失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第三章 元暗黒騎士、副業する

第30話 ボロボロになってもなお

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 俺は【チェイン・ライトニング・スピア】で、多角的に攻撃を繰り出す。

 正面から、連続で打撃を浴びせた。

 俺の拳は、ジリーク姫の装備にヒビ一つ入れられない。

「ぬるいですわ」

 ジリーク姫から、腰の入った肘打ちを食らう。

 アーマーを修理していなかったら、俺は内臓を破壊されていただろう。

 死角からあびせ蹴りをした。

「何度やっても同じことですわ」
 
 またしても、姫に反応されてしまう。カウンターのキックが、俺の顔にめり込む。よりによって、ヨロイで防いでいない箇所に打ち込まれる。

 今度は、プロテクターの隙間を狙った。

 姫は俺の蹴りを腕で挟み込んで、投げ飛ばす。

 俺は、岩山まで吹っ飛んだ。地上と空が、反転している。

「あきらめなされませ、シモン・セルバンデス。あなたに勝ち目はございませんわ」

 こっちはボロ雑巾のような姿なのに、相手はピンピンしていた。

 姫の言う通りだな。「このまま」ではダメだ。

「ああ、いいね。最高だ」

 俺が言うと、ジリーク姫は不快な顔をした。

「ここまでダメージを受けて、最高とは何事ですか? 効いていないとでも?」

「俺の魂を折るくらいには、達していないかな?」

 瞬間、俺の身体がまた浮き上がる。寝ている俺の腹に、ジリーク姫がボディブローを放った。

 岩山を砕き、俺はさらに吹っ飛んでいく。

 漆黒のアーマーで、かろうじて骨折は免れている。痛みは、どうしようもないな。

 ここまでコテンパンにされたのは、いつ以来だろう。

 勇者と戦ったら、ここまでさせてもらえたかも知れない。

 俺は、勇者と戦ったことはなかった。魔王が、うらやましい。弱っちいくせに、強者とあらば引きつけていた。

「そんなズタズタにされて、まだ立ち上がりますか?」

「ああ。まだ足りない。もっとだ。もっとやろう」

 また俺は、オーラの攻撃だけで吹っ飛ぶ。

「交代しましょうか、モン?」

「止めるな。今、いいところなんだ」

 ヒナ王女からの要請を、俺は手を振って拒否した。

「そんな身体で、まだ戦うと? 随分な根性ですね」

「そうでもないさ。俺は実際、まだ全力を出していない。とっておきが、まだ残っている」

 今、見せてやろう。
 
 俺はヨロイの中にある、アイテムボックスに手を入れた。
 
「これな、ただの槍じゃないんだ」

 アイテムボックスから、ハンマーの先端だけを取り出す

 バカの武器と思わせるほどの、大きさだ。

 ハンマーを、槍の先端に取り付けた。
 
「柄なんだよ」

 俺は、ハンマーを、ジリーク姫の土手っ腹に叩き込む。
 
「な!? ぐほおお!」

 ジリーク姫の身体が、くの字に曲がった。
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