新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

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第二章 幼女はダンジョンを攻略する(売り物の材料も調達するで!

第11話 幼女のアイテムクラフト

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「あのダンジョンって、お宝あるんか?」

「そりゃあそうですよ。ダンジョンなんですから。知らなかったんですか? アトキン?」

 クゥハが、首を傾げた。

「いや、テネブライって人類が入られへん土地やろ? 宝箱があるとは、思ってへんかってん」

 予想外だった。そもそも魔物しかいないテネブライに、お宝という概念があったとは。

「魔物しかいないように見せますが、一応魔族も生息していますから。ワタシみたいな」

「別の種族も、生息しているわけやな?」

「一応は。関わりを持てるかどうかは、わかりませんけどね」

 どうりで、ダンジョンがあるわけだ。構造も、どこか人工的だなとは思っていたが。

「でな、クゥハ。ウチが取り込んだこの【ダゴン】族ってのは、魔物なんか? 魔族なんか?」

「知性はないため、魔物じゃないですかね?」

「カテゴリは、邪神やのに?」

「神様に知性があるとは、限りませんので」

 そういう括りかい。

 地球産のテーブルトークRPGの神様も、知性がないやつがいたな。ラスボスクラスで。変に力が強いってだけで、人間に近い知恵や知識があるわけでもないのか。

 そのうち、ダゴンの同族にも会えるかもしれん。

 ひとまず、ダンジョンにお宝はあると。それらを探しに行くのも、いいな。ダンジョンに眠っているのが、素材だけではないってのはワクワクする。

 ウチのドロップ率がどれくらいかも、気になっていた。ダゴン族になったからって、物欲センサーが働かないとも限らない。

 まあ、明日はダンジョン探索はお休みだ。装備を整えなくては。
 

 
 翌朝から、ウチは工房に引きこもる。
 いつもは優雅に過ごす朝食タイムも、パパッと済ませる勢いだ。

「それで、アイテムやな。どれどれ」

 さっそく、拾ったアイテムを広げた。

 どれから加工しようか、目移りしてしまう。

【回復の泉】を中心に狩りをしていたので、結構な量が集まった。

 集まったのは、以下の通り。

 オオムカデの甲羅、死骸。こちらは引き続き、スケルトンの材料にする。
 スライムたち。こちらもミニオン化する、と。あと、スライムのゼリーを何種類か手に入れた。このままだと、単なる水味のグミでしかない。柑橘の果汁でも混ぜて、携帯用ポーショングミとして売ってみよう。

 あと、この世界の【エリクサー】って、甘酒なんよな。さすが「飲む点滴」と言われるだけある。こちらでも、その栄養素は健在だ。それどころか、致命傷までたちまち直してしまう。
 米と麹と混ぜて、スライムのゼリーでとろみを付けて、甘酒エリクサーの完成だ。

 クモの魔物からは、糸が手に入った。これを魔法で編み込んで、枕にする。とはいえ今は、枕程度の量しか取れていない。
 
「問題は、これか」

 ドラゴンパピーの、牙と爪と目玉。
 
「こっちは、アクセにしょうかな」

 牙と爪に穴を開けて、ビーズほどの魔法石と一緒に糸でつなぐ。クモの糸があるから、材料には事欠かない。
 あとは、パピーの目玉を中央に装着して、完成だ。

「どや? ネックレスなんやけど?」

 ウチはクゥハに、できあがったネックレスを見せる。

「火炎・凍結・雷撃の防御率が、格段に上がりましたね。ヨロイじゃないのに、ここまでの魔法防御力は、たいしたものです」

「……や、そうやなくてな」

「なんですか、アトキン?」

「ウチはなぁ、これでも、女の子やねん。たまには、女子トークしたいねん」

 数えたら八〇は軽く超えている。言うて、ババアだ。といっても、女はいつまでも若々しくありたい。女子トークに飢えているのだ。

「おシャレにだって、多少は興味がある」

 生前はできなかったビューティトークに、ちょっと関心が出てきたのだ。

「あなたは『その香水どこで買いましたの? オホホ』といった御婦人がたの茶飲み話からは、最も程遠い方だと思っていましたが」

「いや、実際そうやねんけどな」

 せっかく友人ができたのだ。そういう話をしたっていいじゃないか。
 
「ワタシに美的センスは、ありません。ですが、似合っていると思います」

「さよか? おおきに」

 次は、クゥハの武器だ。

「お宝の剣も、結構な切れ味になりそうやな」

「今持っている武器より、若干威力は落ちますが」
 
 スケルトンを練習台にして、クゥハが打ち合いを始める。

「【パワースラッシュ】が、打てないくらいですね」

 ウチと斬りあったとき、クゥハが使っていた技か。剣に炎をまとわせて、打ち込んでくるスキルだ。

「あれが使えんと、便利悪いんかな?」

「ですね。強いと言うか、硬い敵が相手だと、効率が落ちます」

 使えなくはないが、サブウェポンとしても心もとないらしい。

「わかった。ほな、その技に耐えられる武器にしたるわ」

 幸い、鉱石を大量にゲットした。

 ウチに鍛冶スキルはないが、アイテムを作るスキルは持っている。【合成】を使ってみるか。

 拾った鉱石と、クゥハの剣を、スキルで組み合わせてみる。慣れていなかったせいか、一時間も費やしてしまった。もっと禍々しくしたくて、する。

「できたで。試しにその辺で振ってみて」

 クゥハに、剣を持たせてみた。
 
「はい。よいしょっと」

 手に剣が戻ってきてそうそう、クゥハが森へ剣を振るう。
 
 ゴワン! とシャレにならない音がした。

「うわ、なんや!?」

 ウチは工房から飛び出す。

 外に出ると、クゥハが呆然としていた。視界の先には、更地になった森が。

「なんや、この威力は?」
 
 森が、えぐれていた。ゴリッと。

「アトキン。少し、ハッスルしすぎなのではないでしょうか」
 
 剣を握り締めながら、クゥハがやや震えていた。

「でも、これくらいでちょうどよくないか?」

「かもしれません」

「それにしても、なんでまた?」

 威力が上がっているのは、いいことである。とはいえ、ここまですごいとは。
 
「アイテム生成のレベルが、上っているのでは?」

「それや!」

 そういえば、寝る前にレベルを上げたんだった。残っていたスキルポイントを、アイテム生成に割り振ったのである。アイテムを作る際に、能力アップすると説明があったからだ。
 自分のステータスが頭打ちになったら、アイテムの力を借りねばならぬ。だったら、今のうちからセットしておこうと思った。

 その結果、森がズタズタに。

「……ええ薪ができたと、思っとくわ」

 スケルトンに指示を送って、薪を拾わせる。
 
「えっとですね。鑑定してみてわかったのですが、剣の能力は、これだけじゃないんです」

 再度、クゥハが剣をふるった。大木に向かって。

 今度は、木が凍りつく。傷をつけただけなのに、木は氷の柱となった。

「ありとあらゆる属性が、込められているみたいです」

「これはこれで、使えそうやな」

 属性に弱い敵に、効果的だろう。

 こうなったら、ウチの武器作成も俄然やる気が出てきた。

「おっしゃ。魔法石と武器を融合させて、ついでにドラゴンパピーの角を合成!」

 できあがったのは、一回り小さいレイピアである。光刃タイプは威力がなさすぎて、やめた。角をそのまま使って、物理剣に。
 
「クゥハ。試合や!」

「望むところです」

 クゥハは、ドロップアイテムの長剣を片手に持った。

 すくい上げるような剣の攻撃を、ウチは先読みして回避する。

 さしものクゥハも、驚いて動きが止まった。

「ボーッとしとったら、アカンで」

 今度は、ウチから仕掛ける。

 さすがにクゥハは攻撃を防御したが、いつものようには受け流せない。

 ウチは、さらに攻撃を押し込む。

 今までまったく見えなかったクゥハの攻撃が、手に取るようにわかる。まるで剣が、敵の太刀筋を教えてくれるようだ。

「うん。ええ感じっ! これはええぞ!」

 純魔……純粋魔法使いであるウチに、剣術スキルはない。それでもこの剣は、武器としても魔法の杖としても活用できそうだ。
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