勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第四章 王都の闇のあとしまつ

第28話 宇宙人に、タキシードを着せてもらった

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「どこで、おわかりになりましたかな?」
「王女様の治癒魔法です。あなたは、ケガをされていた。『人を一瞬で殺せる』宇宙人を相手にして」

 あんなヤツらを相手に、『ケガ程度で済んでいる』ことが不思議なのだ。

 あの宇宙人が連れていた怪物を、マルちゃんは一瞬で撃退した。相手が弱かったからじゃない。全力で瞬殺しなければ、自分が死ぬから。それだけ、危険な相手だったのである。

「それで、あなたの導き出した答えは?」
「あなたはもしかすると、王族にとって重要な方なのでは、と」

 ひょっとすると、王族よりエラい立場にいるか。

「推理は、ほどほどになさいませんか」

 老執事は、にこやかに答えた。

「私は、ただのジジイです。しがない執事が、性に合っておるのですよ」

 これ以上は、深く聞けないな。僕は、質問をあきらめる。

「アユムさま、こちらへ」

 老執事のクロードさんに、僕は別室に通された。

「こちらをお召くださいませ」

 僕が着せてもらったのは、タキシードである。

 ふむふむ、いい生地だ。これくらいしか感想が出ないや。

「随分と、初々しい仕草をなさいますなあ」

 ヘアメイクしてもらいながら、僕はモジモジしている。

「なんだか落ち着かなくて。タキシードなんて久しぶりですよ。何年ぶりかな? 友人のアツロウとミヨコちゃんの結婚式以来かなぁ? あの二人、職場でデキ婚しましてね。ウェディングドレスも、マタニティ用のを着ていたんですよ。その子どもも今は三歳になって、電話をかけるたびに父親の代わりに取っちゃって大変で――」

「盗聴器の類をお探しですかな?」

「あ、あはは。ご冗談を」
「ご心配なく。私は宇宙人だが、この世界に危害を加えるつもりはございません」
「ですよね」

 クロードさんから指摘を受けて、僕は手で服をさするのをやめた。あからさまだったか。

 髪の毛もセットしてもらい、冒険者の雰囲気はすっかり抜けた。
 
 よく女性向けの小説やらドラマやらなんかで、別人のようにおめかしした自分を鏡で見て、主人公が「自分ではないみたい」とつぶやくシーンがある。

 今がまさにその状態だ。

「アユムどうかしら、こ……」

 試着室の扉が開き、エリちゃんが硬直する。

 エリちゃんはピンクのドレス姿で、頭にはティアラまで。

 後ろのマルちゃんも、僕を見て固まっていた。ブルーのミニスカドレスに身を包んでいた。スカートが短いおかげで、シッポがかわいらしく見える。

「どうしたの?」

 そんなに、変かな?

「アユムかっこいいぞ!」

 マルちゃんが、フサフサのシッポを激しく振った。


「クロード様!」

 騎士の一人が、更衣室に飛び込んでくる。

「何事ですかな?」
「ゴーチエ王子の帰りが遅くて、確認したところ、魔物に襲われていると!」

 それは、大変だ!
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