勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第五章 天空城のあとしまつ

第51話 浮遊型のゴーレムが現れた

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 天空城が、崩れ始める。
 僕たちは、どうにか中立地帯まで逃げることができた。

「ユカライネン、これに乗れ! みんなも急げ!」

 さっき助けた、赤い戦闘服の剣士が、宇宙船のハッチから手招きをしている。

 だが、ダンダリアン配下の残党まで現れ、僕たちの道を塞ぐ。

「しつこい!」

 敵を切り捨て、僕はみんなを船に載せた。

「アユムも急……あれはなんだ!?」

 崩れていく天空城の破片が、一箇所に集まり始める。それは、なにかゴーレムのような形をしていた。

「アイアンゴーレムだと!?」

 ユカさんのお父さんが、窓からゴーレムの出来上がるさまを見ている。

 頭、胴体、腰、二本の脚と、徐々につながっていく。目がまん丸で首のない、四等身のロボットである。キュートに見えなくもない。しかし、そこから放つ魔力は膨大だ。

 あんな隠し玉を、用意していたとは。きっと天空城の支配者がいなくなったとき用に、セーフティーとして用意していたのだろう。

「みんな、僕は宇宙船の天井でいい。このまま発進してくれ!」
「無茶を言うな。安全運転はするにしても、キミは危険ではないか」
「これは円盤型なので、体勢はどうにかなるよ。安心して欲しい」

 でも、あのゴーレムは厄介だ。誰かが倒さなければ。

 ユウキの姿はない。こちらには、気づいていないか。

 宇宙船が、発進した。振り落とされないように、僕は宇宙船の天井にしがみつく。

 ロボットが、腕を振り上げた。逃げようとする宇宙船を、数隻破壊する。

 宇宙船も武装で対抗するが、あまり効果が見込めない。逆に撃墜されていた。

 このままでは、全滅してしまう。

「他の宇宙船には、退却するように言ってください!」

 宇宙船をノックして、ユカさんのおじさんに窓越しに伝える。

 非常サイレンを鳴らし、円盤が宇宙船の集団に退避するよう命じた。

 しかし、ロボは逃そうとしていない。腕を伸ばし、ロケットを発射した。

 天空城さえも巻き込んで、逃げる宇宙船を撃ち落とす。
 そのスキを突いて、僕はロボに飛び移った。

「アユム!?」
「みんなは逃げて!」

 腕を駆け抜け、頭部へとダッシュする。

 破壊するためだけに作られたなら、構成は大したことはないはず。複雑な命令なんて、インプットされていまい。現にこのロボットは、天空城さえ攻撃した。敵と味方の区別がつかないんだ。

 肩部分に到着した。ここでやることは、一つだ。

閃空斬せんくうざん・雷!」

 雷魔法を帯びた剣を、肩の脆い部分に突き刺す。これで、ミサイルの発射は止められるだろう。

 だが、勢いが強すぎた。肩から先さえ、もぎ取れてしまう。

 掴む場所もなく、僕の身体は落下していった。

 これは、本格的にマズイ。

「ユウキ!?」

 エリちゃんを乗せた宇宙船が、僕を救助しに戻ってくる。

 だが、間に合わない。

 そう思った瞬間、僕は巨人の手に着地していた。浮遊の魔法が施され、巨人の手がクッションになって。

 僕は、助かったのである。

「キミは……ユウキ?」

 その手のぬくもりは、間違いなくユウキのものだった。


 この巨人は、やっぱりユウキだ。
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