4 / 8
となりの花は赤い?
しおりを挟む
「熊川、お前すげえな」
「う、うん。まあね」
お昼休み、同僚が、僕の隣にお盆を置く。
交際日ゼロ婚で、新居まで手に入れて、新婚旅行も終えている。
まだ、ロクに手さえ握れないけれど。
「愛妻弁当かー。随分と作ってもらってないなぁ」
「これね、二人で作り合いっこしたんだ」
どっちも同じ献立なのだが。
「それでもいいじゃねえか。仲良しってのはサイコーだ」
僕たちが結婚したことは、社内で知れ渡っている。
ウソやサギの類いではないと確信できた。
まあ、社長はそんな人じゃないってわかっているけど。
「ダンナサマの先輩から、ひとこと言わせてもらうとだなぁ」
左手の指輪をこれ見よがしにきらめかせ、同僚がおせっかいを飛ばしてくる。
「イクメンとか家事とかを手伝っても、今ドキ自慢にもならんぞ。逆に『やって当然だから!』って反論が飛んでくるぞ」
「SNS でよくそういった論争するよね」
家事分担など、僕たちはあらかじめ決めていた。
また、同僚のアドバイスを借りるかもな。
「まあ、お前んとこは大丈夫だろう」
「どういうこと?」
「マンネリ化には、まだ早いってコト」
そうなんだろうか。まあ、まだ結婚して間がないし。
「何もかも新鮮だろ?」
「うん。毎日が楽しくて仕方ない」
「だよなぁ」
同僚の箸が、不意に止まった。
ラーメンを咀嚼しながら、遠い目になる。
「そう思っていた時代が、オレにもあったよ」
格闘マンガの悟りきった主人公みたいなコトを、同僚が言い出す。
結婚は、かくも人を灰色にしてしまうのか?
「子どもができたら、そっちにベッタリ。隣の息子がお受験すると聞けば、うちもうちもと騒ぎだし。カエルの子はカエルだってのによ」
同僚が、ため息をスープと共に飲み込む。
これ以上会話すると、同僚が暗黒面に墜ちていきそうだ。
この話はお開きにした方がいいね。
夕方、僕たち夫婦は社長を囲んで、自宅で飲み会をした。
社長にも相談してみたが、同じようにため息をつかれる。
「よし。人生でもっとも不幸になる秘訣を教えよう」
「お願いします」
「自分を、人と比較することだ」
これは、どのビジネス書でも必ずと行っていいほど出る言葉だそうだ。
「人と比べどうする? キミらの人生は、キミらのものでしかない。いちいち他人と自分を比べても、他人は他人の人生を歩んでいるだけだ。迎合する必要はない。もちろん、私の家庭も参考にはできても指標にはならんぞ」
収入や住む環境が違いすぎる。
そんな人と比べても惨めになるだけか。
「過去の自分と向き合えばいいじゃないか。昨日より少しでも成長しているなら」
「そうなんですかね? 僕は、昨日より幸せですが」
「……十分だよ」
とにかく、周りが色々と言ってくるだろうがいちいち反応するな、とコメントをもらう。
僕たちには、ボクたちなりの生き方があるよね。
「う、うん。まあね」
お昼休み、同僚が、僕の隣にお盆を置く。
交際日ゼロ婚で、新居まで手に入れて、新婚旅行も終えている。
まだ、ロクに手さえ握れないけれど。
「愛妻弁当かー。随分と作ってもらってないなぁ」
「これね、二人で作り合いっこしたんだ」
どっちも同じ献立なのだが。
「それでもいいじゃねえか。仲良しってのはサイコーだ」
僕たちが結婚したことは、社内で知れ渡っている。
ウソやサギの類いではないと確信できた。
まあ、社長はそんな人じゃないってわかっているけど。
「ダンナサマの先輩から、ひとこと言わせてもらうとだなぁ」
左手の指輪をこれ見よがしにきらめかせ、同僚がおせっかいを飛ばしてくる。
「イクメンとか家事とかを手伝っても、今ドキ自慢にもならんぞ。逆に『やって当然だから!』って反論が飛んでくるぞ」
「SNS でよくそういった論争するよね」
家事分担など、僕たちはあらかじめ決めていた。
また、同僚のアドバイスを借りるかもな。
「まあ、お前んとこは大丈夫だろう」
「どういうこと?」
「マンネリ化には、まだ早いってコト」
そうなんだろうか。まあ、まだ結婚して間がないし。
「何もかも新鮮だろ?」
「うん。毎日が楽しくて仕方ない」
「だよなぁ」
同僚の箸が、不意に止まった。
ラーメンを咀嚼しながら、遠い目になる。
「そう思っていた時代が、オレにもあったよ」
格闘マンガの悟りきった主人公みたいなコトを、同僚が言い出す。
結婚は、かくも人を灰色にしてしまうのか?
「子どもができたら、そっちにベッタリ。隣の息子がお受験すると聞けば、うちもうちもと騒ぎだし。カエルの子はカエルだってのによ」
同僚が、ため息をスープと共に飲み込む。
これ以上会話すると、同僚が暗黒面に墜ちていきそうだ。
この話はお開きにした方がいいね。
夕方、僕たち夫婦は社長を囲んで、自宅で飲み会をした。
社長にも相談してみたが、同じようにため息をつかれる。
「よし。人生でもっとも不幸になる秘訣を教えよう」
「お願いします」
「自分を、人と比較することだ」
これは、どのビジネス書でも必ずと行っていいほど出る言葉だそうだ。
「人と比べどうする? キミらの人生は、キミらのものでしかない。いちいち他人と自分を比べても、他人は他人の人生を歩んでいるだけだ。迎合する必要はない。もちろん、私の家庭も参考にはできても指標にはならんぞ」
収入や住む環境が違いすぎる。
そんな人と比べても惨めになるだけか。
「過去の自分と向き合えばいいじゃないか。昨日より少しでも成長しているなら」
「そうなんですかね? 僕は、昨日より幸せですが」
「……十分だよ」
とにかく、周りが色々と言ってくるだろうがいちいち反応するな、とコメントをもらう。
僕たちには、ボクたちなりの生き方があるよね。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。
しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。
絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。
一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。
これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!
冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─
あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」
没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。
しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。
瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。
「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」
絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。
嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!
satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。
私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。
私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。
お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。
眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる