勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第五章 天空城のあとしまつ

第40話 仲間の過去を知った

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 マルちゃんは、里のニンジャである父と、この世界に召喚された異星人との間に生まれた。

「あれが生きていれば、里の長候補だった」
「長老、『秘密の愛』、というのは?」
「我々の里は、異星人との交際を認めていない。我が国の役割は、この世界にいる重要人物の警備と、異星人の調査だ」

 なるほど。マルちゃんが強いのは、悪い宇宙人との戦闘に備えて鍛えていたからだろう。

「宇宙人との交戦がなおも続いている以上、無用なトラブルを避けたい」

 そっか、スパイと思われてしまうからか。

「よりによって、あれが愛した宇宙人は、魔将の一人だった」

 獣人の要素も、女性が持っていたらしい。

 その女性宇宙人はニンジャの里がある場所を特定しようとした。が、戦ったニンジャの男性と恋に落ちる。そのまま、里に対して降伏したらしい。

 だが話し合いの末、父親は里を追われた。

「数年後、あやつが血まみれで帰ってきた。幼いマルグリットだけを連れて」

 宇宙人の女性は、他の魔将との戦闘で命を落としたらしい。

 魔将も、二人がかりで戦ってようやく倒したそうだ。

 娘を頼むと言って、マルちゃんの父親も息絶えた。

「里が親代わりだったから、寂しくはないよ」
「うん」

 僕は、マルちゃんの頭を撫でる。

 マルちゃんが人懐っこい性格なのも、両親がいないからだろう。会社で働いてくれている、孤児たちにも優しい。お風呂も独占せず、必ずみんなと一緒に入る。ケガをしないかちゃんと観察しているのを、僕は知っていた。まあ、僕も一緒に入らされるからだけど。

「マルちゃんはいい子ですよ。みんなマルちゃんが大好きです」

 僕が言うと、マルちゃんが「ありがと」と僕に身体を預けてきた。

「アユム殿なら、本当にマルグリットを嫁にやってもよろしいと考えている」
「あ、そんな」
「愛人でも結構だ。本妻はいらっしゃるようだから」

 長老の視線は、エリちゃんに向けられる。

「いえいえ、私は本妻だなんて」

 手をバタバタさせながら、エリちゃんは否定した。

「僕だって地球人、あなた方からすれば異星人だ。僕とマルちゃんが一緒になったら、まずいのでは?」
「これは、里の常識を遥かに超えた存在。里の空気に染まっておらぬ。いずれ里を出るのはわかっていた」

 長老は、マルちゃんと向き直る。

「マルグリット、我々は、お前の両親を受け入れなかった。こんな閉鎖的な里など捨てて、掟も捨てよ。お前だけは、自由に生きるのだ」

 長老の言葉はもっともだ。が、宇宙人の血を受け継いでいるマルちゃんが里にいたら、いずれは彼女を狙って宇宙人が攻めてくる。もう、秘匿できない。

「じっちゃ……うん。わかったよ」

 マルちゃんも、冒険者として宇宙人狩りの実績を積んでいる。自分がいたら里に迷惑がかかると、わかっているんだろう。

 ここにマルちゃんが留まることは、彼女にとっても里にとってもプラスにならない。

「お別れだ、マルグリット。守ってやれずにすまぬ」
「大丈夫じっちゃん、大好きだから」

 長老と、マルちゃんが抱き合う。
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