勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第二章 盗賊団のしまつ

第14話 謎の一団の、正体を探る

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 日頃から毒物に対抗する訓練を受けているから、麻薬とかは効果がないらしい。悪党が作っている麻薬も、製法が悪いから粗悪品っぽいしね。

「副作用もないの?」
「ないぞ。あとエリアーヌの治療もあって、後遺症とかも残ってない。ありがとうだぞ」
「どういたしまして」

 発見当時は、単に気絶させられていただけらしい。繋いでいた鎖も、普通のものだったし。術師ってタイプでもないから、力も奪えなかったようだ。空腹にするしか、マルちゃんは抑え込めなかったようだね。

「あんたを倒すくらいだから、相当に強い魔物だったんでしょうね?」
「うん。接戦だったぞ」

 しかし、集団で攻められて昏倒させられたという。

「腹も減ってたし、人質も取られて捕まるしかなかったぞ」
「あの盗賊団なら、卑劣な手段に出るのもうなずけるわね」

 悔しそうに、マルちゃんは頬を膨らませた。

「なにか、能力を使われた?」

 マルちゃんクラスの相手を捕らえるなら、並の冒険者ではムリだ。魔族すら相手にならないんだから。人質を盾にされたとしても、あれだけの動きができる人間を止めるなんて不可能だろう。マルちゃんなら、野盗が人質に手をかける前に倒せる。

「おう。そうなんだよ! 金縛りにあったみたいに、動けなくなったんだ!」

 やっぱり。特殊な力を持った相手が、敵側にいたと考えるのが自然だ。それにしても、いったい誰が……あっ。

「そういえばさ、屋敷で妙な一団を見かけたんだ」

 僕は、屋敷から助け出したお嬢様の話をした。

「あんたはまた、変なトコロでフラグを立ててくるわねえ」

 呆れた様子で、エリちゃんが頬杖をつく。

「ところがだよ? その人たちの情報が、一切入ってこないんだ」

 保護されたなら、ギルドに記録してあるはずだ。しかし、なにもない。煙の方に、ふわっと消えてしまった。

「どうせ、愛人でしょ? そんなもんよ。表立って出てこられないだけよ」
「そうかな? 愛人だったら、余計に出張ってくると思うけど」
「……そっか。財産没収なんですものね」

 たいてい愛人とは、お金に困っている人がなるものだろう。

 どこぞのお姫様と禁断の関係なら、別だ。とはいえ、そんな甲斐性なんてあの男からは感じない。

 そんなやましい情報を持つ人間が、裏切りかねない女を脇に置くとは考えにくい。

 だから、あの女性が何者なのか気になっている。

「その女が魔族だっていいたいの?」
「うん。ギルドで聞いてみよう」


 
 後日、冒険者ギルドでそれとなく聞いてみた。

「あーん。そういえばここ数年、妙な一団がダンジョンを形成しているのを見たぜ」

 倒せる相手がほとんどだが、たいていは逃げられるという。

「なんか妙なんだ。天空城ってのか? そういうのに乗っていたり、地中を掘り進んで見えなくなるヤツもいた。消えちまった個体もいたな」

 なんだそれは。まるでSFじゃないか。

 とにかく、この世界は厄介なヤツラから狙われているってのはわかった。

「その妙な一団だが、ここから近いダンジョンに逃げ込んだらしい。野盗の残党もいるかもしれねえ」

 腕利きを先発隊としてダンジョンを探らせているという。だが、戻ってこないらしい。

「どうも、胸騒ぎがしてならねえ」
「気をつけます。では行ってきますね」

 ダンジョンへ向かう前に、商業ギルドへ。子どもたちの面倒を見てもらうためだ。

「我々は、もうここへは戻ってこないです。あとは商業ギルドさんにお任せしますね」
「はい。商業ギルドの管轄とします。大人の世話役を数名配置しました」

 彼女たちは今後、ギルドお抱えの職員となる。ギルドが選んだ顧客を相手にし、横暴な客の相手はしなくていい。性的な要求も、応じなくてもいいそうだ。

 なら、安心か。

「お願いします。では、ダンジョンを攻略したら戻ってきますね。そこからは、またたびに出ますので」
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」

 僕たちは、ダンジョンへと向かう。
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