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3-5 堕天使を殴りに行きます 前編
堕天使と一騎打ち
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甲冑のマントが、黒い翼へと変わる。だが、羽根が生物的ではない。一枚一枚が機械でできていて、動くたびにキイキイと不快な音を鳴らす。これは、自立兵器か。
「ダークナイトの正体は、堕天使だって?」
ルーオンが言うと、「そうだ」とラムブレヒトが返した。
「ペトロネラが依代を使って子をなして生まれたのが、オレだ」
「顔も、どことなくペトロネラに似ているな」
だから、俺はラムブレヒトを堕天使だとわかったのである。
「しかし、オレには羽根が生えなかった。なのでこのとおり、機械で代用している」
つまり改造を受けている、と。
「半分は、人間なんだろ? だったら、なおさら攻撃するチャンスはあったじゃないか?」
俺は、ラムブレヒトに問いかける。
「そうだぜ、【威圧】のスキルを使ってりゃあ、いくらでも殺せたじゃん」
ルーオンの言うとおりだ。
どうして、そうしなかったのか?
「母親と同じスキルで殺しても、オレの強さにはならん」
ラムブレヒトにも、プライドがあったと?
「あの聖女は自らの手で倒さなければ、意味がないと告げた。聖女の血を飲めば、たしかに神へと近づける」
聖女を殺した者に、神とコンタクトを取る力を与えられるそうだ。
力を喪ったペトロネラは、どうしても聖女の力が必要なのだという。
「しかし、それには自身の手で殺さねばならん。死んだ聖女の血は、少しでも大気に触れると砂になってしまうからだ
「それで、配下に探させていたのか」
「ああ。しかも高次元エーテル世界などに逃げ込まれては、血の純粋性が濁ってしまう」
「お前たちは、『肥溜め』と認識しているらしいな」
「魔力の肥料という意味では、間違っていない。だが、その必要もなくなった。聖女自ら出向いてくれたからな」
ラムブレヒトが、大剣を振るう。
「今のオレは、武器も防具もレアではない。お前が相手だからな」
あれはおそらく人工の「呪いの武器」、ブートレグ製品だろう。
「来い、秘宝殺しのウィザード」
「受けて立つ」
俺は、新生黒曜顎を抜いた。
「それが、貴様の武器か。いい色をしている。フィーンド・ジュエルそのものを武器としているらしいな」
強度に不安はあるが、打ち合わなければ問題はないだろう。
「他のものは、先へ行くがよい」
大剣を掲げ、ラムブレヒトは俺だけを警戒した。
「聖女、行きましょう」
サピィがリュボフを連れて、真っ先に五層へと向かう。俺にはただ、一つうなずく。それだけで、彼女が俺をどれほど信頼しているかわかった。
「ご武運を」
「勝たないと承知しないぞー」
トウコとシーデーが、後に続く。
「大丈夫だとは思うけれど、死なないでよ。ランバート」
「もちろんだ、フェリシア」
続いてビョルンが、「まあ、チャチャっとやってくらあ」とリュボフを追った。
「いいのかよ? ランバート?」
先へ行こうとしたルーオンが、立ち止まる。
「ああ。いいんだ。コイツは、小細工をするようなやつじゃない。おそらく聖女は本当に上の階で待っているのだろう。聖女リュボフを守るんだ」
「わかったぜ、ランバート。オレに任せろ!」
自身を取り戻したルーオンを、コネーホが後ろから押す。
「ほらほら、イキってないで早く行くの。じゃあランバート、信じてるから」
「すぐに追いつくさ。コネーホ」
他のメンバーたちも、五層へ向かった。
「お前、ランバートという名前なのか」
「そうだ。似たような名前だな、俺たちは」
「たしかにな」と、ラムブレヒトが剣を構え直す。
「だが、俺に仲間はいらぬ。χでさえ、踏み台に過ぎぬ。やはり、信じるは一人。己自身だ」
仲間のおかげで強くなれた俺とは、対照的だ。
「勝負だ、ランバートとやら。誰かのために強くなったお前と、誰にも頼らないオレと、どちらが強いのか。オレとお前は、戦う運命だったのかもな!」
「おらあああ!」
俺もラムブヒレトも、同時に刀から衝撃波を放つ。
「ダークナイトの正体は、堕天使だって?」
ルーオンが言うと、「そうだ」とラムブレヒトが返した。
「ペトロネラが依代を使って子をなして生まれたのが、オレだ」
「顔も、どことなくペトロネラに似ているな」
だから、俺はラムブレヒトを堕天使だとわかったのである。
「しかし、オレには羽根が生えなかった。なのでこのとおり、機械で代用している」
つまり改造を受けている、と。
「半分は、人間なんだろ? だったら、なおさら攻撃するチャンスはあったじゃないか?」
俺は、ラムブレヒトに問いかける。
「そうだぜ、【威圧】のスキルを使ってりゃあ、いくらでも殺せたじゃん」
ルーオンの言うとおりだ。
どうして、そうしなかったのか?
「母親と同じスキルで殺しても、オレの強さにはならん」
ラムブレヒトにも、プライドがあったと?
「あの聖女は自らの手で倒さなければ、意味がないと告げた。聖女の血を飲めば、たしかに神へと近づける」
聖女を殺した者に、神とコンタクトを取る力を与えられるそうだ。
力を喪ったペトロネラは、どうしても聖女の力が必要なのだという。
「しかし、それには自身の手で殺さねばならん。死んだ聖女の血は、少しでも大気に触れると砂になってしまうからだ
「それで、配下に探させていたのか」
「ああ。しかも高次元エーテル世界などに逃げ込まれては、血の純粋性が濁ってしまう」
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「魔力の肥料という意味では、間違っていない。だが、その必要もなくなった。聖女自ら出向いてくれたからな」
ラムブレヒトが、大剣を振るう。
「今のオレは、武器も防具もレアではない。お前が相手だからな」
あれはおそらく人工の「呪いの武器」、ブートレグ製品だろう。
「来い、秘宝殺しのウィザード」
「受けて立つ」
俺は、新生黒曜顎を抜いた。
「それが、貴様の武器か。いい色をしている。フィーンド・ジュエルそのものを武器としているらしいな」
強度に不安はあるが、打ち合わなければ問題はないだろう。
「他のものは、先へ行くがよい」
大剣を掲げ、ラムブレヒトは俺だけを警戒した。
「聖女、行きましょう」
サピィがリュボフを連れて、真っ先に五層へと向かう。俺にはただ、一つうなずく。それだけで、彼女が俺をどれほど信頼しているかわかった。
「ご武運を」
「勝たないと承知しないぞー」
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「大丈夫だとは思うけれど、死なないでよ。ランバート」
「もちろんだ、フェリシア」
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「わかったぜ、ランバート。オレに任せろ!」
自身を取り戻したルーオンを、コネーホが後ろから押す。
「ほらほら、イキってないで早く行くの。じゃあランバート、信じてるから」
「すぐに追いつくさ。コネーホ」
他のメンバーたちも、五層へ向かった。
「お前、ランバートという名前なのか」
「そうだ。似たような名前だな、俺たちは」
「たしかにな」と、ラムブレヒトが剣を構え直す。
「だが、俺に仲間はいらぬ。χでさえ、踏み台に過ぎぬ。やはり、信じるは一人。己自身だ」
仲間のおかげで強くなれた俺とは、対照的だ。
「勝負だ、ランバートとやら。誰かのために強くなったお前と、誰にも頼らないオレと、どちらが強いのか。オレとお前は、戦う運命だったのかもな!」
「おらあああ!」
俺もラムブヒレトも、同時に刀から衝撃波を放つ。
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