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第三章 大家さんと三毛猫が、参戦
第19話 鉱山ダンジョンへ
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翌日、ボクたちはまたログインする。
「久々のバグ報告だね、ビビ」
『ケントご主人、大忙しだニャー』
「アハハ。メール来ちゃったからね」
実は運営から、バグ取りと調査を直接依頼された。
ボクなんかで役に立つんだろうか。
とりあえず、ボクとビビは、トワさんと待ち合わせた。
今日は、いっしょにダンジョンを回る予定である。
「ケント。こんばんは」
しばらくして、ベルさんが待ち合わせ場所に現れた。ボクたちと、共に行動してくれる。
「おまたせー、ケントくーん」
お店を終えて、トワさんがやってきた。
武装が、若干変わっている。
タンクトップ、ショートパンツだ。武器は、ハンマーである。
鍛冶屋って、そのまま戦闘職もできるんだな。ドワーフの腕力補正もあるみたいだし。
「いえ、全然待っていません」
「よかったー。そちらの方は?」
「ボクのフレンドの、ベルさんです」
今日は、ベルさんもいっしょだ。トワさんの話をしていたら、「是非お知り合いになりたい」と、同行してくれた。
「どうも、はじめまして。ベルです。こちらは愛犬のナイン」
「はじめましてー。トワでーす。ドワーフの鍛冶屋ですよー」
トップランカーが来ようが、トワさんは動じない。いつもどおりのマイペースである。
トワさんはドワーフというが、ショートカットで細マッチョのちびっ子である。実物は、もっと背が高い。似ているのは、ショートなところぐらいか。
二、三こと会話しただけで、二人はもうすっかり打ち解けていた。
世代とかぜんぜん違うのに、もう敬語が抜けている。
主に、ボクとビビの話題で盛り上がっているみたい。
話すことなんて、そんなにあるのかな?
「この子は、すしおー。三毛猫のオスだよー」
すしおくんは、トワさんに持ち上げられて、されるがままになっていた。なんの抵抗もしない。
「ところで、すしおくんの職業は僧侶なの?」
「【モンク】ってのがあったから、それにしたー」
土魔法が得意な格闘家で、大地の力を使った回復も得意な職業である。
すしおくんはマントを羽織って、僧侶っぽい貫頭衣を着ていた。トワさんは、もっとかわいい服とかを着せたかったみたいだけど、太りすぎてて身体が入らないという。
「かわいいわね。おとなしい」
「おとなしいというか、無気力なんだよねー」
すしおくんは、「なあ」と鳴くだけ。「これからダンジョンへ向かうんだ」という、緊張感も感じられず。
まあ、リラックスしていると思えばいいかな。
「いいじゃない。ネコって、そんなもんよ」
「一応、ダンジョン巡りはできそうだから、安心してねー」
「期待しているわ。じゃあ、行きましょ」
ベルさん先導で、ダンジョンに向かうことにした。
「それにしても、いきなりでしたね。バグ報告って」
「そうなの。進行不可のバグって、今まで出てこなかったんだけど」
たいていは、魔物が大量に湧くとか、特定のエリアに入れないなどである。
今回のバグは、かなり深刻そうだ。早く、取り除かないと。
「まだ開発途中でー、バグと銘打ってー、進行を妨げているとかはー?」
「運営だって、そんなポンコツじゃないわ。あと四エリアくらい追加しようか、って話しているくらいだから」
開発チームは、進行状況を随時アップしている。
その記事を、ベルさんは引用した。
「そっかー。じゃあ、急がないとねー」
「バグ取りの依頼は受けているけど、楽しんでちょうだいね。バグに気を取られて、遊ぶことをおろそかにしたら、元も子もないから」
「おっけー」
リオーネ鉱山は、見た目こそそんなに変化がない。普通に、岩山のダンジョンだ。
冒険者たちが、がっかりしたような表情で帰っていくこと以外は。
「魔物が強くなっているなどの報告は、出ていないわ。安心してちょうだい」
「はい。行きましょう」
ボクたちは、歩みを進めていく。
一応、ビビの様子を伺った。特に、変化はない。なにかしゃべりたそうにも、していなかった。
「危なくなったら、知られてね、ビビ」
ボクが声をかけると、ビビが『ニャー』と鳴く。
「やっぱり、あなたたちは通じ合っているみたいね」
「そうだよねー。話しかけられて、ビビちゃんうれしそー」
ベルさんとトワさんが、ボクたちに視線を向けてきた。
「アビリティのおかげですよ」
ボクは、適当にごまかす。
「モンスターですよ」
二体の大トカゲが、ボクたちの前に立ちふさがる。狭い通路に、このデカさはキツイ。逃げられないだろう。迎え撃つしかない。
「えっと、スキルってどう使うんだっけ?」
トワさんが、操作方法で悩んでいる。
「こうよ」
ベルさんとナインくんが、スキルの扱いを実践してみせた。
それぞれ一体ずつ、倒す。
「おーっ。やるもんだ」
「次が来るわ」
「おっけー。今度は任せてー。【ロック・スイング】!」
トカゲの眉間に、トワさんがハンマーを打ち下ろした。土魔法をアクションに上乗せして、攻撃力を上げている。
一撃で、大トカゲを倒した。
一方、すしおくんもネコパンチ一発。それだけで、大トカゲをやっつける。ビンタじゃなくて、相手のおでこを押し付ける感じで。
おお、さすが格闘家って感じ?
「久々のバグ報告だね、ビビ」
『ケントご主人、大忙しだニャー』
「アハハ。メール来ちゃったからね」
実は運営から、バグ取りと調査を直接依頼された。
ボクなんかで役に立つんだろうか。
とりあえず、ボクとビビは、トワさんと待ち合わせた。
今日は、いっしょにダンジョンを回る予定である。
「ケント。こんばんは」
しばらくして、ベルさんが待ち合わせ場所に現れた。ボクたちと、共に行動してくれる。
「おまたせー、ケントくーん」
お店を終えて、トワさんがやってきた。
武装が、若干変わっている。
タンクトップ、ショートパンツだ。武器は、ハンマーである。
鍛冶屋って、そのまま戦闘職もできるんだな。ドワーフの腕力補正もあるみたいだし。
「いえ、全然待っていません」
「よかったー。そちらの方は?」
「ボクのフレンドの、ベルさんです」
今日は、ベルさんもいっしょだ。トワさんの話をしていたら、「是非お知り合いになりたい」と、同行してくれた。
「どうも、はじめまして。ベルです。こちらは愛犬のナイン」
「はじめましてー。トワでーす。ドワーフの鍛冶屋ですよー」
トップランカーが来ようが、トワさんは動じない。いつもどおりのマイペースである。
トワさんはドワーフというが、ショートカットで細マッチョのちびっ子である。実物は、もっと背が高い。似ているのは、ショートなところぐらいか。
二、三こと会話しただけで、二人はもうすっかり打ち解けていた。
世代とかぜんぜん違うのに、もう敬語が抜けている。
主に、ボクとビビの話題で盛り上がっているみたい。
話すことなんて、そんなにあるのかな?
「この子は、すしおー。三毛猫のオスだよー」
すしおくんは、トワさんに持ち上げられて、されるがままになっていた。なんの抵抗もしない。
「ところで、すしおくんの職業は僧侶なの?」
「【モンク】ってのがあったから、それにしたー」
土魔法が得意な格闘家で、大地の力を使った回復も得意な職業である。
すしおくんはマントを羽織って、僧侶っぽい貫頭衣を着ていた。トワさんは、もっとかわいい服とかを着せたかったみたいだけど、太りすぎてて身体が入らないという。
「かわいいわね。おとなしい」
「おとなしいというか、無気力なんだよねー」
すしおくんは、「なあ」と鳴くだけ。「これからダンジョンへ向かうんだ」という、緊張感も感じられず。
まあ、リラックスしていると思えばいいかな。
「いいじゃない。ネコって、そんなもんよ」
「一応、ダンジョン巡りはできそうだから、安心してねー」
「期待しているわ。じゃあ、行きましょ」
ベルさん先導で、ダンジョンに向かうことにした。
「それにしても、いきなりでしたね。バグ報告って」
「そうなの。進行不可のバグって、今まで出てこなかったんだけど」
たいていは、魔物が大量に湧くとか、特定のエリアに入れないなどである。
今回のバグは、かなり深刻そうだ。早く、取り除かないと。
「まだ開発途中でー、バグと銘打ってー、進行を妨げているとかはー?」
「運営だって、そんなポンコツじゃないわ。あと四エリアくらい追加しようか、って話しているくらいだから」
開発チームは、進行状況を随時アップしている。
その記事を、ベルさんは引用した。
「そっかー。じゃあ、急がないとねー」
「バグ取りの依頼は受けているけど、楽しんでちょうだいね。バグに気を取られて、遊ぶことをおろそかにしたら、元も子もないから」
「おっけー」
リオーネ鉱山は、見た目こそそんなに変化がない。普通に、岩山のダンジョンだ。
冒険者たちが、がっかりしたような表情で帰っていくこと以外は。
「魔物が強くなっているなどの報告は、出ていないわ。安心してちょうだい」
「はい。行きましょう」
ボクたちは、歩みを進めていく。
一応、ビビの様子を伺った。特に、変化はない。なにかしゃべりたそうにも、していなかった。
「危なくなったら、知られてね、ビビ」
ボクが声をかけると、ビビが『ニャー』と鳴く。
「やっぱり、あなたたちは通じ合っているみたいね」
「そうだよねー。話しかけられて、ビビちゃんうれしそー」
ベルさんとトワさんが、ボクたちに視線を向けてきた。
「アビリティのおかげですよ」
ボクは、適当にごまかす。
「モンスターですよ」
二体の大トカゲが、ボクたちの前に立ちふさがる。狭い通路に、このデカさはキツイ。逃げられないだろう。迎え撃つしかない。
「えっと、スキルってどう使うんだっけ?」
トワさんが、操作方法で悩んでいる。
「こうよ」
ベルさんとナインくんが、スキルの扱いを実践してみせた。
それぞれ一体ずつ、倒す。
「おーっ。やるもんだ」
「次が来るわ」
「おっけー。今度は任せてー。【ロック・スイング】!」
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一撃で、大トカゲを倒した。
一方、すしおくんもネコパンチ一発。それだけで、大トカゲをやっつける。ビンタじゃなくて、相手のおでこを押し付ける感じで。
おお、さすが格闘家って感じ?
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