レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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3-6 堕天使を殴りに行きます 後編

新たなジュエルの解説

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「皆の者、私に続け!」

 エトムントが、背後にいる無数の兵士たちに号令をかける。

 兵隊たちが、闇のハンターたちと交戦になった。堕天使たちとも。

「リック……」

 俺が声をかけると、リックがこちらを向く。

「目が治ったんでな。仲間が戦っているんだ。寝てばかりはいられない」

 診療所にエトムントが来て、共に戦ってくれるように説得しに来たらしい。

 ハイエルフのルエ・ゾンは、瀕死のルーオンの側に寄って治癒した。俺たちより数倍も魔力効果の高いパワーで、ルーオンを一瞬で治す。

「ルーオン! よかった。無事だった!」

 治癒魔法でヘトヘトになりながら、コネーホがルーオンを抱きしめた。

「コネーホ、痛いっての」
「ごめんなさい。でも」
「オレはもう大丈夫だから」

 ルーオンは、コネーホをかばうように立ち上がる。

「ありがとう、ルエ・ゾン」
「うむ。行くがよい戦士よ」

 ルエ・ゾンに見送られ、ルーオンとコネーホはリックと向き合う。

「すまん、ルエ・ゾン。行くぞルーオン!」

 父代わりの男とともに、二人の若きハンターは戦場へ。

「俺からも礼を言う、ルエ・ゾン」
「よいのだランバート。オレサマはずっと、この塔から逃げてきた。今こそ向き合うとき。なあ、ダフネちゃん」

 ルエ・ゾンの後ろには、ノームのダフネちゃんが隠れていた。認識阻害のローブをまとって、存在を隠していたのである。

「そうなのです。ランバート、ジュエルを見せるです」

 俺は、ラムブレヒトから手に入れたオレンジ色のジュエルを、ダフネちゃんに渡す。

「これはアンバー。コハクです。効果は【分析】です。相手の弱点を見つける効果があるです」

 ドラゴンと戦ったときの用途は、どうやら正しかったらしい。

「それは便利だな。しかし、持ちながら戦うのが不便だ」
「こうすればいいです」

 ダフネちゃんが、コハクを平たく加工した。耳からかけて着脱可能なモノクルに。ダフネちゃんは、ジュエルの形状を変えられる唯一の存在だ。

 続いて、ブラックドラゴンの体内から出てきたジュエルを差し出す。

「これは……トルマリンなのです。こんな純度の高いジュエル、初めて見たです」
「効果は?」
「【修復】なのです。武装が壊れにくくなるです。壊れても、再生するです。アーマー向きなのです」

 ベルトのスロットを追加して、トルマリンのジュエルをはめ込む。

「感謝する。俺だけだと、使い道がわからんからな」
「いいです。それより、なぜか新しいジュエルが続々とできているです。ジュエル表は、作り直したほうがいいかもです」

 それは、俺も思っていた。なにか理由があるのだろうか。

 サピィやダフネちゃんクラスなら、新しいジュエルでも鑑定はできるが。

「わかった。今後は考えておく。じゃあ、行ってくる」
「気をつけるです」

 ダフネちゃんに別れを告げ、俺はサピィのいる柱の上へと向かう。

 柱には特殊なGがかかっていて、駆け上がっても落ちる心配がない。

「どけおらあああ!」

 堕天使の攻撃は激しいものの、パワーアップした武器で切り捨てていく。

 ディメンション・セイバーの負担が、軽くなった気がする。コナツの改造がいいのか、マガタマジュエルのおかげか。

 このモノクルは便利だ。敵の弱点だけではなく、どのルートが手薄かといった突破口まで示してくれる。

 だが、後ろから嫌な気配が。

「なんだっ!?」

 背後から、弓矢や銃弾がとんできた。

 しかし、その銃弾の雨が止む。

 アフロヘアのドリアードが、俺を狙うハンターを撃退してくれたのだ。ルエ・ゾンはラボの門番まで借り出してきたようだ。

「オイラたちがいるのを、忘れているな!」

 ビョルンやリュボフも、攻撃の手を緩めない。

「ここは、俺が引き付ける。お前たち二人は、サピィを援護してくれ」
「わかったわランバート。頼むわよ!」

 二人を先に行かせて、俺は堕天使たちを引き受ける。
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