勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第四章 王都の闇のあとしまつ

第25話 王都で、装備新調のお願いをした

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 魔族、というか魔族呼ばわりされている宇宙人を撃退したことで、立ち寄った村からワインをいただく。昨夜、シルヴェーヌ姫様が飲んでいたものだ。あれを、何本かもらう。

「すいません、王女殿下がお収めください」
「アユムさま、よろしいので?」
「はい。僕たち全員、飲めないので」

 僕たちが遠慮すると、シルヴェ―ヌ王女がため息をついた。

「それは、困りましたわね」
「なにがです?」
「父は、アユムさまがたをパーティに誘いたいとおっしゃっていて」

 バカ高いお酒を用意して待っているのだとか。娘とも再開できるので、楽しみなのだろう。

「全員がお酒をたしなまないのでしたら、わたくしが独り占めしてしまいますが」
「どうぞどうぞ。好きな人が飲んでくださいな」
「ありがとう、みなさん」

 心なしか、姫様はウキウキしているな。

 そんなこんなで、特に危なげもなく王都アムンセンへ到着した。

 僕たちが用意した保存食の手羽先と、村からもらったワインで、姫様は終始上機嫌である。

「いやあ、幸せは庶民的な味からでも堪能できますのね!」

 姫様は「うへへぇ」と、表では絶対にさらしてはいけない顔になっていた。腹違いの妹が失踪したことと、宇宙人の襲撃によって、ストレスが半端なかったのだろう。

「わたくしは先に城へ帰っています。わたくしから、話を通しておきますわ。みなさんは、用事を済ませてからいらして」
「ありがとうございます」

 先に宿を取って、装備調節のためにドワーフの鍛冶屋へ。

「えっと、イーサクさんだったよね?」

 イーサクさんの店を聞いて回っていると、段々と裏路地へ向かうことに。

「ホントに、ここなんでしょうね?」

 そこは、武器屋とは呼べない場所だった。

「雑貨屋だ!」

 マルちゃんが、大声で店の様子をそう表現する。

 店頭には平積みの魔導書と、なんと釣り竿があった。その隣は、美容液のコーナーだ。

 なんなんだろう、ここは? まるで、ドラッグストアみたいに乱雑じゃないか。

「あらあ、どなた?」

 キャミソール一枚の女性が、店の奥からやってきた。

 見た目は小柄で、どうもノームっぽい。ピンクのキャミはスケスケで、色々と隠せていない。

「アユム、この人、おっぱムグ」
「はいはい。マルちゃんは黙っていようね」

 マルちゃんの口を手で押さえる。

「なんの用?」と、ノームの女性が聞いてきた。
「イーサクさんというドワーフに、用事があってきたんですが? こちらで間違いないですか?」
「はいはい……あんたぁ! お客!」

 ノームの女性が、奥の間へ大声を張り上げる。

 やがて、のそりのそりと人影が見えてきた。

「おや、お客さんかな?」

 パイプをくゆらせて出てきたのは、男爵ヒゲを携えた小太りの少年だ。ランチョンマットに副流煙がかかるのも構わず、パイプの火を消さない。

「ゲホゲホ。ヘヌリさんに呼ばれてきました」

 煙を払いながら、自己紹介をした。

「ああ、ヘヌリおじさんのお知り合いで」
「これが、紹介状です。ゴホゴホ」
「ふむう」

 僕の用意した紙を、イーサクさんは確かめる。

「たしかに、おじさんの字だね。ボクがイーサクだ。こっちはボクの家内だよ」

 イーサクさんは「お昼作ってあげて」と、奥さんを部屋へ引っ込ませた。サクサクと、台所から調理の音がする。

 リビングで簡単な昼食までいただき、本題へ。

 僕たちも自己紹介をしつつ、事情を説明した。

「なるほど、装備品ね。聞いているよ。素材とかはある?」

 ここでようやく、イーサクさんはパイプの火を消す。

「はい。あらかた、ありますね」

 これまでの戦いで得た戦利品を、僕たちはイーサクさんの前に広げてみた。

「うわあ。キミたち、タダもんじゃないねぇ」

 さっきまでの好色な男性像が鳴りを潜めて、イーサクさんが目を輝かせる。

「お城に呼ばれてるんだよね? 行ってきなよ。その間に、いいのを作っておくからさ」
「お願いします」
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