教えてくれたんだ。世界が平和になったら、野球で生計を立てろって」

 あいつも、ハンター稼業だけを考えていたわけじゃないのか。

「今から、火球を放る。打ってみろ」
「わかった」
「それ」

 俺は手に火球を作り出し、ルーオンに向けて軽く放り投げた。

「せや!」

 ルーオンが、火の玉を打つ。

 火炎弾は放物線を描き、敵が溜まっているエリアに着弾した。

 大多数のモンスターが、爆発で吹っ飛ぶ。

「うっわ! 一気にやっつけた」

 それだけではない。大量の魔物を撃退したことで、ルーオンに大量の経験値が入る。

「いいぞ。次は左中間。行け!」
「うりゃ!」

 俺の火球を、またルーオンが打つ。ちゃんと指示通りに、左中間へクリーンヒットした。

「さすがだな! エースの名は伊達ではない!」

 俺は火球をルーオンへ放り投げつつ、次元断を撃ち続ける。

「あんた、ホントにサムライかよ?」
「正確には、『殴りウィザード』だ。よく覚えておくんだ」

 ルーオンも、さすがに呆れている。

 俺が提案した千本ノック大作戦で、ザコモンスターたちは数を減らしていった。 

「見ろよ! なんか中ボスみたいなヤツが出てきたぜ!」

 一つ目の巨人が、鉄槌を手に歩いてくる。一〇メートルはあるだろうか、巨体を揺らしながらゆっくりと迫ってきた。

「サイクロプスだと? レベル三、四〇程度の魔物が、こんなダンジョンに?」
「いや、あいつは『ギガース』だ! 一回り強いぜ!」

 鈍足だが、騎士団たちの弾をものともしない。

「エトムント、俺とルーオンにやらせてくれ」

 俺は、騎士団長のエトムントに提案をした。

「わかった! 通達。ヤツはランバートたちに任せろ! 弾のムダ使いをするな! 我々は数の多い敵を潰すんだ!」

 エトムントが、兵士たちに号令をかける。

「ルーオン、敵は、お前の速さについていけない。かく乱を頼めるか?」

 俺はルーオンに、単独で向かうように告げた。

「突っ込んでいいんだな?」
「ああ。思い切り行け。敵が襲ってきたら、俺がサポートする」
「わかった。行ってくる!」

 二刀流をブロードソードに戻して、ルーオンがギガースへ突撃する。

 ギガースが、ルーオンに向かって鉄槌を振り下ろそうとした。

「オラア!」

 俺はギガースの両腕に向かって、特大の次元断を放つ。ギガースの両腕をもぎ取るまでには至らなかったが、折ることはできた。たとえ巨大モンスターと言えど、関節部はもろい。そこだけに集中すれば。

 ブーツに仕込んだ雷ジュエルを全開にして、ルーオンは加速する。ギガースの巨体を足場にして、跳躍した。狙うは、ギガースの目だ。

「くらえ!」

 ブロードソードが、ギガースの目に突き刺さった。ギガースが、スフィアサイズのトパーズへと変わる。

「やったぜ、ランバート!」
「まだだ! 後ろに、もう一体いるぞ!」

 別個体の裏拳が、ルーオンに迫る。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...