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第二章 盗賊団のしまつ
第9話 孤児たちを保護した
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その後、貴族亭の家宅捜索が行われた。その貴族はやはり、ドクロ党との強いつながりがあると露見する。
捜索には、僕たちも参加させてもらった。ギルドから「報酬になんでも要求していい」と言われたからである。
「アユムは、何が見つかってほしい?」
「せっかくなので、めぼしい装備があればいいね」
きっと地下に宝物庫があって、そこからお宝が。
「……ないね」
「薬物か、拷問器具しかないわ」
囚われていたのは、みんな女性だった。おそらく、被虐的方面の趣向が強いだろう。女性を無理やり言いなりにするような。
捜査の後、冒険者の酒場で、エリちゃんと語り合う。どっちもぶどうジュースだけど。飲めないというか、お互いに舌がコドモなのだ。
「どうもあいつ、ただの資金源だったらしいわね」
配下を倒されたせいか、貴族はおとなしく語り始めた。彼は捕らわれの身に。薬物を広めたのも彼だと、徐々に明らかになっていくだろう。
「じゃあ、黒幕がいるのかも」
「本拠地へ乗り込む前に、もうちょっと情報がほしいわね」
「そういえば、あの獣人族の子は、どうなったの?」
「まだ、宿でグースカ寝ているわ」
飢餓状態であったが、外傷はまったくないという。貴族も、あの少女には興味を示さなかったようだ。
「朝晩で栄養を与えているから、大丈夫だと思うわよ。二、三日もすれば、起きるでしょう」
「よかった。財産をつかって治療院へ行くところだったよ」
貴族連行の際に、僕たちにも押収品を一部もらえることとなった。
財宝関連は、「押収した金品で、ギルドを動かして」と僕は頼んでいる。大半の金品を、ギルドへ渡してあった。冒険者にも、稼いでもらわないとね。
「でも、これで一件落着だよね」
「そうも、いかねえんだよ」
僕の後ろから、ジルダのギルマスが現れた。魔族にやられてくの字に曲がっていたシールドも、元通りになっている。よく見ると、彼はドワーフなんだよな。衣装もビシッとして。
「問題が起きている。悪いが、ちょっと来てくれ」
冒険者ギルドに案内されると、助けた囚人たちが集められていた。女性のギルド員が、食事と着るものを用意している。
「一部はさらわれた子だったから、親族へ返したんだ。しかし、ほとんどが孤児だって言うじゃねえか」
ギルマスが大げさにため息をつく。
「この子たちには、身寄りがありません。あなたに食べさせてもらうか、仕事を与えない限り、生きてはいけないでしょう」
ギルドから「配下にしますか?」と聞かれた。さも当たり前に。そういう文化なんだ、この世界って。
「かわいそう、って目をしてやがるな」
僕の心境を、ギルマスは即座に見抜く。
「お前の言いたいことはわかる。だが、これがこの世界の現実なんだ。悪く思うなよ、異界の勇者さんよ」
厳しくも優しく、ギルマスは語った。
「ギルマスが保護するのは? 見ると所帯持ちのようですし」
「じょ、冗談じゃねえよ! 自分のガキだけで手一杯だってのに。ていうか、よくわかったな? オレにカカァがいるって、おめえさんに話したことあったか?」
「会うたびに服装がパリッとしているので、お手入れされている方と暮らしているのだろうと」
ギルド員がの女性が、吹き出す。うつむきながら口を抑え、ずっと肩を震わせている。
直後にギルマス自身が、ガハハと豪快に笑った。
「気に入ったぜ。好きにしなよ。世話に必要な経費は全額、オレが払う。あとは好きにしな」
「いいんですか?」
「最低賃金ほどの金だ。どうにかやってやるさ。それくらいさせてくれ」
なんか、やりきれないな。ドレイを買い取るのが、日常の世界なんて。
孤児たちも、覚悟しちゃっている顔になっていた。
僕が見捨てても、彼女たちは別のドレイ商送りになってしまう。
こんなのが当たり前とか、ダメだよね。
「この子たちには、街のお掃除役をしてもらいましょう」
「働かせるのか?」
僕は、うなずく。
「はい。僕、会社をおこします」
捜索には、僕たちも参加させてもらった。ギルドから「報酬になんでも要求していい」と言われたからである。
「アユムは、何が見つかってほしい?」
「せっかくなので、めぼしい装備があればいいね」
きっと地下に宝物庫があって、そこからお宝が。
「……ないね」
「薬物か、拷問器具しかないわ」
囚われていたのは、みんな女性だった。おそらく、被虐的方面の趣向が強いだろう。女性を無理やり言いなりにするような。
捜査の後、冒険者の酒場で、エリちゃんと語り合う。どっちもぶどうジュースだけど。飲めないというか、お互いに舌がコドモなのだ。
「どうもあいつ、ただの資金源だったらしいわね」
配下を倒されたせいか、貴族はおとなしく語り始めた。彼は捕らわれの身に。薬物を広めたのも彼だと、徐々に明らかになっていくだろう。
「じゃあ、黒幕がいるのかも」
「本拠地へ乗り込む前に、もうちょっと情報がほしいわね」
「そういえば、あの獣人族の子は、どうなったの?」
「まだ、宿でグースカ寝ているわ」
飢餓状態であったが、外傷はまったくないという。貴族も、あの少女には興味を示さなかったようだ。
「朝晩で栄養を与えているから、大丈夫だと思うわよ。二、三日もすれば、起きるでしょう」
「よかった。財産をつかって治療院へ行くところだったよ」
貴族連行の際に、僕たちにも押収品を一部もらえることとなった。
財宝関連は、「押収した金品で、ギルドを動かして」と僕は頼んでいる。大半の金品を、ギルドへ渡してあった。冒険者にも、稼いでもらわないとね。
「でも、これで一件落着だよね」
「そうも、いかねえんだよ」
僕の後ろから、ジルダのギルマスが現れた。魔族にやられてくの字に曲がっていたシールドも、元通りになっている。よく見ると、彼はドワーフなんだよな。衣装もビシッとして。
「問題が起きている。悪いが、ちょっと来てくれ」
冒険者ギルドに案内されると、助けた囚人たちが集められていた。女性のギルド員が、食事と着るものを用意している。
「一部はさらわれた子だったから、親族へ返したんだ。しかし、ほとんどが孤児だって言うじゃねえか」
ギルマスが大げさにため息をつく。
「この子たちには、身寄りがありません。あなたに食べさせてもらうか、仕事を与えない限り、生きてはいけないでしょう」
ギルドから「配下にしますか?」と聞かれた。さも当たり前に。そういう文化なんだ、この世界って。
「かわいそう、って目をしてやがるな」
僕の心境を、ギルマスは即座に見抜く。
「お前の言いたいことはわかる。だが、これがこの世界の現実なんだ。悪く思うなよ、異界の勇者さんよ」
厳しくも優しく、ギルマスは語った。
「ギルマスが保護するのは? 見ると所帯持ちのようですし」
「じょ、冗談じゃねえよ! 自分のガキだけで手一杯だってのに。ていうか、よくわかったな? オレにカカァがいるって、おめえさんに話したことあったか?」
「会うたびに服装がパリッとしているので、お手入れされている方と暮らしているのだろうと」
ギルド員がの女性が、吹き出す。うつむきながら口を抑え、ずっと肩を震わせている。
直後にギルマス自身が、ガハハと豪快に笑った。
「気に入ったぜ。好きにしなよ。世話に必要な経費は全額、オレが払う。あとは好きにしな」
「いいんですか?」
「最低賃金ほどの金だ。どうにかやってやるさ。それくらいさせてくれ」
なんか、やりきれないな。ドレイを買い取るのが、日常の世界なんて。
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僕が見捨てても、彼女たちは別のドレイ商送りになってしまう。
こんなのが当たり前とか、ダメだよね。
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「働かせるのか?」
僕は、うなずく。
「はい。僕、会社をおこします」
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