新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

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第四章 幼女、ドワーフと荒野を目指す(ちびっこ同士やな!

第26話 幼女(バッタモン)は、幼女(ガチ)と荒野を目指す

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 カニエとメフティには、キャンピングカーのような移動型馬車に乗ってもらった。この中で、ゴーレムを動かしてもらう。
 
 クマのぬいぐるみ型ゴーレムを操りながら、メフティがウチについてくる。

「よっしゃ、ちゃんとついてきてるな。メフティ、調子はどうや?」

 ウチは遠目から、メフティの様子をうかがう。はぐれないようにしつつ、ウチはあえて遠ざかっていた。ちゃんとメフティがウチのサポートがなくてもついてこられるか、テストも兼ねている。いざとなったら、個人の判断が必要になってくるからだ。

「バッチシ。アトキンも、その姿が似合ってるぞ」

 ウチはメフティの前で、本性を現した。触手幼女の姿を披露する。
 引かれると思っていたが、メフティはまったくそんな素振りを見せない。むしろ人間態のときより、親しみを持って接してくる。

「ウチの正体がモンスターでも、ええんか?」

「モンスターでも、アトキンはアトキンだぞ」

「ええ子や」

 メフティは、魔物と人間族を区別しない。魔物と距離が近いドワーフだからか、それとも本人の性格ゆえか。

「メフティは普段から、魔物と交流させているからな。敵味方識別に関しては、優れているはずだぞ」

 馬車の手綱を握りながら、父親であるベヤムがメフティを褒める。
 亜人を差別しないのは、メフティ自身の意志が故か。

 もともとこの世界って、亜人に対して寛容なのもある。

「ほな行こか」

 川沿いに歩いて、荒野エリアへ向かう。荒野エリアまで、川を通したのだ。

「見えてきたで」
 
 森林エリアのギリギリまでのポイントに、別荘を建てておいた。カニエを光やエリアに連れて行ったときに、設置したものである。

 この小屋は、いざというときの避難所として建てた。魔物に襲われないように、大木に擬態させてある。
 小屋の中は、休憩所と台所などの生活空間を設置しておいた。ムカデ亜人たちも一部住まわせているので、食事面も万全だ。

 キャンカー型馬車を、小屋の側に止めた。

「メフティとカニエは、ここで待機な」

 二人を小屋に残して、荒野エリアに入り込む。川の水を通せれば、飲料水には困らないはず……。

「アカン」

 荒野に入った途端、川の水がにごり始める。瘴気に触れたからだろう。

 水場があっても、安心はできないな。このエリアを開放して、水を浄化せねば。もしくは森林エリアにあった滝のような、ヒーリングスポットが必要だ。

「敵ですよ。アトキン」

 クゥハが差した方角から、大量のスケルトンが。その群れは、地面を覆い尽くすほどだ。
 荒野をさまよって干からびた魔物たちが、スケルトン化したか。

 スケルトンなら、ウチも使役している。

 このエリアのボスが、ウチの侵入にようやく気がついたらしい。
 
「おし。メフティ、初戦闘や。きばりや」

 ウチが合図をすると、メフティの操っているゴーレムがガッションガッションと拳を叩く。

『おおおおー、ぶっとべー』

 メフティが、ゴーレムの腕を振り回した。ラリアット気味に、鋼鉄の腕でスケルトンの集団を薙ぎ払っていく。

 スケルトンたちが、粉々に砕け散った。

 メフティはタンク職として活躍させるつもりだったのだが、特攻隊長でもいいかも。これだけうごけるなら、ダメージソースとしてもいける。
 
 ひとまず、この一帯のモンスターは、メフティの敵ではない。

「ほんなら、死んでや」

 ウチは、地面にアリ地獄を巻き起こす。

 流砂に、スケルトンたちが飲み込まれていった。

 石や岩も混ぜて、ウチはスケルトンたちを入念にすり潰す。復活はさせない。

「どうや、カニエ、メフティ。体力の方は、まだ持つか?」

『問題ありません、アトキン先生。メフティちゃんも、無事です』

 カニエに続き、メフティも『おーっ』と返答する。

 声の調子からも、特に危なっかしさはない。

「戦闘の具合やけど、調節しておきたいところとかはあるんか?」

『特にないかなー? いつもどおり動けているぞ』

 そうかそうか。クゥハの教え方が、超絶うまいのだろう。ウチだったら、つい理屈っぽくなって頭に入らなかったかも。感覚で教えてくれるクゥハのほうが、メフティのコーチに向いている。
 カニエに魔法を教える感覚では、イカンということだ。

「クゥハ、ダンジョンの気配とかは、わかるやろか?」

「さっき大量の魔物が襲ってきましたよね? その気配から、あの遺跡が怪しいなと」

 荒野の奥に、それらしき遺跡の気配があるという。
 
「たしかに、これは遺跡やで」

 崖に擬態して、遺跡が建っていた。
 巨大生物の骨格標本みたいな細い岩を骨組みにして、ドーム状に布製の膜が貼ってある。

「明らかに、人工物ですね」

「細い岩やけど、元は骨やろうな」

 風化して、岩のように固くなったのだ。

 布製の幌も、化石のように固くなっている。
 
「やっぱり、遺跡みたいなんはあると思っていたけど」

「どうして、そう思ったんです?」

 クゥハが、問いかけてくる。

「古代文明かなんかが、あると思ったんや」

 暗黒大陸テネブライは、あまりにも人の気配がなさすぎた。それも、人工的に。
 何者かが、この大陸から人間族を遠ざけているのかもしれない。
 となれば、そういう仕掛けを行ったものがいる。

 ウチは、そう考えたのだ。

 その考えは、正しかったらしい。

「テネブライの秘密、解かせてもらうで」

 ウチは、遺跡の中へ入り込む。
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