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第三章 魔王、本格始動
第30話 ドラゴン、襲来
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王都での調節を終えて、オレは妻の待つライコネンへと戻る。
「でな。第四七話になると、敵側にいたはずのライバルが主人公チームと共闘するんだ」
妻のレクシーが作ってくれたトンテキを食いながら、オレの世界にある物語を聞かせる。
今日の夕飯も、豪勢だ。ブタのステーキとポテサラ、トマトスライスにオニオンスープだ。二人とも飲めないから、酒はない。それでも、最高の食卓である。
「敵ボスのやり方が気に食わねえってよ。しかし、敵側の将軍と相打ちになって、そいつは死ぬんだよ……って、オレの話なんて面白いか?」
「ええ、とっても」
オレの特撮談義を、レクシーはまったく退屈しなさそうに聞いていた。こちらで見るなんてできない、異世界の物語だ。しかも作り物で、児童向けの。
「それでも、友情や愛が詰まった、素敵なお話です。そういうのを見てきたから、あなたは弱者を見捨てられないのですね?」
「ま、まあな。理想とは、かけ離れているが」
特撮のヒーローになったら、オレはもっといろんな人を救えると思っていた。
しかし、現実は残酷だ。オレの決意や覚悟を容赦なく握りつぶす。
「それでも、オレは誰かの役に立ちたい。絵空事だと言われても」
「理想を追求するのは、立派なことです。でも無茶はいけません。それは、相手にも伝わります。好きでもないことは、なさらなくて結構なんですよ」
「ありがとうレクシー」
レクシーは、オレがわかっていないストレスから救い出してくれる。結婚してよかった。オレはバカだから、甘えてしまうと思って遠慮していた。けれど、ここまで尽くしてくれるなんて。
「ごめんね。ワタシの装備が頼りないばかりに」
「お前さんのせいじゃねえよ。オレがうまく使いこなせていないだけだ。ニョンゴがいなかったら、もっとひどいことになっていた」
ニョンゴの作ったパワードスーツがあったから、オレは今日まで戦い抜けたのだ。
「でも、キミが着てくれなかったら、あそこまでのポテンシャルは維持できなかったよ。欠陥も無視して、人を破壊していたかも」
「その点は……否定できねえな」
「うう、反省してます」
珍しく、ニョンゴがしょぼくれる。
「いいんだよ。ニョンゴはそのままでさ。タキがオレたちの家を覗きに来たときも、何もしなくていいって言ったろ?」
「そうだったね」
オレは、タキがこの家を見に来たことを知っていた。気配からして、何もしてこないとわかったから、特に攻撃もしなくていいと頼んでいたのである。
「たしかにタキは、なにかするかもしれん。しかし、憶測だけで殺すのはなぁ」
「わかるよ。だからワタシも、アイツを逃したんだ。それが、どうなるかはわからないけれど」
オレたちが話していると、テーブルの食器類がガタガタと揺れだした。何事だ? 自身ではない。突風のような。
「モモチ! いるか!?」
玄関を開けて、ジーンが現れた。
「ジーンじゃねえか。どうしたんだ!?」
「外を見ろ!」
オレはジーンに誘導されて、外へ。
暗い上空を、黒い物体が泳いでいた。
「あれは、ドラゴンだ! もう絶滅したと思っていたのに!」
空に浮かぶ竜を指さしながら、ジーンが驚く。
「いや違う。あれは人工物だ」
ニョンゴが、目の位置にあるドローンのカメラをギョロギョロ動かした。
「有機物質も含有しているが、全体の八七%は機械だよ」
「じゃあ、アレはロボットってわけか」
「ああ。何よりドラゴンの翼があんなカッチリしているかい?」
たしかに。
目の赤い輝きといい、赤黒いウロコの形状といい、あのドラゴンはオレとは対照的なデザインに仕上げていた。
『竜胆の騎士、出てこいや! ワシは、お前にしか興味ない! 勝負せえ!』
独特の関西弁が、夜のライコネンにこだまする。
「アレには、タキが乗っていそうだな」
「だろうね。出撃しよう」
「でな。第四七話になると、敵側にいたはずのライバルが主人公チームと共闘するんだ」
妻のレクシーが作ってくれたトンテキを食いながら、オレの世界にある物語を聞かせる。
今日の夕飯も、豪勢だ。ブタのステーキとポテサラ、トマトスライスにオニオンスープだ。二人とも飲めないから、酒はない。それでも、最高の食卓である。
「敵ボスのやり方が気に食わねえってよ。しかし、敵側の将軍と相打ちになって、そいつは死ぬんだよ……って、オレの話なんて面白いか?」
「ええ、とっても」
オレの特撮談義を、レクシーはまったく退屈しなさそうに聞いていた。こちらで見るなんてできない、異世界の物語だ。しかも作り物で、児童向けの。
「それでも、友情や愛が詰まった、素敵なお話です。そういうのを見てきたから、あなたは弱者を見捨てられないのですね?」
「ま、まあな。理想とは、かけ離れているが」
特撮のヒーローになったら、オレはもっといろんな人を救えると思っていた。
しかし、現実は残酷だ。オレの決意や覚悟を容赦なく握りつぶす。
「それでも、オレは誰かの役に立ちたい。絵空事だと言われても」
「理想を追求するのは、立派なことです。でも無茶はいけません。それは、相手にも伝わります。好きでもないことは、なさらなくて結構なんですよ」
「ありがとうレクシー」
レクシーは、オレがわかっていないストレスから救い出してくれる。結婚してよかった。オレはバカだから、甘えてしまうと思って遠慮していた。けれど、ここまで尽くしてくれるなんて。
「ごめんね。ワタシの装備が頼りないばかりに」
「お前さんのせいじゃねえよ。オレがうまく使いこなせていないだけだ。ニョンゴがいなかったら、もっとひどいことになっていた」
ニョンゴの作ったパワードスーツがあったから、オレは今日まで戦い抜けたのだ。
「でも、キミが着てくれなかったら、あそこまでのポテンシャルは維持できなかったよ。欠陥も無視して、人を破壊していたかも」
「その点は……否定できねえな」
「うう、反省してます」
珍しく、ニョンゴがしょぼくれる。
「いいんだよ。ニョンゴはそのままでさ。タキがオレたちの家を覗きに来たときも、何もしなくていいって言ったろ?」
「そうだったね」
オレは、タキがこの家を見に来たことを知っていた。気配からして、何もしてこないとわかったから、特に攻撃もしなくていいと頼んでいたのである。
「たしかにタキは、なにかするかもしれん。しかし、憶測だけで殺すのはなぁ」
「わかるよ。だからワタシも、アイツを逃したんだ。それが、どうなるかはわからないけれど」
オレたちが話していると、テーブルの食器類がガタガタと揺れだした。何事だ? 自身ではない。突風のような。
「モモチ! いるか!?」
玄関を開けて、ジーンが現れた。
「ジーンじゃねえか。どうしたんだ!?」
「外を見ろ!」
オレはジーンに誘導されて、外へ。
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「あれは、ドラゴンだ! もう絶滅したと思っていたのに!」
空に浮かぶ竜を指さしながら、ジーンが驚く。
「いや違う。あれは人工物だ」
ニョンゴが、目の位置にあるドローンのカメラをギョロギョロ動かした。
「有機物質も含有しているが、全体の八七%は機械だよ」
「じゃあ、アレはロボットってわけか」
「ああ。何よりドラゴンの翼があんなカッチリしているかい?」
たしかに。
目の赤い輝きといい、赤黒いウロコの形状といい、あのドラゴンはオレとは対照的なデザインに仕上げていた。
『竜胆の騎士、出てこいや! ワシは、お前にしか興味ない! 勝負せえ!』
独特の関西弁が、夜のライコネンにこだまする。
「アレには、タキが乗っていそうだな」
「だろうね。出撃しよう」
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