転生特撮ヲタ、異世界でダークエルフの霊にそそのかされてパワードスーツの開発をして、世界を救うことに。俺は特撮フィギュアが作りたいだけなのに。

椎名 富比路

文字の大きさ
29 / 42
第三章 魔王、本格始動

第29話 閑話 黒き頭脳

しおりを挟む
「ドクター・イシロウ! 貴様の勝手な狼藉、許すわけにはいかん」

 魔王軍高官が、新兵器を開発しているタキに文句を投げかける。

 タキは、竜胆の騎士ジェンシャン・ナイト打倒のために、新兵器を開発していた。
 その姿は、三〇メートルを超える四本脚のトカゲである。
 ドレイクなど、物の数ではない。
 やはり、あの宝玉を盗み出して正解だった。この兵器さえあれば。

 あれから、数週間もかかってしまったが、実権と実践を重ねて、ようやく実用化できそうだ。

 なのに、魔王軍はタキに「開発をやめよ」と命令してくる。

「誰も許してもらおうなんて思っとらん! そもそも魔王の指示やぞ。なんでお前らなんかの許可なんて必要やねん!」

 理不尽な言い分に、タキも言い返した。

「ジェラン閣下の指示で、動いていないと聞いたぞ! 誰に断って、生物兵器など開発してるのだ!」

 コイツはウェザーズの派閥にいたくせに、彼の死後あっさりとミルドレット派に寝返っている。信用はできない。

「せやから、ワシはマーゴット様の指示で動いとんのじゃ! どっちも魔王の家系やろうが。ウソは言うてへんで!」
「な……マーゴット王女だと!?」

 ジェラン・ミルドレットの娘マーゴットが、タキの側に立つ。

「そもそも、ワシを召喚したんはマーゴット様じゃ! マーゴット様に従うんがスジ、っちゅうもんやで!」

 そもそも、タキはジェランにさえ楯突いている。マーゴットこそ、魔王のザにふさわしいと思っているからだ。

 ウェザーズはオラオラパワハラ男であり、逆にジェランは日和見主義だ。どちらも悪の指揮官としてはダメすぎる。

「お前を召喚したことで、王女殿下はお役目は十分果たした! ソレ以上は、厄介なのだ! あの方は、魔王の器には値せぬ! おとなしくジェラン様に従え!」

 高官が、王女に対して批難めいた言葉を発したときだ。 

「私が、なにか問題でも?」

 赤黒いドレスに金髪碧眼の少女が、タキの隣に立った。頭には、ヤギの角が突き出ている。瞳は濁り、肌は骨のように白い。
 彼女は、マーゴット王女はいわゆる「病み系」女子なのである。

「引っ込んでいたください、マーゴット王女! あなたは王位を剥奪された身! 政にかかわるなど起こされたら……」
「お前こそ引っ込んでいなさい!」

 高官を見下しながら、マーゴットは腰のシッポをムチのようにしならせた。

「それはウェザーズの策略でしょう? 奴を失った今、ウェザーズ派だったあなたにはなんの権限もございません!」

 見た目は齢一六のガキだ。しかし、実年齢は一〇〇を超える。

「いっちょ前にほざきおって、小娘が!」

 兵器開発部門に、魔王軍が押し寄せてきた。

「王女もろとも殺せ! あの異界からの科学者は、姫ともども事故で死んだと王には報せよ!」

 殺意満載で、ウェザーズ派の高官はタキを攻撃してくる。

「ああもうっ、しゃあない! 『化身ケシン』!」

 銃を胸にかざし、タキはパワードスーツに身を包んだ。

 しかし、変身中だというのに魔物たちは襲ってくる。

「まだや、まだや! 準備できとらへん!」

 とはいえ、衝撃波で襲ってきた魔物たちは砕けていく。

 タキは、魔術師タイプだ。正面切っての攻撃は得意ではない。この鋼鉄のスーツも、インナーに過ぎなかった。馬面を殺したのも、変身前を襲われたから。

 タキを、パワードスーツが覆う。ひ弱な彼を、マッシブなパワードスーツが包んだ。

 敵はシェリダンではなく、魔王軍なのではないか。タキは心底思った。

 腰に下げていた拳銃を抜き、発砲する。

 火炎の弾が撃ち出され、魔族たちを粉砕した。

「おお、ハンドキャノンってえげつな」

 自分が撃ったのに、自分が一番驚いている。

「なんだあの武器は! メテオか!?」

 タキの背後に、ヘビのウロコを模した重めのプロテクターが。

「今のはメテオやない。ファイアーボールや」

 両手を広げ、タキは念じる。

「さて、新兵器のお目見えや。練習台になってや!」

 怪物の前足が、タキとマーゴットを乗せる。

「おおおおおお!?」

 高官派の魔物たちが、恐れおののいていた。

「あれは、ド、ドドド……」
「お前ら、ドドドドうるさいんじゃあ! 星野源かぁーっ!」

 タキは、自らが開発したモンスター【ブラック・ドラゴン】を操り、ブレスで魔物たちを一網打尽にした。

 赤い稲妻を吐き出して、ドラゴンは何もかもを灰にしていく。

「しょうもないやつらやで」

 ドラゴンの活動を停止させ、タキは悪態をつく。

「大義でした、イシロウ・タキよ。あなたがいなければ、私はウェザーズ派の手で暗殺されていたでしょう」

 そもそもマーゴットがタキを召喚したのも、自分を守ってくれる存在が魔族側にいなかったからである。
 わざわざ外部から因子を連れてこなければならないとは。

「かまへん。どうせ、ワシも向こうで居場所なんてなかったんやからな」

 タキも、きれいな状態で人間をしていたわけではない。
 ずっと闇を抱えて、生きていくと思っていたから。

「ほな、王都を襲撃といこか」
「ですわね。父にいい土産話ができそうです」
「しっかり捕まっといてや!」

 黒い竜が、紫色の空を羽ばたく。

 魔族たちの死骸を蹴散らしながら。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...