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第三章 魔王、本格始動
第29話 閑話 黒き頭脳
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「ドクター・イシロウ! 貴様の勝手な狼藉、許すわけにはいかん」
魔王軍高官が、新兵器を開発しているタキに文句を投げかける。
タキは、竜胆の騎士打倒のために、新兵器を開発していた。
その姿は、三〇メートルを超える四本脚のトカゲである。
ドレイクなど、物の数ではない。
やはり、あの宝玉を盗み出して正解だった。この兵器さえあれば。
あれから、数週間もかかってしまったが、実権と実践を重ねて、ようやく実用化できそうだ。
なのに、魔王軍はタキに「開発をやめよ」と命令してくる。
「誰も許してもらおうなんて思っとらん! そもそも魔王の指示やぞ。なんでお前らなんかの許可なんて必要やねん!」
理不尽な言い分に、タキも言い返した。
「ジェラン閣下の指示で、動いていないと聞いたぞ! 誰に断って、生物兵器など開発してるのだ!」
コイツはウェザーズの派閥にいたくせに、彼の死後あっさりとミルドレット派に寝返っている。信用はできない。
「せやから、ワシはマーゴット様の指示で動いとんのじゃ! どっちも魔王の家系やろうが。ウソは言うてへんで!」
「な……マーゴット王女だと!?」
ジェラン・ミルドレットの娘マーゴットが、タキの側に立つ。
「そもそも、ワシを召喚したんはマーゴット様じゃ! マーゴット様に従うんがスジ、っちゅうもんやで!」
そもそも、タキはジェランにさえ楯突いている。マーゴットこそ、魔王のザにふさわしいと思っているからだ。
ウェザーズはオラオラパワハラ男であり、逆にジェランは日和見主義だ。どちらも悪の指揮官としてはダメすぎる。
「お前を召喚したことで、王女殿下はお役目は十分果たした! ソレ以上は、厄介なのだ! あの方は、魔王の器には値せぬ! おとなしくジェラン様に従え!」
高官が、王女に対して批難めいた言葉を発したときだ。
「私が、なにか問題でも?」
赤黒いドレスに金髪碧眼の少女が、タキの隣に立った。頭には、ヤギの角が突き出ている。瞳は濁り、肌は骨のように白い。
彼女は、マーゴット王女はいわゆる「病み系」女子なのである。
「引っ込んでいたください、マーゴット王女! あなたは王位を剥奪された身! 政にかかわるなど起こされたら……」
「お前こそ引っ込んでいなさい!」
高官を見下しながら、マーゴットは腰のシッポをムチのようにしならせた。
「それはウェザーズの策略でしょう? 奴を失った今、ウェザーズ派だったあなたにはなんの権限もございません!」
見た目は齢一六のガキだ。しかし、実年齢は一〇〇を超える。
「いっちょ前にほざきおって、小娘が!」
兵器開発部門に、魔王軍が押し寄せてきた。
「王女もろとも殺せ! あの異界からの科学者は、姫ともども事故で死んだと王には報せよ!」
殺意満載で、ウェザーズ派の高官はタキを攻撃してくる。
「ああもうっ、しゃあない! 『化身』!」
銃を胸にかざし、タキはパワードスーツに身を包んだ。
しかし、変身中だというのに魔物たちは襲ってくる。
「まだや、まだや! 準備できとらへん!」
とはいえ、衝撃波で襲ってきた魔物たちは砕けていく。
タキは、魔術師タイプだ。正面切っての攻撃は得意ではない。この鋼鉄のスーツも、インナーに過ぎなかった。馬面を殺したのも、変身前を襲われたから。
タキを、パワードスーツが覆う。ひ弱な彼を、マッシブなパワードスーツが包んだ。
敵はシェリダンではなく、魔王軍なのではないか。タキは心底思った。
腰に下げていた拳銃を抜き、発砲する。
火炎の弾が撃ち出され、魔族たちを粉砕した。
「おお、ハンドキャノンってえげつな」
自分が撃ったのに、自分が一番驚いている。
「なんだあの武器は! メテオか!?」
タキの背後に、ヘビのウロコを模した重めのプロテクターが。
「今のはメテオやない。ファイアーボールや」
両手を広げ、タキは念じる。
「さて、新兵器のお目見えや。練習台になってや!」
怪物の前足が、タキとマーゴットを乗せる。
「おおおおおお!?」
高官派の魔物たちが、恐れおののいていた。
「あれは、ド、ドドド……」
「お前ら、ドドドドうるさいんじゃあ! 星野源かぁーっ!」
タキは、自らが開発したモンスター【ブラック・ドラゴン】を操り、ブレスで魔物たちを一網打尽にした。
赤い稲妻を吐き出して、ドラゴンは何もかもを灰にしていく。
「しょうもないやつらやで」
ドラゴンの活動を停止させ、タキは悪態をつく。
「大義でした、イシロウ・タキよ。あなたがいなければ、私はウェザーズ派の手で暗殺されていたでしょう」
そもそもマーゴットがタキを召喚したのも、自分を守ってくれる存在が魔族側にいなかったからである。
わざわざ外部から因子を連れてこなければならないとは。
「かまへん。どうせ、ワシも向こうで居場所なんてなかったんやからな」
タキも、きれいな状態で人間をしていたわけではない。
ずっと闇を抱えて、生きていくと思っていたから。
「ほな、王都を襲撃といこか」
「ですわね。父にいい土産話ができそうです」
「しっかり捕まっといてや!」
黒い竜が、紫色の空を羽ばたく。
魔族たちの死骸を蹴散らしながら。
魔王軍高官が、新兵器を開発しているタキに文句を投げかける。
タキは、竜胆の騎士打倒のために、新兵器を開発していた。
その姿は、三〇メートルを超える四本脚のトカゲである。
ドレイクなど、物の数ではない。
やはり、あの宝玉を盗み出して正解だった。この兵器さえあれば。
あれから、数週間もかかってしまったが、実権と実践を重ねて、ようやく実用化できそうだ。
なのに、魔王軍はタキに「開発をやめよ」と命令してくる。
「誰も許してもらおうなんて思っとらん! そもそも魔王の指示やぞ。なんでお前らなんかの許可なんて必要やねん!」
理不尽な言い分に、タキも言い返した。
「ジェラン閣下の指示で、動いていないと聞いたぞ! 誰に断って、生物兵器など開発してるのだ!」
コイツはウェザーズの派閥にいたくせに、彼の死後あっさりとミルドレット派に寝返っている。信用はできない。
「せやから、ワシはマーゴット様の指示で動いとんのじゃ! どっちも魔王の家系やろうが。ウソは言うてへんで!」
「な……マーゴット王女だと!?」
ジェラン・ミルドレットの娘マーゴットが、タキの側に立つ。
「そもそも、ワシを召喚したんはマーゴット様じゃ! マーゴット様に従うんがスジ、っちゅうもんやで!」
そもそも、タキはジェランにさえ楯突いている。マーゴットこそ、魔王のザにふさわしいと思っているからだ。
ウェザーズはオラオラパワハラ男であり、逆にジェランは日和見主義だ。どちらも悪の指揮官としてはダメすぎる。
「お前を召喚したことで、王女殿下はお役目は十分果たした! ソレ以上は、厄介なのだ! あの方は、魔王の器には値せぬ! おとなしくジェラン様に従え!」
高官が、王女に対して批難めいた言葉を発したときだ。
「私が、なにか問題でも?」
赤黒いドレスに金髪碧眼の少女が、タキの隣に立った。頭には、ヤギの角が突き出ている。瞳は濁り、肌は骨のように白い。
彼女は、マーゴット王女はいわゆる「病み系」女子なのである。
「引っ込んでいたください、マーゴット王女! あなたは王位を剥奪された身! 政にかかわるなど起こされたら……」
「お前こそ引っ込んでいなさい!」
高官を見下しながら、マーゴットは腰のシッポをムチのようにしならせた。
「それはウェザーズの策略でしょう? 奴を失った今、ウェザーズ派だったあなたにはなんの権限もございません!」
見た目は齢一六のガキだ。しかし、実年齢は一〇〇を超える。
「いっちょ前にほざきおって、小娘が!」
兵器開発部門に、魔王軍が押し寄せてきた。
「王女もろとも殺せ! あの異界からの科学者は、姫ともども事故で死んだと王には報せよ!」
殺意満載で、ウェザーズ派の高官はタキを攻撃してくる。
「ああもうっ、しゃあない! 『化身』!」
銃を胸にかざし、タキはパワードスーツに身を包んだ。
しかし、変身中だというのに魔物たちは襲ってくる。
「まだや、まだや! 準備できとらへん!」
とはいえ、衝撃波で襲ってきた魔物たちは砕けていく。
タキは、魔術師タイプだ。正面切っての攻撃は得意ではない。この鋼鉄のスーツも、インナーに過ぎなかった。馬面を殺したのも、変身前を襲われたから。
タキを、パワードスーツが覆う。ひ弱な彼を、マッシブなパワードスーツが包んだ。
敵はシェリダンではなく、魔王軍なのではないか。タキは心底思った。
腰に下げていた拳銃を抜き、発砲する。
火炎の弾が撃ち出され、魔族たちを粉砕した。
「おお、ハンドキャノンってえげつな」
自分が撃ったのに、自分が一番驚いている。
「なんだあの武器は! メテオか!?」
タキの背後に、ヘビのウロコを模した重めのプロテクターが。
「今のはメテオやない。ファイアーボールや」
両手を広げ、タキは念じる。
「さて、新兵器のお目見えや。練習台になってや!」
怪物の前足が、タキとマーゴットを乗せる。
「おおおおおお!?」
高官派の魔物たちが、恐れおののいていた。
「あれは、ド、ドドド……」
「お前ら、ドドドドうるさいんじゃあ! 星野源かぁーっ!」
タキは、自らが開発したモンスター【ブラック・ドラゴン】を操り、ブレスで魔物たちを一網打尽にした。
赤い稲妻を吐き出して、ドラゴンは何もかもを灰にしていく。
「しょうもないやつらやで」
ドラゴンの活動を停止させ、タキは悪態をつく。
「大義でした、イシロウ・タキよ。あなたがいなければ、私はウェザーズ派の手で暗殺されていたでしょう」
そもそもマーゴットがタキを召喚したのも、自分を守ってくれる存在が魔族側にいなかったからである。
わざわざ外部から因子を連れてこなければならないとは。
「かまへん。どうせ、ワシも向こうで居場所なんてなかったんやからな」
タキも、きれいな状態で人間をしていたわけではない。
ずっと闇を抱えて、生きていくと思っていたから。
「ほな、王都を襲撃といこか」
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