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第三章 領土拡大と、崖の下の難関ダンジョン
第28話 港町の難関ダンジョン『クジラの歯』
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ダンジョンについては、冒険者ギルドで聞いたほうが早いとのこと。なので、そちらへ向かうことにする。
ピエラの両親と別れ、港町ワントープのギルドに。
掲示板に、禍々しい形をしたダンジョンの絵が貼られていた。
砂浜にある崖にできた、地上三階建てのダンジョンだという。
「あった。Aランクダンジョン『クジラの歯』だってよ」
ダンジョン『クジラの歯』は、発見されてから一〇年近く、誰も攻略したことがないそうだ。奥へ進むとまだ先がありそうだが、不思議なモヤがかかっている上に強いモンスターに阻まれていて進めないとか。
進めた冒険者もいたが、誰も帰ってきていない。
「完全に、【世界の裏側】の構造と一致するな」
「行くモジャ、クニミツ。こんな現象はさっさと取り除くに限るモジャ」
ウニボーも、危機感を覚えているようだ。
「でもさ、入れるの?」
盛り上がっているところで、モモコからツッコミが入る。
「この洞窟って、Aランクでしょ? 私たちのランクなんて、どうがんばってもDとCの間くらいだよ」
言われてみれば。
この手のテンプレでいうと、低ランクの冒険者は高レベルのダンジョンに潜れない。危険すぎるからと、制限がかかるのだ。
ギルドで、ダンジョンに入場制限があるか尋ねる。
ワントープのギルドにいる受付は、男性のカモメ鳥人族だ。
「ランクはありますが、ダンジョン潜入に個々の強さの制限はありません。難易度が高いというだけですので」
受付の男性が、教えてくれた。
入り口の時点で危険と判断すれば制限をかけるが、そこまでではない。また、危険エリアには目印がついているそうだ。
「クジラの歯は、もうトップクラスの冒険者が何人も行方不明になっています。物見遊山で入ろうとする者たちもいません」
不思議なことに「弱いと判断された冒険者」は、吐き出されるのだとか。進んだと思ったら出口だったという報告が後をたたないという。
「どうやら適正レベルを決めるのは、我々ではなくダンジョンの方なのです」
冒険者が弱ければ吐き出され、強ければ更に奥へ進める。この世界のダンジョンは、そういう仕組みらしいのだ。
「なら大丈夫だな。潜るぜ」
「お気をつけて」
オレたちは、『クジラの歯』の入口へ向かう。
切り立った岩山は、たしかにクジラの歯と言えた。
虫歯のように、砂浜の中にダンジョンの入口がある。
入り口には、船に乗った行商人がいた。薬草やポーションなど、ダンジョン攻略に必要そうなアイテムを売っている。
「繁盛しているのか?」
「ああ。この中はいい装備がドロップするから」
だとしたら、銃のアップグレードにもなるだろう。
「ヤバいモンスターが外に出たってことは?」
「だとしたら、夜だな」
行商人が帰る時間帯に、強めの怪物が外に出没するそうだ。街に降りて、獲物を求めるのだろう。その前に、冒険者の手で仕留められてしまうが。
「あんたらも旅のお供にお一つどうだ?」
携帯食料の「酢こんぶ」と「あたりめ」だけを買った。他は、手持ちのアイテムで間に合っている。「貝ヒモ」があったら、なおよかったが。
入り口まで上へ続く階段を登り、地上三階からスタートする。
ダンジョンといっても、構造は人工物っぽかった。建造から随分と経っているようで、苔むし、壁などは潮で腐敗している。
コウモリや半魚人など、モンスターはそんなに怖くない。銃一発で倒れる者たちがほとんどである。
「数が多いな」
「逃げてるモジャ」
モンスターたちの動きが騒がしかった。いったい、なにから逃げているというのか?
「あいつでは?」
ルイが、開けた場所を指差した。
「見てクニミツ、『世界の裏側』の入り口!」
広場の隅で紫色に光るポータルを、モモコが見つけ出す。
だがそれを守っているのは、でかいウミガメだった。
他のモンスターを食ってやがる。
ピエラの両親と別れ、港町ワントープのギルドに。
掲示板に、禍々しい形をしたダンジョンの絵が貼られていた。
砂浜にある崖にできた、地上三階建てのダンジョンだという。
「あった。Aランクダンジョン『クジラの歯』だってよ」
ダンジョン『クジラの歯』は、発見されてから一〇年近く、誰も攻略したことがないそうだ。奥へ進むとまだ先がありそうだが、不思議なモヤがかかっている上に強いモンスターに阻まれていて進めないとか。
進めた冒険者もいたが、誰も帰ってきていない。
「完全に、【世界の裏側】の構造と一致するな」
「行くモジャ、クニミツ。こんな現象はさっさと取り除くに限るモジャ」
ウニボーも、危機感を覚えているようだ。
「でもさ、入れるの?」
盛り上がっているところで、モモコからツッコミが入る。
「この洞窟って、Aランクでしょ? 私たちのランクなんて、どうがんばってもDとCの間くらいだよ」
言われてみれば。
この手のテンプレでいうと、低ランクの冒険者は高レベルのダンジョンに潜れない。危険すぎるからと、制限がかかるのだ。
ギルドで、ダンジョンに入場制限があるか尋ねる。
ワントープのギルドにいる受付は、男性のカモメ鳥人族だ。
「ランクはありますが、ダンジョン潜入に個々の強さの制限はありません。難易度が高いというだけですので」
受付の男性が、教えてくれた。
入り口の時点で危険と判断すれば制限をかけるが、そこまでではない。また、危険エリアには目印がついているそうだ。
「クジラの歯は、もうトップクラスの冒険者が何人も行方不明になっています。物見遊山で入ろうとする者たちもいません」
不思議なことに「弱いと判断された冒険者」は、吐き出されるのだとか。進んだと思ったら出口だったという報告が後をたたないという。
「どうやら適正レベルを決めるのは、我々ではなくダンジョンの方なのです」
冒険者が弱ければ吐き出され、強ければ更に奥へ進める。この世界のダンジョンは、そういう仕組みらしいのだ。
「なら大丈夫だな。潜るぜ」
「お気をつけて」
オレたちは、『クジラの歯』の入口へ向かう。
切り立った岩山は、たしかにクジラの歯と言えた。
虫歯のように、砂浜の中にダンジョンの入口がある。
入り口には、船に乗った行商人がいた。薬草やポーションなど、ダンジョン攻略に必要そうなアイテムを売っている。
「繁盛しているのか?」
「ああ。この中はいい装備がドロップするから」
だとしたら、銃のアップグレードにもなるだろう。
「ヤバいモンスターが外に出たってことは?」
「だとしたら、夜だな」
行商人が帰る時間帯に、強めの怪物が外に出没するそうだ。街に降りて、獲物を求めるのだろう。その前に、冒険者の手で仕留められてしまうが。
「あんたらも旅のお供にお一つどうだ?」
携帯食料の「酢こんぶ」と「あたりめ」だけを買った。他は、手持ちのアイテムで間に合っている。「貝ヒモ」があったら、なおよかったが。
入り口まで上へ続く階段を登り、地上三階からスタートする。
ダンジョンといっても、構造は人工物っぽかった。建造から随分と経っているようで、苔むし、壁などは潮で腐敗している。
コウモリや半魚人など、モンスターはそんなに怖くない。銃一発で倒れる者たちがほとんどである。
「数が多いな」
「逃げてるモジャ」
モンスターたちの動きが騒がしかった。いったい、なにから逃げているというのか?
「あいつでは?」
ルイが、開けた場所を指差した。
「見てクニミツ、『世界の裏側』の入り口!」
広場の隅で紫色に光るポータルを、モモコが見つけ出す。
だがそれを守っているのは、でかいウミガメだった。
他のモンスターを食ってやがる。
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