世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双

椎名 富比路

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第三章 FIRE失敗民、違法ダンジョンをぶっ壊す

第24話 違法ダンジョン

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 このダンジョンは、違法に改築されたものだ。

「ミツル。これが、違法ダンジョン?」

「ああ。これだ」

 オークの装備品を、ロニに見せた。

「装備品の構造が、近代的すぎる。これは、どこかの業者が持たせたものだ」

 それに、ルートに不自然な空洞がある。

「この空洞から、違法ダンジョンにつながっていると思っていい」

「入ろう! 妖精たちが、ムリヤリ働かされているのかも!」

 オレは、焦るロニを抑え込む。

「止めないで! こうしている間にも妖精たちが」

「わかってる。だから、事前に準備しねえと」

 オレはキナ子に、冒険者ギルドに繋げるように伝達する。
 
「ロニは、入口に戻れ。さっきの半魚人ニーチャンに、応援を要請してくれ」

 この距離なら、ロニに直接行ってもらったほうが早い。
 
「わかった」

 ロニを行かせて、オレは地球側のギルドに通信を入れた。

『その管轄でしたら、ホグビィド盗賊団が怪しいですね』

 受付のお姉さんが、そう伝えてくる。

「ホグビィド盗賊団?」

『ジェラーノの街を拠点とする、大規模盗賊団です。非合法の盗賊ギルドといってしまったほうが、その規模は理解してもらえるかと』

 盗賊ギルドに合法も何もあるのか、というツッコミは、この際抜きにする。

「で、その盗賊団が、どっかからの入れ知恵で、ダンジョン違法建築に関与していると」

『はい。盗賊団単独の行為とは、考えづらいです』

 盗賊団と言っても、家業は物取りだけではない。違法ダンジョンの開発にも、関与しているという。
 しかし、決定的な証拠は掴めず、彼らも行方をくらませていた。
 
『やけにおとなしいと思ったら、こういうことだったらしいですね』

「相手は盗賊団か。運が悪いと、暴力刃傷沙汰になるかもしれん。相手が人間の場合、最悪はPKになる」

 プレイヤーキル……つまり、冒険者同士の殺し合いに。

『許可します。指定盗賊団ですので』
 
「わかった」

 ギルドが全責任を負うので、盗賊団の関与が発覚次第、撃滅してくれとのことだ。
 
「空洞に入るぞ、キナ子。録画を頼む」

『セッティング完了です、ミツルさん』

 キナ子の目をカメラ代わりにして、違法ダンジョンを調査する。

「トラップだ」

 オレはナイフで、罠のワイヤーを外した。

「罠は原始的だが、盗賊団の知恵じゃねえ」

 特殊な魔法が、かかっている。こんなもの、盗賊団が作れるはずがない。

「ロニが戻ってきたら、調べてもらおう」

 灰色の道を、ソロリソロリと進む。
 
「わああああ!」

  ダンジョンの奥で、悲鳴が上がった。

「いくぞ、キナ子!」

 冒険者が、盗賊団に襲われている。装備からして、娯楽目的の富裕層のようだ。

 盗賊団たちは、クロスボウなどで武装していた。装備品も、魔法でコーティングされている。明らかに、何者かの手が加えられていた。

 冒険者のお供であるはずの傭兵コンパニオンが、死んでいる。

「待ってろ、助ける!」

「お前らの相手は、オレだ!」
 
 魔法使いのスキル、【チェイン・ライトニング】で、その場の盗賊団全員を感電させる。
 スキル調整の際、チェイン・ライトニングの範囲を六から一八へと一気に上げた。

「決めちまえ、キナ子!」

『はい。【旋風脚】!』

 跳躍からの回し蹴りで、盗賊団どもの首をへし折る。

「一人も生かさん!」

 オレは、残党も容赦せず撃退した。

 すべての敵を倒し、オレは傭兵の死体を改める。
 
『首になにか、刺さっていますね』 
 
「毒の矢だ」
 
 さっきの毒矢トラップに、やられたんだな。

 盗賊団の全滅を確認していると、ロニがやってきた。

 ギルド職員に、冒険者を任せる。

「みんな、殺したの?」

 初めて殺人を見たのか、ロニの足がすくんでいた。
 
「殺傷は、許可してもらっている。というか、盗賊はダンジョンでは【モンスター】扱い」だし」
 
 正規ギルドを通していない盗賊団は、少なからず魔族と契約している。あるいはダンジョンの魔素を吸って、正気を失う。

「魂だけではなく、肉体も変質していくんだ。あんな風にな」

 無数のオークが、オレたちを取り囲んでいる。

「ミツル、ひょっとしてコイツら全部?」

「ああ。元盗賊団だろう」
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