35 / 48
第六問 ウイスキーの専門家のことを、なんと呼ぶ? ~最強のライバル襲来~
学園クイズ王
しおりを挟む
不意に、番組研の門が叩かれた。
「はい?」
僕が応対し、引き戸を開ける。
三年の女子が、僕を見上げていた。
ボリュームが重めのおかっぱで、まるで表情を隠すように大きな眼鏡をかけている。スカートの丈も、膝が隠れるくらいに長い。
「あ、聖城《せいじよう》先輩」
「お邪魔するわよ」
僕の脇をすり抜け、聖城先輩は部室へ入ってきた。適当な場所に正座する。
「三の一、聖城《せいじよう》 頼子《よりこ》です。説明は必要かしら?」
「いえ、生徒会長」
僕は首を振った。
長戸《ながと》高校の生徒会長にして、クイズ研究部のエース。
本来部長を務めてもいい学年なのに、自分の腕を極限まで磨くため、聖城先輩は部長の座を、僕の姉に譲っている。
「あなたたちの元にやってきた理由は、分かるわね?」
生徒会長の問いかけに、無言で頷く。
「我が学園にクイズ研は二つもいらないわ。解散するか、吸収されてちょうだい」
コンパクトな要求だ。もっと回りくどく懐柔してくるのかと思っていた。
「お言葉ですが、僕たちはクイズ研とは違って、クイズの出題方法などを模索する部活でして、娯楽性を重視しているんですよ」
「それは、クイズ研究部でも可能なんではなくて?」
「できません」
ここは譲らない。実際に不可能な領域までなってしまったので。
クイズ研究部は、実戦的な出題法を要求される。
下手に娯楽性を設けると、かえって勝負勘などを削ぐ恐れがあって、練習にはならない。
問題の内容傾向にも注意が要求されるなら、尚更だ。
クイズ研がエンジョイ勢に歩み寄り、という案も考えていない。
聖城先輩までとはいかなくとも、クイズ研は真剣勝負を求める部活である。
そこに僕らみたく陽気な集団が加入しても、波風が立つだけだ。
クイズ研の邪魔など、僕たちにはできない。
よって、僕達が手を取り合う案はことごとく消える。
「また、僕は解答者いじりやツッコミも、番組研には必要だと考えてます」
これは僕が、解答者の緊張をほぐす、リラックスした姿勢でクイズに挑んでもらう事も考慮しているからだ。
「ご理解いただけましたか?」
「そうね。あなた方の意見はよく分かったわ。部の存続、検討してみましょう」
聖城先輩も、僕の考えに理解を示す。
異分子が入り込んで部内の空気が乱れるのは、生徒会長だって望んでいないはずだ。
「ならば、津田さんだけでもクイズ研に戻してもらうわけには、いかないかしら?」
僕は返答しない。どれが嘉穂さんにとっていい事なんだろう。
姉さんは「嘉穂さんは今のクイズ研にいると、潰される」と予想している。
だが僕は、そこまで嘉穂さんが弱い気がしない。ただ、時間は掛かるだろう。
嘉穂さんに必要なのは知識ではない。知識だけなら、幼少期から自分で十分取り込んでいる。
足りないのは、精神面だろう。
もっと場慣れとか対戦相手に負けない度胸、メンタル面の強化が必要だ。
メンタルを鍛えるなら、ここの方がいい。
現行のクイズ研では、分厚いプレッシャーに飲まれてしまう。
「え、でも……」
案の定、嘉穂さんは返答を渋る。それでいい。すぐに答える必要なんてないんだ。
「あなたにとっても、悪い話ではないと思うんだけど?」
「ですが、わたしはもう、ここが自分の居場所だと思っています。今更、クイズ研に帰るなんて」
「そんなに、福原部長がお嫌い?」
聖城先輩が、核心を突いてきた。
「そういうわけじゃ、ないんです」
分かっている。
こっちに遊びに来て以来、姉さんは嘉穂さんから頻繁に相談を受けていた。
嫌っていたら、そんな菅家になんてならないよな。
「じゃあ、何が違うというの? クイズだけなら、クイズ研の方が質も高い。こんな公私混同甚だしい、お遊びのような部活に留まる必要はないと思うんだけど? それともあなたは、遊んでる方がいいの? それで、大事な高校生活を過ごしてしまっていいと?」
「ですから、わたしは」
オドオドと口を開こうとした嘉穂さんを、何者かの溜息が遮る。
「あんたが嫌いだっていうのが分かんないのかなぁ?」
なんと、膠着した空気に風穴を開けたのは、やなせ姉だった。
「はい?」
僕が応対し、引き戸を開ける。
三年の女子が、僕を見上げていた。
ボリュームが重めのおかっぱで、まるで表情を隠すように大きな眼鏡をかけている。スカートの丈も、膝が隠れるくらいに長い。
「あ、聖城《せいじよう》先輩」
「お邪魔するわよ」
僕の脇をすり抜け、聖城先輩は部室へ入ってきた。適当な場所に正座する。
「三の一、聖城《せいじよう》 頼子《よりこ》です。説明は必要かしら?」
「いえ、生徒会長」
僕は首を振った。
長戸《ながと》高校の生徒会長にして、クイズ研究部のエース。
本来部長を務めてもいい学年なのに、自分の腕を極限まで磨くため、聖城先輩は部長の座を、僕の姉に譲っている。
「あなたたちの元にやってきた理由は、分かるわね?」
生徒会長の問いかけに、無言で頷く。
「我が学園にクイズ研は二つもいらないわ。解散するか、吸収されてちょうだい」
コンパクトな要求だ。もっと回りくどく懐柔してくるのかと思っていた。
「お言葉ですが、僕たちはクイズ研とは違って、クイズの出題方法などを模索する部活でして、娯楽性を重視しているんですよ」
「それは、クイズ研究部でも可能なんではなくて?」
「できません」
ここは譲らない。実際に不可能な領域までなってしまったので。
クイズ研究部は、実戦的な出題法を要求される。
下手に娯楽性を設けると、かえって勝負勘などを削ぐ恐れがあって、練習にはならない。
問題の内容傾向にも注意が要求されるなら、尚更だ。
クイズ研がエンジョイ勢に歩み寄り、という案も考えていない。
聖城先輩までとはいかなくとも、クイズ研は真剣勝負を求める部活である。
そこに僕らみたく陽気な集団が加入しても、波風が立つだけだ。
クイズ研の邪魔など、僕たちにはできない。
よって、僕達が手を取り合う案はことごとく消える。
「また、僕は解答者いじりやツッコミも、番組研には必要だと考えてます」
これは僕が、解答者の緊張をほぐす、リラックスした姿勢でクイズに挑んでもらう事も考慮しているからだ。
「ご理解いただけましたか?」
「そうね。あなた方の意見はよく分かったわ。部の存続、検討してみましょう」
聖城先輩も、僕の考えに理解を示す。
異分子が入り込んで部内の空気が乱れるのは、生徒会長だって望んでいないはずだ。
「ならば、津田さんだけでもクイズ研に戻してもらうわけには、いかないかしら?」
僕は返答しない。どれが嘉穂さんにとっていい事なんだろう。
姉さんは「嘉穂さんは今のクイズ研にいると、潰される」と予想している。
だが僕は、そこまで嘉穂さんが弱い気がしない。ただ、時間は掛かるだろう。
嘉穂さんに必要なのは知識ではない。知識だけなら、幼少期から自分で十分取り込んでいる。
足りないのは、精神面だろう。
もっと場慣れとか対戦相手に負けない度胸、メンタル面の強化が必要だ。
メンタルを鍛えるなら、ここの方がいい。
現行のクイズ研では、分厚いプレッシャーに飲まれてしまう。
「え、でも……」
案の定、嘉穂さんは返答を渋る。それでいい。すぐに答える必要なんてないんだ。
「あなたにとっても、悪い話ではないと思うんだけど?」
「ですが、わたしはもう、ここが自分の居場所だと思っています。今更、クイズ研に帰るなんて」
「そんなに、福原部長がお嫌い?」
聖城先輩が、核心を突いてきた。
「そういうわけじゃ、ないんです」
分かっている。
こっちに遊びに来て以来、姉さんは嘉穂さんから頻繁に相談を受けていた。
嫌っていたら、そんな菅家になんてならないよな。
「じゃあ、何が違うというの? クイズだけなら、クイズ研の方が質も高い。こんな公私混同甚だしい、お遊びのような部活に留まる必要はないと思うんだけど? それともあなたは、遊んでる方がいいの? それで、大事な高校生活を過ごしてしまっていいと?」
「ですから、わたしは」
オドオドと口を開こうとした嘉穂さんを、何者かの溜息が遮る。
「あんたが嫌いだっていうのが分かんないのかなぁ?」
なんと、膠着した空気に風穴を開けたのは、やなせ姉だった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界帰りのエージェント、天才教え子(美女)に「間違った恋愛知識」で攻められる ~最強ドールと古代工房の謎~
よっしぃ
ファンタジー
【「45歳のおっさん」オリコンランキング18位・書籍化作家の最新作!】
━━━━
22年ぶりの帰郷――その姿、パンツ一丁でラベンダーまみれ。
━━━━
橘譲二、42歳。異世界日本での22年間の潜入任務を終え、ようやく故郷アストリア王国への帰還を果たした元エージェント。
しかし、転移魔法の強制発動により、入浴中に召喚されてしまう。
王宮謁見の間。その姿は――パンツ一丁、肩からずり落ちるバスタオル、全身ラベンダー色、片手には洗濯カゴ。
22年の功績は一瞬で水泡に帰し、追放を宣告される。相棒ゴーレム「コロ」は瀕死。絶体絶命のヨルグ・シュタイン。
そんな彼を救ったのは、かつての教え子――今や王国屈指のゴーレム技術者となった、美しきアリア=セレスティアだった。
「先生、わたくしがお助けいたします!」
しかし、彼女の「師匠への献身」は、闇ルートで入手した5冊の『愛の聖典(バイブル)』――通称"薄い本"――で学んだ独自理論に基づいており……!?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【登場人物】
■ ヨルグ・シュタイン(橘譲二) / 42歳
元アストリア王国エージェント。22年間、異世界日本で営業マンとして潜入任務を遂行。中間管理職としての鋼のメンタルと、ゴーレム技術の知識を持つ。情けないが、いざという時は頼りになる。
■ アリア=セレスティア / 30代前半
王国屈指のゴーレム技術者。かつてヨルグから技術を学んだ元教え子。22年間、師匠の帰還を待ち続け、5冊の"薄い本"で恋愛を研究。天然だが技術は超一流。勝負下着へのこだわりが強い。
■ レティシア(コロ)
高性能アンドロイド。元は犬型ゴーレム「コロ」だったが、アリアの技術で美少女型に再生。冷静沈着なAIだが、ヨルグへの忠誠心は絶対。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 毎日更新(ストック93話+書き下ろし継続中!)
■ 開始3日で第一部(第30話)まで一気読み可能!
■ 既刊:「45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる」
(アルファポリス刊/Oricon総合18位)
━━━━
情けない中年エージェント × 天然暴走スーツ美人 × 高性能アンドロイド。
パンツ一丁から始まる、異世界ファンタジーコメディ!
━━━━
【見どころ】
✓ 42歳おっさんの情けなくも愛しい日常
✓ 天然スーツ美人の暴走する献身
✓ テンポの良い会話劇とコメディ
✓ ゴーレム技術とAIの融合
✓ ラブコメ要素も充実
✓ 【薄い本】で学んだ恋愛理論の実践(?)
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる