失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第五章 元暗黒騎士、四天王と異次元からの侵略者を同時に相手する

第52話 異端審問官は死なず(チート

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「ただいま」

「おかえりなさいませ。モン、ガルルデ」

 俺はアスタロトを連れて、次元の裂け目に戻った。

「それで、さっきの続きだが」

 ヨバリクが収めていた土地に、アスタロトを招いてはどうかと提案する。

「禁を破るのですか? 我々塔の住人は元々、次元の裂け目からの侵略者を止めるために存在しています」

「危険なやつじゃなければ、多少の違反はしてもいいと思うがね」

 アスタロトは、結構ダメージを負っている。俺に降参するほどだ。神格的な力を失ったってしまったのが、堪えているのだろう。
 
「モンの言うとおりです。便宜を図る……というのはおかしい表現ですが、話し合いでどうにかなるとは思います」

「あんたが権限を持っているわけじゃ、ないからな」

「はい。父と相談してみましょう」

 これで、アスタロトのメンツは保たれる。信者を増やしたわけだし。
 
「ですが、まだダメです」

「なにがダメなんだ?」

「その異端審問官とやら、まだ死んでいません」

 なんだと?

 もう一度、俺は外に出る。

「ぬははは! このヨバリク、そう簡単に滅せられると思うなよ!」

 おお、復活してやがるな。ピンピンしてやがる。

 両手を広げて、ヨバリクが雷雲を呼び寄せた。

 ヨバリクの周りに、雷撃が突き刺さる。

「身体も、デカくなっていないか?」

「いかにも! それだけではない!」

 自分の肉体に、ヨバリクは雷撃を浴びせた。

 トチ狂ったか?

 そうではない。人間の皮膚を捨てたのだ。
 今のヨバリクは、人ではない。ベルゼビュートの依代として、自らを犠牲にしたのである。

「吾輩はベルゼビュートの研究をした結果、【チート】という技術を手に入れた! ベルゼビュートと一体化した吾輩は、もはや不死身!」

 神にでもなったかのように、ヨバリクは両手を上げて稲妻を呼んだ。

 塔の門に、雷撃を浴びせてくる。 

 門にダメージは、通っていない。

 しかし、バリアを張っているジルは苦しそうだ。

「ジル、無事か?」

「ドラゴンのバリアを甘く見ていただきたくは、ありませんわね」

 ジル及び【ぽって】のメンバーが、門をバリアで包んでくれている。

 ヨバリクは、それを一人で突破しようとしていた。

 ドラゴンの魔法障壁も、叩き壊す気かよ。

「ガルルデ、チートって?」

「人智を超えた、想像もつかぬ能力のこと。無敵、不死身、魔力無限などじゃ」

 ソイツは、厄介だ。

「ベルゼビュートを信仰することで、不死の肉体を得たのじゃろうて」

「でも、それってアレだよな」

「なにを笑うておるのだ、モンの字?」

「あのヤロウを、永遠に殺し続けられる、ってわけだ」
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