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第四章 王都で、相棒そっくりの女性と出会う
第49話 ドルリー国の、やべーやつ
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「改めまして、わたくしはアニエスといいます。本業は、ここのメイドです。クニミツ様、ホンモノのロザ・ドラッヘ様、ご迷惑をおかけしました」
モモコを厨二病的あだ名で呼ぶ人なんて、初めて見たが。
「それはいい。私たちは、あなたを敵と誤解しかけた」
ピエラの読みが外れて、なによりだ。
「あと、私は今後モモコと呼んでくれて構わない」
「はい。モモコ様」
アニエスが、頭を下げた。
「悪いが、もっと顔をよく見たいのだが?」
女クノイチ・アニエスの顔を、確認させてもらう。やはり、モモコそっくりだ。しかし、うり二つというわけではない。細かいディテールが違っている。
「クニミツ、見分けはつく?」
「だいたい」
夫であるオレでさえ不安だったが、どうにか判別はできた。
「他のメンバーは、問題ないか?」
「オーラが違うモジャ」
どうもウニボーは、人を顔ではなく、発するオーラで認識するらしい。
「匂いがまるで別人だ。モモコは桃の香りで、あっちはオレンジに近い」
さすがドラゴンの血が入っているだけあって、見分け方もまるで人と違う。
「年齢的にも、あっちの方が上だわ。魔力のステータスも、まったく違うわね」
魔法に長けているピエラは、魔力だけならステータスを表なしで見ることができるらしい。
「みんな見分けが付くのか」
「化粧の仕方からして違うじゃん。身体つきも」
そういうところを見ればいいのか。言われてみれば確かに。
「失礼」
「ええ。どうぞ」
アニエスに、顔を間近で見せてもらった。
「ふむ。たしかに」
モモコには、まだ少女のあどけなさがある。対してアニエスは、やや艶っぽい。
「次は、モモコだな」
「パッとやってね」
顔を赤らめながら、モモコが目を閉じる。
言われてようやく、化粧の違いに気づいた。
「クニミツってあれ? 女が髪を切ってきてもスルーする感じ?」
「妹がフラレて髪を切ってきたときも、普通に接していたなぁ」
「そりゃダメだ。嫌われちゃうよ」
実際、そうだった記憶が。
「姫様のメイク魔法で、顔をモモコ様そっくりに変えているのです。すっぴんになったら、まったく違う顔になりますので」
とはいえ、タオルを持つアニエスの姿は、あまり愉快そうな顔をしていない。
「いいよ。なんかタイミングがあったら見せてもらう」
「ありがとうございます」
ホッとした様子で、アニエスはタオルを置く。
「じゃあ、こっちも。アタシはレティシア・ドルリー。レティでいいよ。この国の姫」
姫様は何を考えているのか、冒険者証をオレたちから回収した。スラスラとなにかを書き出す。
「アタシが入城許可をあげたよ。これであんたら、この城もフリーパスだから」
強引だな。
「そのお姫様が、どうしてモモコに化けていた? メイドにメイクまでさせて」
「ペンフォールド国に恩を売って、アタシが王子をゲットするって算段なの!」
構図としてはこうだ。アニエスが王子を助ける、で、アニエスはレティ姫のメイドだったとバラす、王子が堕ちる。
「でも逆に、王子ったらアニエス惚れちゃったの! ヒドくない?」
ひどいのは作戦の方なのだが。
「吊り橋効果。これは仕方ない」
モモコが、冷静に分析をする。
「危ない目に遭ったドキドキを恋愛感情を勘違いするアレ? かもね」
レティ姫が腕を組む。
「危険じゃないか?」
「たしかに、モモコには悪いことをしたわ。ごめんなさい」
モモコは特に関心を示さず、「いいって」とあっさり。
「いいのか?」
「事情がわかれば、問題なし。それと、敵じゃないこともわかった」
敵だったら、戦わないといけなかったもんな。
「それにしても、あの強さは」
「レベル上げについては、まったく心配は。少し前、アンファンにできたとあるダンジョンのボスを狩りまくって、レベルを上げましたら……」
え、あのダンジョンを活用していたやつなんて、いたのか!
モモコを厨二病的あだ名で呼ぶ人なんて、初めて見たが。
「それはいい。私たちは、あなたを敵と誤解しかけた」
ピエラの読みが外れて、なによりだ。
「あと、私は今後モモコと呼んでくれて構わない」
「はい。モモコ様」
アニエスが、頭を下げた。
「悪いが、もっと顔をよく見たいのだが?」
女クノイチ・アニエスの顔を、確認させてもらう。やはり、モモコそっくりだ。しかし、うり二つというわけではない。細かいディテールが違っている。
「クニミツ、見分けはつく?」
「だいたい」
夫であるオレでさえ不安だったが、どうにか判別はできた。
「他のメンバーは、問題ないか?」
「オーラが違うモジャ」
どうもウニボーは、人を顔ではなく、発するオーラで認識するらしい。
「匂いがまるで別人だ。モモコは桃の香りで、あっちはオレンジに近い」
さすがドラゴンの血が入っているだけあって、見分け方もまるで人と違う。
「年齢的にも、あっちの方が上だわ。魔力のステータスも、まったく違うわね」
魔法に長けているピエラは、魔力だけならステータスを表なしで見ることができるらしい。
「みんな見分けが付くのか」
「化粧の仕方からして違うじゃん。身体つきも」
そういうところを見ればいいのか。言われてみれば確かに。
「失礼」
「ええ。どうぞ」
アニエスに、顔を間近で見せてもらった。
「ふむ。たしかに」
モモコには、まだ少女のあどけなさがある。対してアニエスは、やや艶っぽい。
「次は、モモコだな」
「パッとやってね」
顔を赤らめながら、モモコが目を閉じる。
言われてようやく、化粧の違いに気づいた。
「クニミツってあれ? 女が髪を切ってきてもスルーする感じ?」
「妹がフラレて髪を切ってきたときも、普通に接していたなぁ」
「そりゃダメだ。嫌われちゃうよ」
実際、そうだった記憶が。
「姫様のメイク魔法で、顔をモモコ様そっくりに変えているのです。すっぴんになったら、まったく違う顔になりますので」
とはいえ、タオルを持つアニエスの姿は、あまり愉快そうな顔をしていない。
「いいよ。なんかタイミングがあったら見せてもらう」
「ありがとうございます」
ホッとした様子で、アニエスはタオルを置く。
「じゃあ、こっちも。アタシはレティシア・ドルリー。レティでいいよ。この国の姫」
姫様は何を考えているのか、冒険者証をオレたちから回収した。スラスラとなにかを書き出す。
「アタシが入城許可をあげたよ。これであんたら、この城もフリーパスだから」
強引だな。
「そのお姫様が、どうしてモモコに化けていた? メイドにメイクまでさせて」
「ペンフォールド国に恩を売って、アタシが王子をゲットするって算段なの!」
構図としてはこうだ。アニエスが王子を助ける、で、アニエスはレティ姫のメイドだったとバラす、王子が堕ちる。
「でも逆に、王子ったらアニエス惚れちゃったの! ヒドくない?」
ひどいのは作戦の方なのだが。
「吊り橋効果。これは仕方ない」
モモコが、冷静に分析をする。
「危ない目に遭ったドキドキを恋愛感情を勘違いするアレ? かもね」
レティ姫が腕を組む。
「危険じゃないか?」
「たしかに、モモコには悪いことをしたわ。ごめんなさい」
モモコは特に関心を示さず、「いいって」とあっさり。
「いいのか?」
「事情がわかれば、問題なし。それと、敵じゃないこともわかった」
敵だったら、戦わないといけなかったもんな。
「それにしても、あの強さは」
「レベル上げについては、まったく心配は。少し前、アンファンにできたとあるダンジョンのボスを狩りまくって、レベルを上げましたら……」
え、あのダンジョンを活用していたやつなんて、いたのか!
応援ありがとうございます!
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