失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第五章 元暗黒騎士、四天王と異次元からの侵略者を同時に相手する

第53話 ウキウキ ヒナ王女

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 異端審問官ヨバリクは、ベルゼビュートの力を得て、永遠の命を手に入れた。

「たしかに、ヤツの体内からは、魔王ベルゼビュートの気配が感じ取れる」

 アスタロトが、ベルゼビュートの魔力を感じ取っている。異次元からとはいえ、同じ魔王であるわけだ。

「よし、そうと決まれば俺が始末を」

「待ってください。モン」

 ヒナ王女が、率先して手を挙げた。

「あの魔物への攻撃、私にやらせてください」

「王女が直々に、か?」

「はい。その間に、アスタロトはあれを消滅させる方法を考えておいてくださいますか?」

「承知した。ここの土地を手に入れられるなら、喜んで引き受けよう」

「お願いします、アスタロト。お約束しましょう」

 アスタロトが指で円を作り、ヨバリクの観察をする。

「行ってまいります」

 単身、ヒナ王女がヨバリクの前に。

「おお、貴殿がでんせつのヒナ王女! 貴殿を倒せば、この塔は我々のものとなる! わざわざ生贄として、我が前にその身を捧げてくださ――ほげえええ!」

 早々にヒナ王女は、ヨバリクの顔面を蹴り潰す。

 ヨバリクは、ベルゼビュートの姿をしているのに。

「しゃべってないで、さっさと食べに来ないからです」

「おのれ小娘ぐぼおお――」

 徒手空拳だけで、ヒナ王女はヨバリク圧倒した。
 
 絶対防御の魔法障壁も、鋼を超える肉体も、ヒナ王女の拳の前では泥に等しい。

「どうしたんですか、それでも勇者を追い詰めた魔王ですか? 私ごときに負けたとあれば、勇者が弱すぎだと諷誦被害が出るでしょう」

 鈍重なヨバリクを懲らしめるかのように、ヒナ王女は一発一発を叩き込む。

 最初から全力のヨバリクに対して、ヒナ王女は終始笑っている。
 おもちゃを壊して、遊んでいるようだ。

「吾輩は、不死身! どれだけ攻撃を浴びせようと、再生する!」

「ですが、痛みは消えないようですね。では、こういうのはどうでしょう?」

 ヒナ王女が、関節を決める。

「ぎゃあいいいいいいい!」

 殺すでも、切り刻むでもない。ただ指を、捻じ曲げただけ。

 たったそれだけの攻撃で、ヨバリクは指を切断して逃避した。

「ば……化物め!」

「久しく聞きました。そうですよ。この化物を倒せば、ありとあらゆる宝が手に入るのです。もっと死力を尽くしていらっしゃいな。そんな程度の攻撃でヘバッているようでは、ただのカカシですよ」

 ヒナ王女が、脚から衝撃波を出す。

 すぐにヨバリクは再生したが、苦痛で顔が歪んでいた。痛みが永続的に、残っているのか。

「どんな仕掛けなんだ? 激痛を残すとか」

「簡単ですわ。呪いです」

 ジルが回答してくれた。

「ヒナ王女は、一つ一つの攻撃に、呪詛を吹き込んでいるのですわ。永遠に残る呪いを」

 その呪いが痛みとなって、永続的にヨバリクを苦しめているらしい。
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