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第五問 ガウチョは何語? ~クイズ番組研究部の休日~
天の声
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「いいんですよ。お姉ちゃんを助けようとしたんですよねー?」
嘉穂さんが優しく問いかけた。
少女は笑顔で「ウン」と言う。「お兄ちゃんが教えてくれた」
旧友が笑顔を繕えば良いのか分からないといった表情を見せる。
一人であれば、僕たちに何か言いたかっただろう。
が、今の彼は毒気を抜かれたような様子である。
こちらだって彼を陥れるつもりはない。とはいえ、どうしていいものやら対応に困っていた。
「この子、正解ですよね、福原くん?」
優しい笑顔で、嘉穂さんが問いかけてくる。
「はい。群馬県は海に面してません」
「だって。じゃあね、正解したからキャンディあげましょうねー」
嘉穂さんはポケットに手を突っ込む。少女に袋詰めのアメ玉を一個手渡す。
旧友の妹は笑顔を見せて、キャンディの袋を開いて口に含んだ。
「ねえ、残りの答えも言えますか?」
そう、嘉穂さんが催促する。
「さいたま、ながの、ぎふ」
嘉穂さんの期待に応えるように、少女は答えながら指を折り曲げる。
言い方はたどたどしかったが、それでも正解だ。
さすがあいつの妹である。英才教育というヤツか。
「すごいです! まだ小さいのにおりこうさんですね」
また、アメ玉が嘉穂さんから少女に手渡された。
他の三人も、少女に拍手を送っている。
僕の友人がしきりに謝っているが、嘉穂さんは「いいんですよ」と挨拶で返した。
余程その場から立ち去りたかったのか、少女と兄はダッシュで走り去る。
嘉穂さんは、僕に微笑みかけた。目の奥に、真剣な眼差しを添えて。
勇気を振り絞るときは、今なんだ。
そう、嘉穂さんは教えてくれている。
「なあ、おい!」
僕は、旧友に声を掛ける。
「もうちょっと、見ていてくれないか?」
旧友は困惑した顔をした。しかし、すぐに僕の気持ちを察してくれたようだ。
肯き、家族の待つシートに腰を落とす。
彼のヒザの間に、旧友の妹はちょこんと座った。まだ口がコロコロと動いている。
少女の頭を優しく撫でつつも、旧友の視線は真剣だった。
僕達の作るクイズ番組が、どんなものなのかを見届けようとしているかのように。
「えーっと、先ほどの問題ですが、ギャラリーの子供が解答してしまいました。よって、この問題はノーカウントとします!」
僕が言うと、番組研はハシャギながら小躍りを始めた。
「で、ですね。次の問題を正解したら、商品ゲットとします」
「わーい!」
女性陣がまた、僕の周りを小走りし始めた。
「最後の問題を正解して無事にアイテムゲットか?」
「それともいかがわしいインタビュー動画を取るハメになるのか?」
せっかくいい感じでまとめようとしたのに、湊がチャチャをいれる。
ならないって!
「さて、最終問題です! マザーグーズの一編『誰がコマドリを殺したか?』に出てくる生き物を、コマドリ以外の一二匹、すべてお答え下さい!」
僕が合図すると、のんが青ざめた顔で呻く。
「うおお、わっかんね。もういいや。牛っ!」
大丈夫である。正解だ。
「ヒバリ」
「ミソサザイ」
やなせ姉、嘉穂さんに続いて、湊だが。
「ハエ?」
商品が掛かっているからか、ボケようとしない。
特に嘉穂さんは気を遣っているのか、難しい動物を率先して担当している。
一巡し、またのんに解答権が回ってきた。
「魚!」
適当に答えたんだろうが、正解だ。
「カブトムシ」
「ツグミ」
また、湊の手番で空気が止まる。
盆踊りのように「ぱぱんがぱんっ」と、手拍子を始めた。誰かがやると思っていたが。
「アニメのネタか?」
「うん。母が好きでさ、あのアニメ」
それに合わせて、他の三人も手拍子を始める。
「フクロウ」
正解、と僕が言うと、湊がしゃがみ込む。
こいつでもプレッシャーを感じることがあったとは。
今日は、湊の意外な一面がよく見られるな。
ようやく三巡目まで来た。ここまで来れば、もう記憶力の問題だ。
「くっそー。足を引っ張りたくないのにーっ! ぐわーっ!」
頭を抱えて唸る。
「タイムリミットが来てしまいますよ、小宮山選手!」
「間違ってたらスマン! カラス!」
一応正解。正確にはミヤマガラスなんだが、この際サービスだ。
三人から温かい拍手が、のんに送られる。
「ぱぱんがぱん」が、段々早くなっていく。
「ヒワ!」
「鳩」
最後を締めくくるのは、湊だ。
「よし、勝った! 雀!」
一瞬、溜めを入れて、僕はタイマーアプリを止めた。
「はいお見事! 無事、全問正解です!」
「やったーっ!」、と女性陣が円陣を組んで肩を抱き合う。
「しょーひん! しょーひん!」と、手拍子が始まる。
僕は、かつての友人の方を見た。
旧友は、口を真一文字にしならが、僕を見つめる。だが、悪意は感じない。
だから無言で、僕は伝える。胸を張って、堂々と。
「これが、僕たちの求めたクイズのあり方なんだ」って……。
僕が微笑むと、旧友は顔を逸らした。
今は理解してくれなくてもいい。
僕だって力不足だ。まだ、わかってもらえないかも知れない。
でも、いつかは。
旧友が振り返った。
「その、がんばれよ」
わずかに微笑みを浮かべ、彼は妹を連れて去って行く。
嘉穂さんが優しく問いかけた。
少女は笑顔で「ウン」と言う。「お兄ちゃんが教えてくれた」
旧友が笑顔を繕えば良いのか分からないといった表情を見せる。
一人であれば、僕たちに何か言いたかっただろう。
が、今の彼は毒気を抜かれたような様子である。
こちらだって彼を陥れるつもりはない。とはいえ、どうしていいものやら対応に困っていた。
「この子、正解ですよね、福原くん?」
優しい笑顔で、嘉穂さんが問いかけてくる。
「はい。群馬県は海に面してません」
「だって。じゃあね、正解したからキャンディあげましょうねー」
嘉穂さんはポケットに手を突っ込む。少女に袋詰めのアメ玉を一個手渡す。
旧友の妹は笑顔を見せて、キャンディの袋を開いて口に含んだ。
「ねえ、残りの答えも言えますか?」
そう、嘉穂さんが催促する。
「さいたま、ながの、ぎふ」
嘉穂さんの期待に応えるように、少女は答えながら指を折り曲げる。
言い方はたどたどしかったが、それでも正解だ。
さすがあいつの妹である。英才教育というヤツか。
「すごいです! まだ小さいのにおりこうさんですね」
また、アメ玉が嘉穂さんから少女に手渡された。
他の三人も、少女に拍手を送っている。
僕の友人がしきりに謝っているが、嘉穂さんは「いいんですよ」と挨拶で返した。
余程その場から立ち去りたかったのか、少女と兄はダッシュで走り去る。
嘉穂さんは、僕に微笑みかけた。目の奥に、真剣な眼差しを添えて。
勇気を振り絞るときは、今なんだ。
そう、嘉穂さんは教えてくれている。
「なあ、おい!」
僕は、旧友に声を掛ける。
「もうちょっと、見ていてくれないか?」
旧友は困惑した顔をした。しかし、すぐに僕の気持ちを察してくれたようだ。
肯き、家族の待つシートに腰を落とす。
彼のヒザの間に、旧友の妹はちょこんと座った。まだ口がコロコロと動いている。
少女の頭を優しく撫でつつも、旧友の視線は真剣だった。
僕達の作るクイズ番組が、どんなものなのかを見届けようとしているかのように。
「えーっと、先ほどの問題ですが、ギャラリーの子供が解答してしまいました。よって、この問題はノーカウントとします!」
僕が言うと、番組研はハシャギながら小躍りを始めた。
「で、ですね。次の問題を正解したら、商品ゲットとします」
「わーい!」
女性陣がまた、僕の周りを小走りし始めた。
「最後の問題を正解して無事にアイテムゲットか?」
「それともいかがわしいインタビュー動画を取るハメになるのか?」
せっかくいい感じでまとめようとしたのに、湊がチャチャをいれる。
ならないって!
「さて、最終問題です! マザーグーズの一編『誰がコマドリを殺したか?』に出てくる生き物を、コマドリ以外の一二匹、すべてお答え下さい!」
僕が合図すると、のんが青ざめた顔で呻く。
「うおお、わっかんね。もういいや。牛っ!」
大丈夫である。正解だ。
「ヒバリ」
「ミソサザイ」
やなせ姉、嘉穂さんに続いて、湊だが。
「ハエ?」
商品が掛かっているからか、ボケようとしない。
特に嘉穂さんは気を遣っているのか、難しい動物を率先して担当している。
一巡し、またのんに解答権が回ってきた。
「魚!」
適当に答えたんだろうが、正解だ。
「カブトムシ」
「ツグミ」
また、湊の手番で空気が止まる。
盆踊りのように「ぱぱんがぱんっ」と、手拍子を始めた。誰かがやると思っていたが。
「アニメのネタか?」
「うん。母が好きでさ、あのアニメ」
それに合わせて、他の三人も手拍子を始める。
「フクロウ」
正解、と僕が言うと、湊がしゃがみ込む。
こいつでもプレッシャーを感じることがあったとは。
今日は、湊の意外な一面がよく見られるな。
ようやく三巡目まで来た。ここまで来れば、もう記憶力の問題だ。
「くっそー。足を引っ張りたくないのにーっ! ぐわーっ!」
頭を抱えて唸る。
「タイムリミットが来てしまいますよ、小宮山選手!」
「間違ってたらスマン! カラス!」
一応正解。正確にはミヤマガラスなんだが、この際サービスだ。
三人から温かい拍手が、のんに送られる。
「ぱぱんがぱん」が、段々早くなっていく。
「ヒワ!」
「鳩」
最後を締めくくるのは、湊だ。
「よし、勝った! 雀!」
一瞬、溜めを入れて、僕はタイマーアプリを止めた。
「はいお見事! 無事、全問正解です!」
「やったーっ!」、と女性陣が円陣を組んで肩を抱き合う。
「しょーひん! しょーひん!」と、手拍子が始まる。
僕は、かつての友人の方を見た。
旧友は、口を真一文字にしならが、僕を見つめる。だが、悪意は感じない。
だから無言で、僕は伝える。胸を張って、堂々と。
「これが、僕たちの求めたクイズのあり方なんだ」って……。
僕が微笑むと、旧友は顔を逸らした。
今は理解してくれなくてもいい。
僕だって力不足だ。まだ、わかってもらえないかも知れない。
でも、いつかは。
旧友が振り返った。
「その、がんばれよ」
わずかに微笑みを浮かべ、彼は妹を連れて去って行く。
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