勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

文字の大きさ
24 / 63
第四章 王都の闇のあとしまつ

第24話 お姫様と仲間の関係を知った

しおりを挟む
 王都へ向かう前に、とある村に立ち寄って話を聞くことに。
 宿を借りて、お姫様たちが僕たちの部屋に集まった。

「わたくしはシルヴェーヌ・シャンテニエー。アムンセン、あなたがたでいう王都の第一王女ですわ」

 リラックスした格好で、食卓を囲む。

「ご丁寧にどうも」

 僕たちもそれぞれ名乗った。

 執事さんが、シルヴェーヌさんにワインを注ぐ。

「ありがとう。お身体はどう?」
「ええ、とても。エリアーヌ様、ありがとうございます」

 執事さんが、エリちゃんに頭を下げた。彼も、すっかり元気になったようである。

 他の兵隊さんは、交代で見張りをしつつ別室で休んでいるらしい。

「アユムさま、マルグリットさま、エリアーヌと仲良くしてくださって、本当にありがとう」

 シルヴェーヌさんが頭を下げたあと、しばらく食事の時間となった。

「ところで、殿下はどうしてお外に?」

 お腹が落ち着いてから、話を聞くことに。

「公務ですわ。ジルダに不穏な影を見たというので、確かめに行きましたの。魔族の動きも気になりましたし。民の危機とあれば動くのが我々王族の務めです」

 ジルダに資金援助をして、他の都市や村を回った帰りだったそうで。

「それに、わたくしはエリアーヌに一目会いたくて」

 シルヴェーヌ姫が、エリちゃんの手に自分の手を添えた。
 だが、エリちゃんはその手を避ける。

「あの、二人はどういったご関係で?」
「この子は、わたくしの腹違いの妹です」

 なんでもエリちゃんは、アムンセンの王様が侍女に手を出して生まれた子だという。

 しかし妊娠が発覚すると、侍女は出ていってしまった。
 王家に迷惑をかけまいと。

「この子の母親は、一人で故郷まで帰ってエリアーヌを生みました」
「その村って、たしか」
「はい。魔王に焼かれて、もうありません」

 メファさんがエリちゃんの面倒を見ていたのは、アムンセン王妃の指示だったんだって。

「魔王デュロイルは、かつてはそんなに強い魔王ではありませんでした」

 外側の世界から人々を召喚するしか能のなかったデュロルイは、先代の魔王から追放されたという。

「デュロルイはその後、大量の凶悪な宇宙人を大量に召喚して魔王の座を乗っ取りました。彼の悪行は、世界の生態系すら塗り替えてしまいました。彼にとって世界じゅうのすべては、ただうとましいだけの存在なのです。彼が目指しているのは、混沌とした安らぎのない世界」

 悲しい悪役と言ってしまえばそれまでだが、やっていることはひどすぎる。同情できない。

「魔王に目をつけられないうちに、こちらでエリアーヌを保護しようと思ったのですが」
「エリちゃんは、王家ではうとましくは思われていない?」
「はい。こちらで面倒を見ますよ、と再三申したのですが、この子は聞かなくて」

 エリちゃんは、首を振る。

「エリアーヌ、突然いなくなるなんて。ルルジョンに使いまでよこしましたのよ」
「連絡せずに、ごめんなさい」
「いいえ。あなたが無事でなによりです。城に住むわけにはいきませんの?」

 シルヴェーヌさんは聞くが、エリちゃんは首を振った。

「みなさんのお気持ちは、うれしいの。でも王族になったって、うまくやっていく自信がないわ。本当の親はあのとき死んだのよ。その気持を背負ったまま、私だけ幸せになんてなれない」「あなたが戦うのは、ご両親の復讐をするためなのでして?」

 シルヴェーヌさんは、エリちゃんから話を聞いてから、話を切り出す。

「魔王討伐に執念を燃やすあなたの気持ちは、わかりますわ。母親を失ったのですもの。けれど、あなたまで失ったらわたくしは」
「私は、死んだことにしてちょうだい」
「エリアーヌ!」
「家族の仇は、もちろん取りたいわ! でも、半分はみんなと過ごしたいと思っているの。冒険が、楽しいのよ」

 エリちゃんは、僕たちとの旅を楽しいと言ってくれた。

 ソレだけでも、救われた気持ちになる。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

処理中です...