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第二章 新パーティは、お姫様

第11話 アイテム改造と、技能取得

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「はあ。なるほど。それで?」

 渾身の言い訳だったのだが、サブリナはさして驚かない。

「え、だってすごいことではありませんの? 魔神とお話できているのですよ?」

「まあね。ジンデル家の創始者が武装に封じた魔神が、蘇ったんだと仮定して、しゃべれても普通だよね?」

 どうもサブリナは、普通に受け入れちゃっている。
 こういう現象に慣れっこなのだろう。

「でもいいわね。装備と会話できるなんて。うらやましいわ。退屈しなさそうね」

 もっともらしいリアクションをしてくれるのは、ヴィル王女だけである。そうそう。こういう反応が欲しかったんだよね。

「まあ、強い装備なのは変わりないさ。おいで。もっと強くしてやろう」

 毒々しい色を放つツボまで、サブリナはみんなをつれてきた。

「錬金ツボだ。このツボの中に、金属を投下!」

 白い金属を、サブリナは壺の中へ投げ込む。

「ダテ。先にアンタの番だ」

『私は別に』

「サービスだ。一段階だけな。改造される感覚は、掴んでおいたほうがいいだろう。ほらよ!」

『おわっと』

 盾状態のまま、私はツボの中へ。
 ああ、金属と自分が混ざり合っているのがわかる。点滴を受けた感覚かな? 血液に冷たいものが入り込む感じである。

「こんなもんかな?」

 しばらく液体の中に浸かっていると、ペンチで引き上げられた。

「感想は?」

『なんだか、強くなった気がします』

「よかった。お次は、そのゼットとやらだ。ほら」

 サブリナが、ゼットさんにリシュパニウムを配合する。
 ゼットさんが、さらに固くなった。

「あんたは、もういいのかい?」

『私の力は未知数なので、状況に応じて。ひとまずゼットさんを』

 今できる上限いっぱいまで、ゼットさん改造してもらう。お金はかかるけど、仕方がない。イーデンちゃんには、強くなってもらわないと。

「ゼットさん、立派になられて」

『まだまだです』

 マージョリーたんに褒められても、ゼットさんは謙遜する。
 まあ、お話が進めばもっと強くなるからね。
 ウィル王女の銃も、改造を終える。

『それではサブリナ、最後にこれをフル改造してください』

 サブリナに、【回復の杖:小】を見せた。

「はいよ。安くしといてやる」

 なにもサブリナは、インテリジェンス・アイテムだけを改造するわけじゃない。こういった一般的なマジックアイテムも改造できる。

「そらダテ。【特大】まで改造してやったよ」

『ありがとうございます』

 調べたところ、本当に【回復の杖:特大】となっていた。
 これで、準備は揃ったね。

『イーデンちゃん、しばらくあなたは、回復要員ね』

「はい」

 回復の杖を受け取って、イーデンちゃんがうなずく。

『他には、技能の見直しですね』

 ヴィル王女が退屈してしまったので、切り出すことができなかったが。

 攻撃用の【スキル】とは違い、【技能】はキャラが本来持っている力のことである。

 まずは、マージョリーたん。所持している技能は、以下の通りである。
【不沈艦】は、常に防御力二倍。【倹約家】は、戦闘スキル発動で消費する魔力が少ない。他には敵を倒したときに取得する金額が増える、【大富豪】を持つ。あとひとつ枠があるので、そこにいい感じの技能を入れよう。

 ヴィル王女の目玉技能は、【誘爆】である。相手を撃墜すると、周囲の敵にも爆風が通るのだ。倒した相手の体力が大きいほど、周囲に入るダメージが大きい。他は【精神統一】。使ったスキルポイントを回復する。【魔力+一五】はそのままの意味だ。【激励】は、攻撃力アップのバフを撒く。

 イーデンちゃんは、まだレベルが五だ。技能を、何も持っていない。

「みなさんすごいです。わたしは足手まといですね」

 とんでもない!

『これから、強くなるから安心して』

「そうなんですか?」

『マジで、ありえないくらい強くなる。ヴィル様すら凌駕するからね』

「わたしにそんな力が」

 主人公だからね。
 そんな主人公イーデンちゃんに、私は【治癒からの学び】の書を渡す。

「この技能は?」

『クリアしたときに、手に入れた』

「どうやって使えば……」

 イーデンちゃんが迷っていると、サブリナが「読めばいい」と教えた。
 本を読むと、体内に取り込まれていく。なるほど、こういう仕組みか。

「強くなった気がします」

『これからだよ、強くなるのは』

「用途がわかりません」

『使えば、チートスキルだってわかるから』

 取得条件が過酷すぎて、「没データでは?」とさえウワサされていた。「マージョリーたんを生存させること」だし。絶対イベントで死ぬキャラを生かせとか、絶対取らせる気がないでしょ。

「まだ準備はできていませんわ。仲間の配置は?」

 今のところ、盾役が二人と、ガンスリンガーが一人しかいない。仲間の枠は、あと二人分ある。

「ダテさん、仲間の数が足りませんわ?」

 マージョリーたんが、私にだけ聞こえる声で聞いてくる。

『これから増やすんだよ』

『仲間は、これから集めるんだ』

「その口ぶりだと、お心あたりがあるのですね?」

『まあね。とにかくお城で待機を……』

 そこまで言いかけて、騎士から報告が。
 ゼノン公国が、魔物を伴って攻め込んできたらしい。 

 おいでなすったか。

 まあ、相手はゼノンだ。肩慣らしにはちょうどいい。イメトレ通り、イーデンちゃんを鍛えて……。

「じゃ、外で魔物退治よ!」

 あちゃあ。そうなるよねえ。

 お姫様は、いい出したら止まらない。
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