失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第五章 元暗黒騎士、四天王と異次元からの侵略者を同時に相手する

第45話 組み手

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 俺に、組み手の相手ができた。ガルルデである。

「ふん!」

「ぬるいわ!」

 俺がいくら攻撃をしても、ガルルデは防いでしまう。

 ガルルデも、魔力拘束具で自分に負荷をかけていた。自身の不甲斐なさを、反省したからなんだと。

 基礎的な訓練を終えたので、俺は家事をお役御免となった。元々、そこまで役に立ってはいなかったが。

 朝のウチはガルルデと組み手を、午後からはジルと特訓というスケジュールとなる。

「なんという、魔力制限装置よ。これを売り出せば、さらに利益が出ようぞ」

 ガルルデが、腕輪に視線を向けた。

「商談中なんだよな?」

「簡易版を売り出せぬか、交渉しておる。トレーニング用品としては、スグレモノぞ」
 
 四天王ガルルデすら、一目置くマジックアイテムが、こんなところにあったとは。

「してシモン・セルバンデス」

「ここでは、モンと名乗っている」

「では、モンよ。お主はこの地を乗っ取ろうとは、考えぬのか?」

 魔族のトップにいたなら、そういう発想につながっていくよな。

「考えたこともない。ここはデカすぎる」

「そこまでか」

「そこまでだ。想像を絶する規模だぞ」

 多くは語らないが、この地の文化、敵の強さなどは、計り知れない。

 ブレンダが苦戦したと聞いて、俺も驚いたくらいだ。あのブレンダが、ボロボロの状態で帰ってきたからな。

「ワシは、その謎に触れることはできんのだな?」

「実力は申し分ないと思うが、ヒナ王女がなんというかな?」

 アクータ塔の地下渓谷には、【次元の裂け目】という特殊なフィールドが存在する。
 そこから出現する【異次元からの侵略者】を撃退すれば、そいつがいる世界の文明を獲得できるのだ。

 なんの資源もなかったアクータ塔がここまで発展したのは、その文明による恩恵が大きい。
 
 とはいえヒナ王女は、文明を独占したりはしなかった。
 テレビや鉄道の技術など、他の国にも分け与える。
 独り占めしたところで、ヘイトを買うばかりか、対象がいなければ持っていても意味のない代物ばかりだからである。
 

 化物討伐に誰を選出するかは、ヒナ王女の裁量に委ねられている。
 ブレンダやピーザンだったり、様々だ。場合によっては、ヒナ王女自身が乗り込んでいくことも。

「ワシも参戦させていただきたいが、あいにくワシはここの住人としては認められぬゆえ」

 ガルルデはあくまでも、客人だ。交易相手として、アクータ塔には通いという扱いである。

 ピーザンの所属するアイドルユニット、【ぽって】の追っかけだからだ。 

 仕事の関係以外では、接触厳禁となっている。

「不自由していないか?」

「とんでもなし! 同じ空気を吸えるだけで、至上の喜び!」

 スーハースーハーと、ガルルデが深呼吸した。

 筋金入りのドルオタだな。

「モン。次元から魔物です」

 ヒナ王女が、俺を呼びに来た。

「ガルルデ、あなたも」
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